創作日記&作品集

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連載小説「Q」14

2020-04-22 06:53:53 | 小説
連載小説「Q」14
田代順平の家は明生団地の一番奥にある。
角地で他の六十坪の区画より二十坪ほど狭い。
結婚以来54年もここで住んでいる。
団地は103軒。
空き家が10%。
T町では一番少子高齢化が進んでいる。
平均年齢が七十歳を越え、子供は殆どいなくなった。
順平が住み始めた1970年前半は、高度成長が終わりを告げた時期だった。
地価は上がり始め、私鉄のあちこちにニュータウンが出来はじめていた。
ローンを組めば値段も手の届くところにあった。
家族のためにも家が必要だった。
「土地付き一戸建」はなんとも魅力的な言葉だった。
のどかな農村だった奈良県S郡T町は、一気に土地の開発が進み、あちこちに土地成金が誕生し、ミニバブル状態だった。
連載小説「Q」#1-#10をまとめました。


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