読書ノート7
BOOK2
第1章
青豆 あれは世界でいちばん退屈な町だった
国語の試験が何よりも苦痛だった。100字の要旨を10字以内にまとめよというのも困った。10字以内で書けるなら、何のためにそれ以上の文字が必要なのだろう。捨てられる言葉が可愛そうだと思った。それは何を指すのか、確かに代名詞が分からないのは問題である。それはそれである。代名詞が分からないのは文章に問題があると思う。村上春樹の作品はすらすら読める。だから、うっかり読み飛ばした箇所に、大切なメッセージが潜んでいることも。なるべくゆっくりと読もう。でも、Book1は読み終わった。
「あなたの方からその人に対して、何か働きかけをするつもりはないのですね?」
青豆はくびを振った。「私にとって何より重要なのは、自分が彼を心から深く求めているという事実です」
「でもこれは物語じゃない。現実の世界の話よ」
タマルは目を細め、青豆の顔をじっと見つめた。それからおもむろに口を開いた。「誰にそんなことがわかる?」
BOOK2
第1章
青豆 あれは世界でいちばん退屈な町だった
国語の試験が何よりも苦痛だった。100字の要旨を10字以内にまとめよというのも困った。10字以内で書けるなら、何のためにそれ以上の文字が必要なのだろう。捨てられる言葉が可愛そうだと思った。それは何を指すのか、確かに代名詞が分からないのは問題である。それはそれである。代名詞が分からないのは文章に問題があると思う。村上春樹の作品はすらすら読める。だから、うっかり読み飛ばした箇所に、大切なメッセージが潜んでいることも。なるべくゆっくりと読もう。でも、Book1は読み終わった。
「あなたの方からその人に対して、何か働きかけをするつもりはないのですね?」
青豆はくびを振った。「私にとって何より重要なのは、自分が彼を心から深く求めているという事実です」
「でもこれは物語じゃない。現実の世界の話よ」
タマルは目を細め、青豆の顔をじっと見つめた。それからおもむろに口を開いた。「誰にそんなことがわかる?」