決定版三島由紀夫全集39 p542に安部公房との対談で、三島由紀夫(40)は「無意識」について語っている。
安部 小説だって同じさ。やはり三島由紀夫というのは、二人いるのだな。
三島 おれは、だけれどももう、無意識というのはなるたけ信じないようにしているのだ。
安部 信じなくても、いるのだ。
三島 そうか。無意識のなかに精神分析学者なり、精神病医なりが僕のなかに発見するものは、みんな僕が前から知っていると言いたいわけだな。だから、無意識というものは、絶対におれにはないのだと……。
安部 そんなバカな。
三島 絶対にないのだから。
自意識過剰と理解して、通り過ぎるのは簡単だが、ここまで言い切られると、果たして「無意識」とは何かと考えてしまう。それは自分とは何かという問題につながる。
安部 小説だって同じさ。やはり三島由紀夫というのは、二人いるのだな。
三島 おれは、だけれどももう、無意識というのはなるたけ信じないようにしているのだ。
安部 信じなくても、いるのだ。
三島 そうか。無意識のなかに精神分析学者なり、精神病医なりが僕のなかに発見するものは、みんな僕が前から知っていると言いたいわけだな。だから、無意識というものは、絶対におれにはないのだと……。
安部 そんなバカな。
三島 絶対にないのだから。
自意識過剰と理解して、通り過ぎるのは簡単だが、ここまで言い切られると、果たして「無意識」とは何かと考えてしまう。それは自分とは何かという問題につながる。