なのにオイラは京都へゆくの?

大阪の中年男が、京都の山に登った際の赤裸々(?)な公式日記帳やねん。
のはずが……京都・自己満足ブログとなりにけれ。

『おひとり京都の愉しみ』 柏井壽

2011-02-12 09:06:10 | 

 オイラは幼少のみぎりにこんな歌(↑)を聴いていたので、女性の一人旅にはハートブレイクなイメージがあるのですが、実際はそんなこともないようですね。一人気ままにぷらりと観光に来られる方が多いようです。特に外国人の方はこんな歌、知らないでしょうし、逆に「海外から女一人でよく来なさったな」と行動力と根性にこちらが感服してしまうほどであります。

 その昔、友人N君と知恩院あたりをぷらぷらしていたら、一人旅らしい外国人女性から声をかけられたことがありました。以下はすべてイングリッシュでのカンバセーションだったのですが、読者諸氏にわかりやすいよう日本語訳にしてみます。

外人美女:「ちょいとそこ行く、日本人離れしたカッコいいイケメンの日本男児のお二方、少々お待ちを~」

オイラ:「なんでっか? 逆ナンならお断りでっせ、ベイビー」

外人美女:「いえいえ違うのです。わたくし、東山ユースホステルに行きたい旅の者なのですが、道がわからないのです。後生ですから、どうぞ教えて下さいな」

 (東山ユ-スホステル? 地元民じゃないからわからんな~)と悩みつつ、
「あんさん、地図持ったはりまへんか?」
 と外人美女に訊ねると、彼女は大きな旅行鞄の中をガサガサと物色し、折りたたまれた地図をオイラに差し出すのであった。この地図でユースホステルを探し出せばなんとかなるであろうと考えたオイラは、地図をバサッと広げてみた。

オイラ:「オー、マイガー!」

 その地図は、北は北海道から南は沖縄までを網羅した「日本地図」であったのだ。「京都」なんてただの点ではあるまいか! 時は昼下がり。周囲には地元民の歩く姿がなく、他に助けを呼ぼうにも呼べない状況であったので、「オーケー。とにかくオイラたちに付いて来な」と人通りの多い八坂神社前まで外人美女と連れだって歩いて行った。道中、外人美女に「出身国」「年齢」「血液型」「星座」「BWHサイズ」「家族構成」「彼氏の有無」などを根掘り葉掘り訊いたと思うのだが、今じゃまったく覚えておりません。

 東大路通沿いの某観光ホテルへ行って、フロントマンに彼女をあずけたように思うのだが、記憶が定かでない。彼女の記憶の中では、孤独にさすらった異教徒の街京都で親切に道案内をしてくれた日本人としてオイラのことは一生涯残っていることでしょう。\(^_^)/ 

おひとり京都の愉しみ (光文社新書)
柏井壽
光文社

 今回ご紹介するのは、京都市北区で歯科医を開業するかたわらエッセイを執筆されている柏井壽さんの数ある著書中の一冊です。

 オイラも最初、ひとり歩きすることに一抹の淋しさがあったのであるが、最近では断然ひとりの方がよいと思うようになってきました。柏井さんもこの本の中で書いているように、ひとり歩きの醍醐味は【誰にも気兼ねせず、好きな速度で歩き、思い立った場所で立ち止まり、思う存分好きな景色を眺めることができるのだ。】なのである。それにオイラ的には、道に迷おうが、マムシに噛まれようが、スズメバチに刺されようが、サルにお弁当を持って行かれようが、崖から落ちて足の骨を折ろうが(←これらの経験はないですが)、旅で起こったすべては自分自身の責任なのである。「○○さんのせいでこうなった」と言い訳させさせてくれぬ、その潔さも心地よいのである。

 近年オイラを悩ませていたことの一つに京都での「ひとりご飯問題」というものがある。大阪にもチェーン店を持つ店なら、まだ店名になじみがあって入りやすいけれども、京都は一見さんお断りの土壌があるので、見知らぬ店にひとりフラリと入りずらかったのであるが、この本で解消されました。「ひとりランチ」「ひとり晩ご飯」。他誌、他局の後追い取材で同じような内容で粗製乱造される「京都本のグルメ」とは一線を画き、柏井さん自身の足と舌で確かめた街角の通なお店が紹介されています。機会があればオイラも行きたいと思っておりますが、この本で紹介されたことで行列にならないかとの危惧も……。

 ひとり泊まりに優しい1万円以内で泊まれるシティホテルの紹介もあり、オイラも京都へ泊まりに行きたくなりましたよ。ヘ(^o^)/