猫研究員の社会観察記

自民党中央政治大学院研究員である"猫研究員。"こと高峰康修とともに、日本国の舵取りについて考えましょう!

耐震偽造「姉歯」以外も

2005-12-18 23:22:13 | 社会問題全般
 姉歯・元1級建築士による構造計算書の偽造による耐震データ偽造問題は、当然姉歯氏一人の問題ではあるまいと思っていたが、やはりそのようである。経営コンサルタント「総合経営研究所(総研)」が指導したゼネコンが施工を担当していたビジネスホテル13棟の鉄筋量が著しく不足しているとの報道があった。次は「総研」が槍玉に挙げられるのだろう。それはそれで責任追及はせねばならないけれども、建築基準とその検査に関する構造的な問題を、この際徹底的に洗い出して安心して居住できる検査体制のあり方を早急に作るのが何よりも先決であろう。
 こういう大掛かりで多数の人間の安全に関わることに関しては、誰かをシンボリックに魔女狩りのごとく糾弾してみたり、責任の所在の追及ばかりに汲々としても、必ずしも問題の解決には繋がらないのではないか。また、欠陥マンションを買った者の自己責任だから血税の投入はまかりならんという論議もあるが、検査体制が不十分だったのは結局は国の責任であるし、当該建築物が倒壊すれば周囲の建物の住民にだって危険を及ぼす可能性が高いのだから「自己責任」だけで片付けるのも筋が通っているようで通っていない。もちろん欠陥マンションを購入した住民が「得をした」と思うような対策をとるのであれば、それは、やりすぎであるが…。だからといって、住民を非難することを是とする風潮は如何なものか。また、地震や台風などの災害に遭って住居を失った人への「冷たい」対応と比べると確かに優遇していることにはなるが、これなどは、自然災害で住居を失った者に今後もっと手厚く対処することでバランスをとるべきではないかと思う。
 それから、このような事件の再発防止には、検査体制を充実させるとともに、内部告発を奨励するような法制度一層充実させていくべきだろう。職業倫理の高い者による内部告発は効果が高いと考えられる。また、建築基準法の罰則強化も急務である。違反しても罰金50万円とは、あんまりな話である。


(参考記事)
<耐震偽造>鉄筋不足、「姉歯」以外も13棟 70キロ未満
 耐震データ偽造問題に絡み、姉歯秀次・元1級建築士(48)以外の構造計算で、1平方メートル当たりの鉄筋量が70キロを下回る「姉歯物件」並みのビジネスホテルが全国に少なくとも8都府県に13棟あることが、毎日新聞の入手した資料などで分かった。いずれも経営コンサルタント「総合経営研究所(総研)」が指導したゼネコンが施工を担当していた。姉歯氏が手がけて耐震性が基準値の3割未満だった物件よりも鉄筋量の少ないものがほとんどで、事態を重く見た国土交通省は調査を急ぐ。
 ◇総研が指導
 入手したのは、建物の延べ床面積や鉄筋、コンクリートの量などを一覧表にした積算対比表。それによると、うち12棟は木村建設(熊本県八代市)が96年12月以降に施工した7~14階建てのホテルで、九州地方と中国地方の設計事務所が構造計算した。篠塚明・同社取締役(元東京支店長)が衆院に提出した資料中で、鉄筋量が少ないとみられる9棟を含んでいる。
 12棟の1平方メートル当たりの鉄筋量の平均は60.13キロ。国交省の調べで耐震強度が基準値1.0に対し0.26しかなかった京王プレッソイン茅場町(東京都中央区)の63.22キロを大きく下回っている。さらに、うち6棟は50キロ台しかなく、最も少ない九州地方のホテル(11階建て)は51.14キロだった。
 残り1棟は、今年に入って中部地方にSG(総研グループ)会員のゼネコンが施工した11階建てホテルで、関東地方の構造設計事務所が計算しており、鉄筋量は1平方メートル当たり69.55キロだった。
 この積算対比表にある姉歯氏が手がけた偽造確定物件15棟の平均鉄筋量は、1平方メートル当たり63.08キロ。いずれも70キロを下回っていた。姉歯氏は証人喚問で、篠塚氏から「80~100キロを60に落とせと指示された」と証言。表を見た日本建築構造技術者協会の大越俊男会長は「100キロ超の物件が二つしかないが、これが正常のはず。それは問題があるだろう。自分の判断で設計すれば鉄筋量はもっとばらばらになるはずで、何か目標値に当てはめて作ったものではないか」と話している。【大平誠、西脇真一】
(毎日新聞) - 12月17日3時10分更新


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