対テロ戦争と人権尊重の調和は大変な難問である。いわゆる戦争とは異なるが、完全な平時とも異なる。このような状況下で、人権の侵害を最小限に抑えつつ一般国民の安全を最大限に確保するのが政府の果たすべき役目である。この問題に関する一つの事例として、米連邦最高裁が6月29日に、グアンタナモ収容者の特別軍事裁判はジュネーブ条約と米国内法に違反すると判示した件を挙げておきたい。 よく知られている通り、米国は国際社会から大きな非難を浴びながらも、海軍のグアンタナモ基地において、拘束したテロ容疑者を軍事裁判にかけてきた。これのどこが問題かというと、捕虜としての待遇であれば軍事裁判の管轄であるが、犯罪者として認識するのであれば、軍事法廷ではなくて司法裁判所の管轄でなければならないということである。米国政府の対応も、国際テロ組織との戦争というこれまでの国際法が想定していなかった事態に直面して、全く理由のないものであると決め付けるのは多少酷はであるかもしれない(といって弁護するのも困難だが)。しかし、自国の連邦最高裁が「やはりジュネーブ条約と国内法に厳格に従うべし」と判断を示したことは、米国の自由へのこだわりが「国是」であることを想起させる。おそらく多くの人々は米国政府の今までの行為を非難することに重点を置くだろうが、私は米国の司法のチェック機能に注目したい。
最高裁判決を受け、ブッシュ大統領は「重大なものと受け止める。議会と協力し軍事法廷が裁判の適切な場かを決めたい」と語り、違法性回避のため新たな立法措置を検討する意向である。法の支配が根本になければならない、立憲主義国家にあっては妥当な判断である。国際社会の厳しい目が直ちに緩和されるとは思わないが、米国のソフトパワーをこれ以上損ねないという意味合いはゼロではあるまい。 さて、日本も対テロ戦争に参戦している。ということは、対テロ戦争と人権の問題は他人事ではないということである。ただ、幸か不幸か日本には軍事裁判所がないので米国のような問題がおきることは現在のところ想定外である。しかし、憲法を改正して正真正銘の軍を持つとなれば、軍事裁判所を当然設置することになる。管轄がおかしなことにならないように、よく制度設計しなければならない。戦時国際法に明るい人間自体が少ない点が、大いに憂慮されるところである。
(参考記事1)
<米軍事法廷>大統領が新立法措置検討へ 米最高裁判決受け
米海軍グアンタナモ基地に収容中の対テロ戦争拘束者を裁く軍事法廷について、ジュネーブ条約違反と認定した29日の米連邦最高裁判決を受け、ブッシュ大統領は同日、「重大なものと受け止める。議会と協力し軍事法廷が裁判の適切な場かを決めたい」と語り、違法性回避のため新たな立法措置を検討する意向を明らかにした。
(毎日新聞) - 6月30日13時28分更新
(参考記事2)
[対テロ法廷維持へ新法も 閉鎖意味せずと米高官]
【ワシントン29日共同】ブッシュ米政権は、連邦最高裁が29日、キューバのグアンタナモ米軍基地内に収容したテロ容疑者を裁く特別軍事法廷を「違法」と判断したことを受け、容疑者の訴追と長期拘束の権限を維持するため、同法廷の問題点を克服する新法制定を視野に議会指導部と協議を進める方針だ。
スノー大統領報道官は同日の会見で「判決はグアンタナモの収容施設閉鎖を意味しない」と指摘。ブッシュ大統領も「米国民の安全を危うくするようなことはしない」と強調した。
(共同通信) - 6月30日10時13分更新
(参考記事3)
[グアンタナモ収容者の特別軍事裁判禁止…米連邦最高裁]
【ワシントン=坂元隆】米連邦最高裁は29日、キューバのグアンタナモ米海軍基地に拘束されているテロ容疑者を特別軍事法廷で裁くことを、「捕虜の待遇を定めたジュネーブ条約と米国内法に違反する」として禁止する判決を出した。
判決では、特別軍事法廷での裁判を命じたブッシュ大統領の決定を「越権行為」としており、人権侵害との国際的非難にさらされながら「テロとの戦い」の一環としてグアンタナモの収容施設を維持してきたブッシュ政権にとって大きな打撃となるのは確実だ。
訴えていたのはウサマ・ビンラーディンのボディーガード兼運転手だったイエメン人(36)で、グアンタナモ基地に4年間拘束されている。
(読売新聞) - 6月30日1時48分更新
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最高裁判決を受け、ブッシュ大統領は「重大なものと受け止める。議会と協力し軍事法廷が裁判の適切な場かを決めたい」と語り、違法性回避のため新たな立法措置を検討する意向である。法の支配が根本になければならない、立憲主義国家にあっては妥当な判断である。国際社会の厳しい目が直ちに緩和されるとは思わないが、米国のソフトパワーをこれ以上損ねないという意味合いはゼロではあるまい。 さて、日本も対テロ戦争に参戦している。ということは、対テロ戦争と人権の問題は他人事ではないということである。ただ、幸か不幸か日本には軍事裁判所がないので米国のような問題がおきることは現在のところ想定外である。しかし、憲法を改正して正真正銘の軍を持つとなれば、軍事裁判所を当然設置することになる。管轄がおかしなことにならないように、よく制度設計しなければならない。戦時国際法に明るい人間自体が少ない点が、大いに憂慮されるところである。
(参考記事1)
<米軍事法廷>大統領が新立法措置検討へ 米最高裁判決受け
米海軍グアンタナモ基地に収容中の対テロ戦争拘束者を裁く軍事法廷について、ジュネーブ条約違反と認定した29日の米連邦最高裁判決を受け、ブッシュ大統領は同日、「重大なものと受け止める。議会と協力し軍事法廷が裁判の適切な場かを決めたい」と語り、違法性回避のため新たな立法措置を検討する意向を明らかにした。
(毎日新聞) - 6月30日13時28分更新
(参考記事2)
[対テロ法廷維持へ新法も 閉鎖意味せずと米高官]
【ワシントン29日共同】ブッシュ米政権は、連邦最高裁が29日、キューバのグアンタナモ米軍基地内に収容したテロ容疑者を裁く特別軍事法廷を「違法」と判断したことを受け、容疑者の訴追と長期拘束の権限を維持するため、同法廷の問題点を克服する新法制定を視野に議会指導部と協議を進める方針だ。
スノー大統領報道官は同日の会見で「判決はグアンタナモの収容施設閉鎖を意味しない」と指摘。ブッシュ大統領も「米国民の安全を危うくするようなことはしない」と強調した。
(共同通信) - 6月30日10時13分更新
(参考記事3)
[グアンタナモ収容者の特別軍事裁判禁止…米連邦最高裁]
【ワシントン=坂元隆】米連邦最高裁は29日、キューバのグアンタナモ米海軍基地に拘束されているテロ容疑者を特別軍事法廷で裁くことを、「捕虜の待遇を定めたジュネーブ条約と米国内法に違反する」として禁止する判決を出した。
判決では、特別軍事法廷での裁判を命じたブッシュ大統領の決定を「越権行為」としており、人権侵害との国際的非難にさらされながら「テロとの戦い」の一環としてグアンタナモの収容施設を維持してきたブッシュ政権にとって大きな打撃となるのは確実だ。
訴えていたのはウサマ・ビンラーディンのボディーガード兼運転手だったイエメン人(36)で、グアンタナモ基地に4年間拘束されている。
(読売新聞) - 6月30日1時48分更新
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日本と韓国の竹島でのやり取りを見て、日本は手出しできないと思ったのでしょう。
今後どんどんやってくるような気がします。
対応が遅れれば、日本の領土はどんどん小さくなりそう。
何でもいいから早くして~っ!と喚きたい・・・。
遅きに失している上に中身が全く不十分なのですが、国土交通省が「海洋政策本部」を発足させて縦割り行政の弊害除去に取り組むそうなので「国土交通省が海洋政策本部を発足」という7月5日付の記事を書いておきました。よかったらご覧ください。
こんな大事な省庁を公明党の人に任せて・・・。 T-T