猫研究員の社会観察記

自民党中央政治大学院研究員である"猫研究員。"こと高峰康修とともに、日本国の舵取りについて考えましょう!

続・犯罪被害者は原則匿名報道にせよ

2005-12-13 02:53:35 | 社会問題全般
 先日の『犯罪被害者は原則匿名報道にせよ』というエントリーに関して、読者の方から「報道機関のことを棚上げにしているようですが、あの手この手を使い抜け駆けする報道機関も出て来ます。嘘や誘導尋問を駆使してさまざまな人たち、或いは機関から情報を入手するでしょう。そのような場合、被害者の報道機関に対する責任追及の道を法律で確保しておくべきだと思います。」というコメントを頂戴したので、若干補足したいと思う。なお『犯罪被害者は原則匿名報道にせよ』において提案した私案の骨子は「犯罪被害者の報道は原則匿名として、万が一のときに実名報道されることを希望するものはあらかじめ公安委員会か警察庁に登録して、ドナーカードのようなものを所有しておく。それが警察により確認され発表された場合に限って実名報道できる」というものである。
 当該エントリーで「登録が警察において確認された場合に限り、実名で報道機関に情報を流すというシステムである。当然のことだが、警察官であれマスコミの者であれ、その過程で不正なことをすれば処罰の対象とする。」と書いた。報道機関に関する事項はその部分に含まれるという認識で書いたのだが、舌足らずだったかもしれない。詳細に言えば、犯罪被害にあった場合に実名報道されることを希望する旨の登録をしていることを警察が確認したことを発表したことがとりもなおさず実名報道許可ということで、それ以前にマスコミが独自に知り得た情報は、たとえ実名を知ってしまったとしても、守秘義務が生じ、それを公表すれば罰則が科せられることを想定している。そういう場合は、被害者が「登録」しているものなのかどうか、警察に照会する義務が発生すると制度設計するべきであろう。
 それから、以上の議論とは全く方向の違う話であるが、「報道機関に情報を流す際に実名か匿名かを決めるのは警察とする」という政府案が発表された結果、それが「威嚇効果」となり、結果としてマスコミが自粛しようという風潮になってきつつあるように思われる。京都で起きた、塾講師による生徒の殺害という実に許しがたい事件を受けて「遺族らからの要請を受け、京都府内の報道機関でつくる『在洛新聞放送編集者責任者会議』は10日、対応を協議、『被害者家族をはじめ、周辺住民、学校などの関係者の心情やプライバシー、人権に配慮しつつ、節度をもって取材・報道に当たること』を申し合わせた」という断り書きが新聞各紙に載っている。その言葉通りにやってくれるならば、政府案は、実施する前から被害者や家族の尊厳を守ることに役立っているといえる。


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2 コメント

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是非実現を期待する (いざりうお)
2005-12-13 09:41:35
丁寧なるご説明ありがとうございました。

その昔、ある大手新聞社の編集長が、「我々の任務は、出来事を正確に報道することではなく、人々の意識を変革し、世論を誘導することにある。」と宣うたと聞きました。また、金になる記事のためならば他人の迷惑などお構いなしの報道関係者も多数存在し住民とトラブルが絶えません。

このようなマスコミを野放しにすることは大変危険なことです。

某国のごとき言論弾圧は言語道断ですが、かかる施策は重要性を持つものと考えます。

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いざりうおさまへ (猫研究員。(高峰康修))
2005-12-16 00:54:45
いえいえ、どういたしまして。

せっかくご意見を頂戴したので、もう少し細かいところも考えてみた次第です。

「我々の任務は、出来事を正確に報道することではなく、人々の意識を変革し、世論を誘導することにある。」なんて、報道ではなくて、プロパガンダであり洗脳というものです。それが「第4の権力」といって横暴なことをするようでは、報道の自由を最大限に享受させるのではなくて、逆にチェックしなければならないということになります。立憲主義の要諦は「突出した権力は認めない」ということですから。もちろん、マスコミは国家機関ではないので、潜在的に強い権力を持っていたとしても、他人の権利を踏みにじらずに行儀よくしていれば特別に制約する必要はないのですが…。
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