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法人営業に最適な『理詰めの営業』で日刊工業新聞社賞受賞の中小企業診断士 齋藤信幸の営業力強化手法 <情報デザイン>

営業自身のシンになる営業手法を確立し、自信に。営業案件の可視化と営業の行動管理を実現。特にコンプレックスセールスに最適。

理詰めの営業 / 会議設計:コンプレックス以外でも役立つ質問設計 - 「障がい者によるお墓掃除」の例

2020-03-07 23:22:58 | 会議設計
質問設計は、コンプレックスセールス以外でも役立つことが分かっています。

以下は、私が所属するNPOが行っている「障がい者によるお墓掃除」の事業を依頼する事例です。

ある福祉施設の施設長さんから紹介を受け、別の施設(F園)の施設長さんに事業を紹介にいくことになりました。この活動の背景には、多くの福祉施設で、そこに通う障がい者(利用者様といいます)の工賃が極めて低く、それを向上させる必要があるという事情があります。工賃は、サラリーマンの月給と考えていただければよいです。利用者様は、施設でクッキー作りや組み立て作業などを行い、代価として工賃を貰いますが、全国平均で月に1万2千円程度。とても自立できる金額ではありません。

① (状況質問)「工賃向上はF園の利用者様にとても重要ですね」

<「障がい者による墓掃除」の説明をした後での質問です。どの福祉施設も工賃向上の必要性を認識していることが前提です。> 

予想回答:「私も日々努力して工賃向上に努めているところです」 
                              
② (問題質問)「東京地区の工賃の平均はXXXX円だそうですが、F園では今、一人あたりの工賃は平均でどのくらいでしょうか」
   
<事前調査でF園の工賃は平均以下であることが分かっています。その上での質問です。>
 
予想回答:「YYYY円です」

③ (示唆質問)「墓掃除の事業をやればZZZZ円まで上げられますね」

<ここはコンプレックスセールスとは異なるところです。福祉施設は、利用者様一人当たりXX万円の補助金がでており、極端なことを言えば、何もしなくてもいいのです。つまり「深刻度」を上げることは困難です。>

予想回答:「そうですね」  
                          
④ (解決質問)「私自身も来園してお手伝いしますので、トライアルにはご参加いただけますか」

<私自身も来園してお手伝いすることで、実行することの面倒くささの障壁をさげることができます。>
 
予想回答:「何か準備するものはありますか」
  こうなれば一歩前進ですね。
 
コンプレックスセールスではなくとも、質問を用意して会議に臨めば、成功する確率はかなり高くなるということが判ると思います。

いずれにしても、よい質問は、顧客と話している最中に急に思いつくものではなく、あらかじめ準備に準備を重ねて用意するものです。
また、訓練を重ねることにより、優れた切り口の質問を用意できるようになります。


ちなみに好奇心旺盛でエンディングビジネスの中身を知りたかった私は、1年間、葬儀屋の仕事もしてみました。

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理詰めの営業 / 会議設計:仕切る会議 - ゴールを達成するために提示する情報

2020-02-09 21:12:29 | 会議設計
さて、次は「ゴールを達成するために提示する情報」および「提示する理由」の記述です。
どのような情報をキーパーソンは必要としているか、どのようなプレゼンをすればゴールを達成できるかを考えます。また、何故、そうするのかを検討します。
特に「自社のポジション」のところで述べたように強みを活用し、ネガティブな問題がある場合は、そのリカバリー方法を検討します。

強みを活かす例としては、

・提示する情報:「マーケットシェアのデータ」
・提示する理由:「当該顧客への納入実績がないためマーケットシェアNo.1を印象付ける」

あるいは、

・提示する情報:「サービスサポート体制の重要性」
・提示する理由:「当該顧客での評価の高いサービスサポート体制の重要性を再認識させ他社との差別化を図る」

などがあります。

また、弱点のリカバリーをこの会議で行う必要がある場合も、どのような情報を用いて行うかを検討します。

例えば、「先の投資では失注している」という弱点に関しては、その原因を明確にし、「前回、必要とされながら備えていなかった機能は、すでに搭載され、実績を積んでいる」ことを納入実績やデータで示すことなどは有効です。

この調布製作所の事例では、歩留まり改善が必須の渋谷部長の力になれるように「歩留まり改善方法」の提示は必須です。データを用いて具体的に説明する必要があります。

また、弱点である山形事業所でのトラブルに関しては、原因究明が終わり対策も終了したことをしっかり説明します。

納入実績はただ単に「たくさんお使いいただいています」ということを示すだけでなく、(製品やサービスによりますが)装置間のデータの相関がとりやすいことや、トラブル発生時のバックアップ機になることなども説明するとよいでしょう。つまり、顧客にどういう利益をもたらすかを説明します。

ただ、山形事業所でのトラブルが対策済みであることを説明した後でないと、「トラブらない装置を作ってくれればバックアップ機なんかいらないよ」と嫌みを言われることでしょう。
これらの情報をどう会議の中で見せるかは、最後の議題の設計のところで再検討します。

なお、もう一つの弱点、原宿部長が競合メーカーの高雄工業を高く評価している点に関しては、背景を十分に調査し、会議とは別に対応をすることにします。


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理詰めの営業 / 会議設計:仕切る会議 - 自社のポジションを探る

2020-02-05 21:31:44 | 会議設計
< 資料が間違えていたので差し替えます。>

客先での自社の現時点のポジションを整理し、「良好」「問題あり」の判定を行います。

例えば、「キーパーソンと課題を共有できている」「過去の納入実績は他社の2倍」「サービスサポートについては高く評価されている」「財務的に安定(無借金経営)」などはプラスに評価できます。

一方、「前回の投資では失注している」「オペレーターが弊社のサービスエンジニアを嫌っている」などはマイナスに評価されます。会議の直近に起きた故障もマイナスです。私自身も、実際、顧客訪問の直前にシステムダウンが起き、新製品の売り込みに苦労したことがあります。

いずれにしても、「顧客基礎情報分析」「問題・課題・ニーズ分析」「関係顧客分析」「競合分析」「自社分析」から出てきた強み・弱み・課題を整理し、会議に影響のある項目を記入します。

その中で、営業ステップを前進させるために何をどうこの会議で活用し、何をどうリカバーするか検討します。すなわち、自社の強みを活用し、弱みをリカバーする方法を考えます。

例えば、サービスサポートを顧客が高く評価しているのであれば、プレゼンに自社のサービス体制や実績を加え、他社との差別化のポイントにします。
逆に前回の投資で失注しているのであれば、失注原因を明らかにしてそのリカバーができていることを明確にします。例えば、前回は他社にあって自社にない機能があったが今は十分に対応できるとプレゼンすることです。

今回の例であれば、納入実績はプラス要因ですが、「山形事業所でのトラブルによる装置の安定性への疑問」や「原宿部長が競合メーカーの高雄工業を高く評価」はマイナス要因となります。これらを踏まえて、どのように会議を設計するかを考えます。

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理詰めの営業 / 会議設計:仕切る会議 - 相手の期待を予想する

2020-01-19 00:14:24 | 会議設計
さて、ここまでの流れを整理してみます。

まず、「会議のゴールを設定」します。
そして、そのゴールを達成するための具体的な「シナリオを作成」します。
ここから、目標達成に必要な「必須出席者(顧客および自社)の確認」、「確認事項・不足情報の洗い出し」を行うというものでした。

次に、顧客の各出席者がどのような期待・考えを持って会議に来るのかを予想します。

例えば、渋谷部長は「今抱えている歩留まりの問題を解決するために是非デモを行いたい」と本気で思って来るのかもしれませんし、あるいは、あまり期待はできないが「現状問題はないけど長年の付き合いなのでとりあえず会議の最初だけでも出てみるか」と考えているかもしれません。

後者の場合は、この会議でキーマンである渋谷部長に歩留まりの改善という課題の重要性を気付かせ、それをより深刻なものにするための「質問設計」が重要となります。
「質問設計」は、後述しますが、それはゴールを達成するための一連の質問の準備です

この品田電子の事例では、

渋谷部長の期待:歩留まり改善に効果があるかデモで確かめたい。しかし、山形事業所でトラブルを起こしており、装置の信頼性は疑問。
原宿部長の期待:歩留まり改善には期待。しかし、高尾工業の方が、言うことを聴いてくれる。

としましょう。

つまり、原宿部長は、調布製作所よりも高雄工業がお気に入りのようです。この点に関しても対策が必要なことが分かりました。

営業の稲田さん、確かに原宿部長とのコミュニケーションが少なかったと反省しきりです。
ここも営業が顧客をどれだけ知っているか、どれだけ対策を取ってきたかが問われます。

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理詰めの営業 / 会議設計:仕切る会議 - シナリオを考える

2020-01-12 00:37:13 | 会議設計
正月明けの一週間は結構、仕事の密度の濃い5日間になりました。

支援先に外資系企業が多いため、クリスマスの前あたりから顧客の反応がスローになり、年末は少し楽になりました。しかし、逆に年始、海外の企業は2日から始まっているので、メールも溜まっていますし、エンジン全開の人もいます。こちらも年始の挨拶もそこそこにほぼエンジン全開でした。

この三連休はありがたい。旧正月、早く来てくれ(アジア地域の会社が休みになるところが多いので)。

さて、会議設計に戻ります。

「できる営業」は、会議のゴールを達成するまでの議事進行のシナリオが頭の中にできています。それまでの経験と訓練から導かれるもので、シナリオだけでなく会議を進めるための問題点や不足している情報なども即座に整理できます。

ここでは、客先に行く前の「事前打ち合わせのたたき台」として、営業の稲田さんにシナリオを考えてもらいます。



私:稲田さん、できるだけ具体的にお願いします。不足している情報や社内で検討すべき点も挙げてください。
稲田:場所は、品川電子開発部会議室、縦長に2列テーブルが並んだ会議室か、それともロの字に並んだ会議室か、先輩に確認する必要がありますね。プロジェクターは設置されていると思うが、これも確認し、使用許可をもらいます。
全体の流れは、名刺交換、仙川部長に口火を切ってもらって業界の話で場を和らげたところで、本題の歩留まり改善方法のプレゼン、デモ提案、デモ日程の検討・決定の順。最後に、競合他社の状況を確認。議事進行は齋藤課長。
私:山形事業所で先月起きたトラブルの件は、品川電子の方も気にされていると思います。この会議で状況を説明しますか。
稲田:1か月前に起きた山形事業所でのトラブルの件は、故障解析も終わり、対策を打ったことを説明する予定です。どのタイミングで言うべきか、言わざるべきか、事前打ち合わせで検討します。
私:御社からの出席者と席順は?
稲田:席順はプロジェクターに一番近いところが営業の稲田、そこから営業課長の齋藤、営業部長の仙川、プレゼンを行うアプリケーションの高井、そして装置を開発した課長の柴崎。
私:絶対に出席して欲しい品川電子の方はどなたですか?
稲田:品川電子に出席を依頼したのは歩留まり改善を急いでいる開発部渋谷部長、目黒課長、大崎主任。渋谷部長に決定権があるらしいので渋谷部長は必須です。
私:他には?
稲田:・・・・
私:デモを行うかどうかは渋谷部長が決めるようですが、デモはどのように行うのですか。
稲田:あ、そうだ、デモが決まった場合、サンプルが必要になるので生産技術部の出席が必要ですが、誰かきてくれるかな
私:誰か来てくれるかではなく、必要な人を出席させる。誰を?それが重要です。

稲田さん、課長に電話。即決させるためには生産技術部の原宿部長の出席が必須だということになりました。

私:競合情報を聞き出せそうな人はいますか?
稲田:購買の山田主任なら少し教えてくれると思います。会議には声をかけておいて、情報収集は席を変えての方がよさそうです。
私:では、会議設計シートに、今話した内容を記入してください。



まずまず埋まったようですね。事前打合せまでは、少し時間があるので、宿題も解決し、シートの内容も更に詳細なものになるでしょう。



まずシナリオを考え、それが決まったら、「最大のゴール」を達成するために必要な人をリストアップし、会議への出席を依頼します。前述の会話例では、曖昧な点もありますが、開発部部長、生産技術部部長の二人が必須出席者になります。

会議への招集を担当者に任せるのではなく、営業自らキーパーソンに連絡し、出席を依頼すべきです。そのためには、キーパーソンに事前に会い、良好な関係を構築しておく必要があります。

相手任せではなく、営業自ら積極的に、能動的に会議をプランし、営業ステップを前に進めるように策(戦略というほどではない)を練ります。

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