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交際費、大企業も損金に 増税後の消費下支え 財務省検討

2013-10-13 10:14:15 | Weblog
交際費、大企業も損金に 増税後の消費下支え 財務省検討 2013年10月12日 日経
 財務省は来年度から、大企業が交際費の一部を税法上の費用(損金)に算入することを認める検討に入った。これまでは中小企業にだけ認めていたが、大企業にも対象を広げることで、来年4月の消費増税による消費需要の落ち込みを和らげるねらいがある。年末に与党がまとめる2014年度の税制改正大綱への盛り込みをめざす。
 企業の交際費は1992年度には6.2兆円あったが、11年度には2.8兆円にまで減少。零細企業が多い飲食店の経営を圧迫するとともに、消費の伸びを抑えた一因との指摘も出ていた。
 政府は消費の拡大につなげるため、13年度の税制改正で資本金1億円以下の中小企業に対し、税務上の損金に算入できる交際費の範囲を拡大。従来の「交際費の9割を最大600万円まで」から「交際費を全額、最大800万円まで」算入できるように改めた。
 14年度の税制改正では、大企業も交際費を損金に算入できるようにする。制度の詳細は今後詰めるが、無制限に認めるのではなく、中小企業と同様に一定の上限を設ける案が有力。大企業が交際費を損金に算入できれば、課税所得を減らせる。その分だけ税収減になるため、財務省はデフレからの脱却が確実になるまでの時限措置としたい考えだ。
 これまで大企業の交際費の損金算入を認めてこなかったのは、得意先への過度な接待をおさえ、企業の内部留保を厚くする目的からだった。ただ、企業が200兆円を超える手元資金を抱え、本来の意義は薄れている。財務省は企業が抱え込むお金が外に流れやすくすることで、飲食店での消費拡大による景気の下支え効果を見込む。
 もっとも、企業は依然として無駄な経費の絞り込みを進めており、損金算入を認めたからといって、すぐに交際費が増えるとは限らない。企業が交際費を増やさないと、景気の押し上げ効果も限られるおそれはある。



 交際費の損金算入制度については今年の1月21日のブログでも触れたのですが、元々この制度。過度の接待や飲食等に対する社会的モラルが問題視(いわゆる社用族の問題)されたことや、冗費を抑制して企業の内部留保の充実と体質強化を図る名目(当然ながら、本音部分では税収増の狙いもあります)から昭和29年より支出した交際費等の一定額を損金に算入しない制度が始まり、それでも依然として巨額な交際費等の支出が発生&しかも連年増加していることに業を煮やした大蔵省(当時)が中小企業など一部例外を除いて昭和57年に原則全額損金不算入に。
 その後、平成18年4月から「得意先との飲食接待は、一人当たり5000円以下で所定事項記載を要件に交際費等から除く」といった緩和事項(企業規模要件なし)も導入されたものの、平成22年度改正では資本金1億円以上の100%子会社は資本金が1億円以下であっても全額損金不算入とするなど大企業やその子会社にとっては厳格化の方向で進んだ半面、中小企業については原則損金不算入時の特例を維持(期末資本金の額による2段階(年間400万円又は300万円)までの額の80%までを認めていたのを、平成21年4月より現行の90%かつ600万円=損金算入できる最高額は540万円に拡大)、さらに中小企業については全額損金算入(最大800万円まで)を打ち出すなど緩和傾向で推移してきたのですが、今度は原則損金不算入の大企業まで対象を広げようと画策しているようですね。

 ここで問題となるのが交際費拡大の恩恵を受けるのがどの業種なのか…ということ。今更お歳暮需要が復活するとも思えません(貰う方から見ても、社員の不公平感を最小限に抑えながら公平に配るのは一苦労です)し、居酒屋やコンビニ、タクシー業界など信用保証協会の保証対象業種に該当する真っ当な業種にお金が流れる、言い換えれば地域経済にお金が回るのならまだ良いのですが、信用保証対象外のいわゆる夜の世界を儲けさせても全くメリットがなく、これならまだ法人税や法人事業税の引き下げ、投資減税に財源を充てる方がまだマシではないでしょうか。
 もっとも、財務省としては庶民の感情的反発が出ることを見込んで、では法人税減税を…と言い出す切り出し材料にこれを利用しているだけかもしれず、そちらにも迂闊に乗れない側面もあるのですが…。