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自民・ANA、蜜月健在 羽田国際線枠で日航に完勝 安倍・稲盛会談実現せず

2013-10-06 19:51:27 | Weblog
自民・ANA、蜜月健在 羽田国際線枠で日航に完勝 安倍・稲盛会談実現せず 2013年10月6日 日経
 「財務体質でかなり差が出ている。今後、競争環境にひずみが出る恐れがあり、日航の新規路線開設は抑制的に見る必要がある」。国土交通省航空局の平岡成哲航空事業課長は、ANAへの傾斜配分の理由を淡々とこう語った。
 日航にとって羽田から新路線となる国の路線はすべてANAが取得。しかし、国交省に葛藤がなかったわけではない。伝統的に国交省は、日航とANAを競わせ利用者にとってサービス・価格面での価値を最大化するとの考えを持つ。
 「こんなことは終わりだ」。昨年11月30日、羽田国内線の発着枠配分で全日空8便に対して日航を3便の配分を決めた直後、ある国交省幹部は傾斜配分の再度実施に否定的な認識を示していた。
 しかし、今年7月の参議院選挙で自民が圧勝。さらに主要官庁の幹部級人事が、民主党色を払拭するため官邸主導で一新されたのを目の当たりにした。もはや巨大与党の意向を無視できる状況ではなくなった。
 自民党議員らが主張したのは、昨年、8月10日に国交省が発表した「日本航空の企業再生への対応について」に基づく発着枠の判断。求めたのは突き詰めると、ANAへの配慮だったといえる。
 2日、発着枠配分を受けANAは「当社グループの経営努力について認めていただいたことに感謝申し上げたい」との伊東信一郎社長のコメントを発表。今回、ANAが手にした果実は大きい。
 日航に比べ手薄だったベトナムへの就航も羽田から可能になる。成長市場の東南アジア中心に日航にはない便を合計6便得たことで、年間売上高で約600億円、営業利益で約60億円のアドバンテージを半恒久的に確保できる。
 それだけに、日航も今回の枠獲得に向け精力的に動いた。
 「闘わなあかんな」。稲盛和夫名誉会長は前回の国内線とは異なり、日航として主張すべきことをしなければならないと思いを定めていた。
 自民党やANAが過剰支援と主張する税制面での優遇や公的資金投入と更生法適用の同時適用などは、すべて合法的に実施されたもの。しかも、1万6000人もの人員削減などのリストラで自らの「血」も流し、業績回復は意識改革やコスト削減活動で成し遂げてきた側面も大きい。
 ただ、稲盛氏自身が民主党に近かっただけに自民党から標的にされやすい素地はあった。そこで、稲盛氏は動く。今年5月、安倍晋三首相との会談を申し入れ、事態打開を試みた。しかし、調整は不調に終わり、会談はいまだ実現していない。
 そんな日航の事情をよそに、9月14日、安倍首相はANAのロビー活動の実行隊長を務める石坂直人調査部長と富士山麓のゴルフ場でプレー。今夏、自民有力議員の外遊は多くが全日空機を利用するなど、再生過程で日航と民主党が接近したのに対しANAは自民と親密度を増していた。日航ロビー部隊も自民議員に対して猛烈なアプローチを繰り返したが効果は限定的だった。操縦士出身の植木義晴社長もなす術もなかった。
 ライバル会社との競争環境を顧みない過剰な支援による再生が行われ、「到底自力では追いつけない再生がなされた」(伊東社長)とのANAの主張は説得力を持つ。しかし、今回の配分結果はそうした「理」の力だけでなく、自社の主張を議員に理解させ、実益に結びつける「ロビー力」の差でもあった。
 当面の羽田発着枠配分はこれで打ち止め。しかし、2020年の東京五輪に向け東京上空の飛行が可能になれば新たな枠が生まれることになる。
 役所の裁量による枠配分は政治の影響を受けやすい。だがオークション方式なども採用が難しい。財務力のある日航が有利になりANAとの格差が広がりかねないからだ。枠配分に政治が介入する国もあるが主な自国航空会社は1社でもめ事は起こりにくい。人口が特定地域に集中する狭い国土に大手2社がある日本では妙案がない。
 2日、枠配分の政治介入を嫌気して日航株は1.6%安の5880円となった。ただ、一方のANAも枠配分は好材料のはずだが1円安の216円に下落。「枠をもらったのはいいが、政治は後々高くつくぞ」。そんな警告を市場は発しているのかもしれない。




 羽田枠獲得合戦について、日経でも特集記事を組んでいたので、こちらの記事も載せたいと思います。
 ん…。1万6000人もの人員削減と聞くと一見厳しく聞こえますが、JALグループ全体の約48000人のうち約3分の1 しかも斬られた方の多くはグループ企業の正社員や派遣社員で、JAL本体の正社員にまで厳しいメスが入ったわけでもなければ、そもそも会社更生法を申請する時点でこの程度のリストラ規模は別に珍しくも何ともないでしょう。

 しかも早期に再上場する必要性はあったとはいえ、会社更生法を申請したのが2010年1月で、翌年の2011年03月には会社更生を終了して2012年9月には早くも再上場と、わずか2年半あまりで株式市場に復帰してきた一件についても、株券と優待券が同時に紙くずになった個人株主には心情的には到底納得しがたい(個人株主の中には株上昇益狙いの方だけでなく、親の介護等の理由で自宅と故郷を往復するために、株主優待=割引券 を手に入れる目的でJAL株を保有し続けていた方もいました)でしょうし、自民党だの民主党だの親しい政党の違いとか、そういった次元を超えて、市場の公平性という観点からこの獲得枠については議論すべきではないかと個人的には思いますね。

国交省、羽田の国際線発着枠はANA に傾斜配分 JAL は反発

2013-10-06 10:17:03 | Weblog
国交省、羽田の国際線発着枠はANA に傾斜配分 JAL は反発 2013年10月2日 ロイター
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPL4N0HS1BR20131002
 国土交通省は来春増加する羽田空港の国際線発着枠について、ANAホールディングス(ANA) に傾斜配分した。日本航空(JAL) の経営再建の過程で両社の財務体質に格差が生じたため、発着枠の配分によって是正する必要があるとの判断だ。均等配分を主張してきたJALは、この結果に「到底承服できるものではない」と反発しており、今後のJALの動向も注目される。
 羽田空港の昼間時間帯(午前6時─午後11時)の発着枠は、来年3月末から1日当たり40枠増え、このうち約20枠が国内航空会社に配分される予定。米国との交渉がまとまっていないことから、確定している16枠が今回の対象となった。
 国交省は、英国、フランス、中国、シンガポール、タイの路線についてANAとJALに1枠ずつ配分したが、ドイツの2枠、ベトナム、インドネシア、フィリピン、カナダの1枠はすべてANAに割り当てた。結果、ANAが獲得したのは11枠となり、JALは5枠にとどまった。
 会見した国交省の平岡成哲航空事業課長は、行政が現在の状況を放置すれば、航空業界の中期的な競争環境に歪みが生じる恐れがあるため、発着枠の傾斜配分によって是正すると説明した。
 ANAホールディングスの伊東信一郎社長は「これまでの経営努力について認めていただいた」とし、「国民の貴重な財産である羽田空港の発着枠を有効に活用し、利便性の向上や訪日需要の創出に真摯に取り組む」と述べた。
 一方、JALは、この配分結果を受け、「均等から大きくかい離した不公正な内容」と即座に反発。その上で「合理的な説明と内容の是正を国交省に正式に求めていく」姿勢を示した。
 羽田の国際線発着枠の配分は、JAL、ANAの2社だけでなく、各国の航空会社の注目も集めてきた。航空会社は国家をまたいで連合を形成し、協力関係を持ちながら世界の路線ネットワークを構築しているからだ。
 国交省の平岡航空事業課長は、ANAはスターアライアンス、JALはワンワールドという航空連合に加盟し、それぞれ中核を担っているとしつつも、この2社が公平な事業環境で競争することが航空連合にとっても重要との考えを示した。


日航「不当に不均衡、国益損なう」…羽田発着枠 2013年10月5日 読売
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20131004-OYT1T01110.htm?from=main1
 日本航空は4日、来年3月末から拡充する羽田空港の国際線発着枠を日航に5便、全日本空輸に11便を配分するとの国土交通省の決定を見直し、改めて両社に均等に割り当てるよう求める文書を、太田国交相と国交省航空局長に提出したと発表した。
 併せて、傾斜配分を決定した理由や経緯を検証するため、詳細な説明や、検討の過程が記された議事録など行政文書の開示を求めた。
 文書で、日航は「配分は不当に不均衡で、利用者利便および国益を著しく損なう」と批判した。
 日航の植木義晴社長は4日の記者会見で、「お客様の選択を狭め、不利益が生じる。政策的プロセスにも合理性が見いだせない」と述べ、国交省に明確な説明を求めた。



 この羽田の国際線発着枠問題。JALだけでなく一部の航空関係のジャーナリストもJALに配慮すべきと主張しているようですが、同じく航空業界が経営難に苦しんでいる時にJALは2010年1月にあっけなく会社更生法を申請して株主優待券狙いの個人投資家にまで迷惑をかけた企業。一方のANAは自力で経営難を乗り切った企業。
 米国の自動車大手3社の事例でも、さっさと連邦破産法を申請して楽になった(そしてあまり時間が立たずに再上場したり上場準備をしている)GMやクライスラーと自力で経営危機を乗り切ったフォードとの差を見た時にも同じことを思いましたが、正直JAL5便VSANA11便 程の差がつくとは予想していませんでしたが、こういう露骨に不満をぶつけてくるなら、「羽田のプラチナチケットなど外国の航空会社も欲しがっているんだから、要らないなら申請しなくてもいいんだよ」と逆に嫌みの一つも言いたくなりますね。

 国内線の競争問題もJALは日本エアシステム(旧東亜国内航空)を吸収してANAと互角。国際線は元々ナショナルフラッグだったJALの方が強いのだから、大手2社が競争してもらう意味でも、多少ANAが有利な位でちょうどバランスが取れると思います。