ファイナンシャルプランナーのニュースチェック

日々のニュースをFPの視点からチェックしてコメントします

信託協会発表 9月末の教育資金一括贈与非課税制度 預かり平均は649万円

2013-10-30 12:03:50 | Weblog
 2013年度の税制改正で創設された教育資金一括贈与非課税制度(*孫等に対し祖父母等が教育資金を一括贈与した場合に1500万円まで贈与税が非課税になる制度)ですが、信託会社大手6社による半年間の受託高が発表されました。
 4月の契約数は3797件で245億円、5月は5920件で399億円(累計9717件、644億円)、6月は8489件で568億円(累計18206件、1213億円)、7月は8104件で526億円(累計26310件、1739億円)、8月は7779件で490億円(累計34089件、2229億円)、9月は6073件で377億円(累計40162件、2607億円)とペースはやや緩やかになっているものの順調に拡大しているようです。
 契約数・信託財産設定額共に6月がピークでその後は設定額・設定金額共に緩やかに減少していますが、これは制度開始前から子供の教育費負担に苦しむ都会のサラリーマン家庭の父母で裕福な方が、祖父母が孫のために親に代わって教育資金を準備する心ずもりでいたところ、制度がどんぴしゃりで創設され、その富裕層に周知が一通り行き渡り始めたといったところでしょうか。

 この預かり件数と金額だけを見ると、預かり金額(2607億円)÷ 40162件 = 649万1205円 で 『うわぁ お金持ちはやっぱ住む世界が違うわ。そもそも資産家でもなければ信託銀行って敷居も高いし…』などとついぼやいてしまいそうになるのですが、
 実は電通が今年の3月に1都6県を対象に行ったアンケート調査では、贈与意思のある祖父母を対象にお孫さんのために贈与したい額を聞いたところ100万円以下が21.6%で、100万円~200万円が14.3%、200万円~300万円が13.4%と、半分近くの49.3%の方は 贈与すると言っても300万円以下の無理のない範囲内での贈与を検討しています。

 まあ、将来多額の相続税がかかりそう…という富裕層や、地価の高い都心部に小規模宅地の特例だけでは相続税対策にならない程の資産をお持ちの方などは、この教育資金の贈与制度を最大限に活用(この1500万円枠は受贈者ごとに設けられるため、孫が3人いる祖父母は最大4500万円を非課税で贈与することができます)したらいいのかな…と思いますが、その一方で大学学部(昼間部)の全学生のうち、奨学金を受給している学生の比率が50.7%を占めている(独立行政法人日本学生支援機構「平成22年度学生生活調査」)という厳しい現実を突きつけられるデータ―もあるわけで…(汗
 富裕層向けの制度は、それはそれでいいとして、お孫さんが卒業後に奨学金の返済に苦しまないように、ご自身の生活に支障がない範囲内(重ね重ね言いますが、あくまでもご自身の生活に支障が出ない無理のない範囲内です!!! 贈与してご自身が生活苦に陥るようでは本末転倒です)で、必要な時に学費を出してあげるというのも1つの考え方かと思います。