JALが会社更生法適用を申請、事業会社で戦後最大の破たん 2010年01月19日 ロイター
http://jp.reuters.com/article/JPbusinessmarket/idJPJAPAN-13407020100119
日本航空(JAL)は19日、東京地裁に会社更生法の適用を申請し、受理されたと発表した。企業再生支援機構も同日夕、支援の正式決定を発表し、JALは支援機構をスポンサーとして再建を図ることとなった。
負債総額は2兆3221億円となり、事業会社としては戦後最大、負債の多い金融業を含めると戦後4番目の大規模経営破たんとなる。
更生法を申請したのは、日本航空と子会社の日本航空インターナショナル、JALキャピタルの3社。事業会社としては2000年のそごうの1兆8700億円を抜く負債総額となる。1951年に設立され1987年に完全民営化した、日本のフラッグキャリアが事実上国の管理下に入る。国内大手航空会社としては初の破たんとなる。
支援機構はJALの管財人として裁判所に選任され、再建のスポンサーとなった。支援機構は、破たん後のつなぎ資金として支援機構と最大債権者の日本政策投資銀行が6000億円の融資枠を設定し、資金繰りを支える。支援機構の試算によるとJALは2010年3月末で8449億円の債務超過となる見込みで、このため金融機関などに対する3500億円の債権放棄を含めた総額7300億円の債権カットの実施や、支援機構による最低3000億円出資で債務超過を解消する。株主責任を問うために100%減資を実施し、上場廃止する計画となっている。機構は路線整理や人員削減などのリストラも進め2013年までに再建を完了させる。12年度には売上高1兆3585億円、営業利益は1157億円を目指す。
金融機関に対しては貸出金などの債権の無担保部分の83%を一律カットする計画。これに伴い社債や燃油デリバティブなどの債権者に対しても最大で83%のカット率が適用される可能性がある
一方、燃油や部品、備品など一般商取引や利用客のマイレージについては、支援機構がすでに保護を表明しており、通常の運航を継続しながら再生を図る。JALの新しい会長兼最高経営責任者(CEO)には京セラの稲盛和夫名誉会長が内定している。西松遥社長は19日付で退任し同日夜に支援機構と共同で記者会見する。
JALは2001年の同時多発テロ以降、国際線需要の急減を受け旧日本エアシステム(JAS)と統合したが、組織統合の遅れや、燃費効率の悪い大型機材を多数保有し続け、競合する全日本空輸と比べ高コスト体質の改善が遅れた。
業績悪化は、不採算な地方空港を作り続けた国土交通省など行政側にも一因があり、前政権までJALの抜本的な再建は先送りされてきた。2001年以降、日本政策投資銀行による緊急融資や、総合商社など取引先企業を引き受け先とする第三者割当増資で自己資本の増強が図られた。
しかし昨秋発足した新政権は、激化する東アジアの航空市場で日本の航空・空港産業を強化するため、JALの抜本的な処理が不可欠と判断。前原誠司国交相直轄のJAL再生タスクフォースが昨年10月末に再生計画を立案したが、巨額の金融支援には公的資金が不可欠との判断から企業再生支援機構で支援が検討されてきた。政府の支援体制をめぐり閣内が揺れ動くなか、支援機構は昨年末に裁判所を活用した公平な再建が不可欠と判断し、日本で初の会社更生法を活用した事前調整型(プレパッケージ型)法的整理を手法として選択した。
JALが更生法申請、支援機構傘下で再建へ 2010年01月19日 ロイター
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPnTK035223120100119
日本航空(JAL)は19日、東京地裁に会社更生法の適用を申請し、受理されたと発表した。企業再生支援機構も同日夕、支援の正式決定を発表し、JALは支援機構をスポンサーとして再建を図ることとなった。負債総額は2兆3221億円となり、事業会社としては戦後最大、負債の多い金融業を含めると戦後4番目の大型経営破たんとなる。東京証券取引所は、日本航空(JAL)株式を2月20日に上場廃止すると発表した。
更生法を申請したのは、日本航空と子会社の日本航空インターナショナル、JALキャピタルの3社。事業会社としては2000年のそごうの1兆8700億円を抜く負債総額となる。帝国データバンクによると、世界の航空会社では、05年の米デルタ航空(負債3兆1200億円)、02年の米ユナイテッド航空(同2兆8000億円)に次ぐ3番目の規模となる。
同日夕、記者会見した前原誠司国土交通相はJALが再生を果たすまでの間、必要な支援を行うとの声明を発表した。またJALが支援機構で再建を目指す最長3年の期間は「日本の航空行政全般を見直す」と強調。日本国内にJALと全日本空輸という大手航空会社が2社存続する体制についても「2社必要なのか注視する必要がある」と指摘し、国内航空業界の抜本的な再編も視野に入れていることを明らかにした。
JALの業績悪化の要因については「不採算路線を強いた国の責任は大きい、最後は国が支援してくれるとの甘えがJAL内にあったのも事実」と指摘。風評被害も懸念される法的整理による支援を政府として決定した背景として「私的整理では抜本的な再生が先送りされる懸念もあった」と説明した。
支援機構はJALの管財人として裁判所に選任され、再建のスポンサーとなった。支援機構は、破たん後のつなぎ資金として支援機構と最大債権者の日本政策投資銀行が6000億円の融資枠を設定し、資金繰りを支える。支援機構の試算によるとJALは2010年3月末で8449億円の債務超過となる見込みで、このため金融機関などに対する3500億円の債権放棄を含めた総額7300億円の債権カットの実施や、支援機構による最低3000億円出資で債務超過を解消する。株主責任を問うために100%減資を実施し、上場廃止する計画となっている。機構は路線整理や人員削減などのリストラも進め2013年までに再建を完了させる。12年度には売上高1兆3585億円、営業利益は1157億円を目指す。
金融機関に対しては貸出金などの債権の無担保部分の83%を一律カットする計画。これに伴い社債や燃油デリバティブなどの債権者に対しても最大で83%のカット率が適用される可能性がある。
一方、燃油や部品、備品など一般商取引や利用客のマイレージについては、支援機構がすでに保護を表明しており、通常の運航を継続しながら再生を図る。JALの新しい会長兼最高経営責任者(CEO)には京セラの稲盛和夫名誉会長が内定している。西松遥社長は19日付で退任し、同日夜に支援機構と共同で記者会見する。
JALは2001年の同時多発テロ以降、国際線需要の急減を受け旧日本エアシステム(JAS)と統合したが、組織統合の遅れや、燃費効率の悪い大型機材を多数保有し続け、競合する全日本空輸と比べ高コスト体質の改善が遅れた。
業績悪化は、不採算な地方空港を作り続けた国土交通省など行政側にも一因があり、前政権までJALの抜本的な再建は先送りされてきた。2001年以降、日本政策投資銀行による緊急融資や、総合商社など取引先企業を引き受け先とする第三者割当増資で自己資本の増強が図られた。
しかし昨秋発足した新政権は、激化する東アジアの航空市場で日本の航空・空港産業を強化するため、JALの抜本的な処理が不可欠と判断。前原誠司国交相直轄のJAL再生タスクフォースが昨年10月末に再生計画を立案したが、巨額の金融支援には公的資金が不可欠との判断から企業再生支援機構で支援が検討されてきた。政府の支援体制をめぐり閣内が揺れ動くなか、支援機構は昨年末に裁判所を活用した公平な再建が不可欠と判断し、日本で初の会社更生法を活用した事前調整型(プレパッケージ型)法的整理を手法として選択した。
戦後の大型倒産(帝国データバンク、グループ会社含む)
年月 社名 負債総額(単位:100万円)
2008年 9月 リーマン・ブラザーズ証券 4695784
2000年10月 協栄生命保険 4529700
2000年10月 千代田生命保険 2936600
1997年 4月 クラウン・リーシング 2183800
1998年 9月 日本リース 2180300
2000年 7月 そごう 1870000
2001年 9月 マイカル 1742800
1996年10月 日栄ファイナンス 1000000
2001年 3月 東京生命保険 980200
2000年 5月 ライフ 966300
私的整理は金融支援少ないが抜本的再生先送りの懸念あった 2010年01月19日 ロイター
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPnTK035223920100119
前原誠司国土交通相は19日、日本航空(JAL)が会社更生法の適用を申請し、企業再生支援機構が支援を正式決定したのを受け、同社が再生を果たすまでの間、必要な支援を行うとの声明を発表した。
またJALが支援機構で再建を目指す最長3年の期間は、「日本の航空行政全般を見直す」と強調。日本国内にJALと全日本空輸という大手航空会社が2社存続する体制についても、「2社必要なのか注視する必要がある」と指摘し、国内航空業界の抜本的な再編も視野に入れていることを明らかにした。
国交相は同日の会見で「これまでJALを利用されていた方は今後も利用を継続してほしい」と再三繰り返し、風評被害による顧客離れが起こらないよう、政府として全面的な支援を行う姿勢を示した。
JALの業績悪化の要因については「不採算路線を強いた国の責任は大きい、最後は国が支援してくれるとの甘えがJAL内にあったのも事実」と指摘した。
風評被害も懸念される法的整理による支援を政府として決定した背景として国交相は「私的整理では抜本的な再生が先送りされる懸念もあった」と説明。
新政権発足直後に国交相直属の再生タスクフォースによる私的整理案が採用されなかった経緯については、年金債務の問題解決に懸念があったうえ、債権放棄について金融機関から反対が大きく、公的な仕組みで再生が必要と考えたため、支援機構の活用をタスクフォースにお願いしたと語った。
年金債務圧縮のために現役社員やOBの大幅な年金減額を要請せざるを得なかった背景について、「本来なら清算すべき会社を立て直すのだから、現役やOBの方々にさまざまな協力をいただくべき」と指摘した。
JAL再建により多数の不採算路線からの撤退が見込まれるが、現時点ではJALが撤退しても他の航空会社が運航するため、飛行機が飛ばない地方空港が現れることはないとしている。ただ、路線撤退が今後拡大する可能性があるとして、「地方空港は国におんぶにだっこでなく、航空会社を呼び込む知恵を出して欲しい」と述べ、地方空港や自治体の自助努力の必要性を説いた。
JAL再生まで十分な資金を確保、運航継続と確実な再生図る 2010年01月19日 ロイター
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPnTK035225720100119
政府は19日、日本航空に対する企業再生支援機構の支援決定を受け、JALが再生を果たすまで、十分な資金を確保するほか、外国政府に対して理解と協力を得るなど運航の継続と確実な再生をはかるため、必要な支援を行うとする政府声明を発表した。
声明は19日の閣議で了解された。声明では、JALが会社更生法を申請し、企業再生支援機構による支援が決定したことについて「国民目線に立った確実な再生を図ることになる」と評価。
JALを「日本の発展基盤である航空ネットワークの重要な部分を担っている」と位置づけ、再生までの間、「十分な資金を確保するほか、外国政府に対して理解と協力を得るなど、運航の継続と確実な再生を図るため、必要な支援を行なっていく」ことを明記した。
また、JALに対し「全社をあげて事業と財務基盤の健全化に協力に取り組み、安全な運航の確保について万全を期す」ことを要請した。
声明発表を受け、菅直人副総理兼財務・経済財政担当相は財務省内で記者団に対し、JALが会社更生法の適用申請という法的整理に至った経緯について「企業再生支援委員長ら支援決定を判断できる方々が、早い段階から法的整理を中心に考えていた。私もそのことは理解していた」とし、透明性の高さとJALの経営や事業の複雑さなどを考慮し、法的整理が選択されたとの見解を示した。
法的整理に伴い、JALは100%減資となり、株主責任が問われることになる。菅財務相は「有限責任の中で(株式の)価値がなくなると同時に金融機関も多額の債権放棄を行う。株式会社という性格上、ルールに則ったかたちだと思う」と語った。
また、日本政策投資銀行などの債権放棄に関しては「政投銀という銀行としての収益の中で対応できる」との認識を示した。
菅財務相は、JAL再建問題に対する関係者のこれまでの対応について「きちんとしたプロセスを踏んできた。政権交代があったからこそ透明性の高い再生に踏み切れる」とし、企業再生支援機構やJALの新しい会長兼最高経営責任者(CEO)に内定している京セラ(6971.T: 株価, ニュース, レポート)の稲盛和夫名誉会長ら関係者の取り組みで「(JALを)立派な会社に再生してほしい」と期待感を表明した。
日航向け債権、銀行団の放棄額は3585億円に 2010年01月20日 日経
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20100119ATGC1900X19012010.html
日本航空が19日、会社更生法の適用を申請したことで、日本政策投資銀行や3メガバンクなど銀行団は総額3585億円の債権放棄を迫られる。日航関連損失で直ちに赤字に転落する状況ではないが、銀行収益が低調な中で追加損失の発生は痛手だ。大手銀が私的整理という“軟着陸”を求めたのに対し、国は法的処理による抜本処理を選択し、銀行の発言力低下も露呈した。
みずほフィナンシャルグループは同日、日航に対する債権が951億円あると発表した。保有する株式が“紙くず”になることもあり、2009年10~12月期決算に数百億円の追加損失を計上する見込みだ。住友信託銀行も281億円の債権があると発表した。
日本航空(JAL)が当初の予定通り? 会社更生法を申請しました。負債総額は2超3000億円を超え、事業会社としては2000年のそごうの1兆8700億円を抜く金融関連を除けば戦後最大の大型倒産となってしまったようです。
一日も早く強い経営体質の会社に生まれ変わって復活してきて欲しいものですね…。
http://jp.reuters.com/article/JPbusinessmarket/idJPJAPAN-13407020100119
日本航空(JAL)は19日、東京地裁に会社更生法の適用を申請し、受理されたと発表した。企業再生支援機構も同日夕、支援の正式決定を発表し、JALは支援機構をスポンサーとして再建を図ることとなった。
負債総額は2兆3221億円となり、事業会社としては戦後最大、負債の多い金融業を含めると戦後4番目の大規模経営破たんとなる。
更生法を申請したのは、日本航空と子会社の日本航空インターナショナル、JALキャピタルの3社。事業会社としては2000年のそごうの1兆8700億円を抜く負債総額となる。1951年に設立され1987年に完全民営化した、日本のフラッグキャリアが事実上国の管理下に入る。国内大手航空会社としては初の破たんとなる。
支援機構はJALの管財人として裁判所に選任され、再建のスポンサーとなった。支援機構は、破たん後のつなぎ資金として支援機構と最大債権者の日本政策投資銀行が6000億円の融資枠を設定し、資金繰りを支える。支援機構の試算によるとJALは2010年3月末で8449億円の債務超過となる見込みで、このため金融機関などに対する3500億円の債権放棄を含めた総額7300億円の債権カットの実施や、支援機構による最低3000億円出資で債務超過を解消する。株主責任を問うために100%減資を実施し、上場廃止する計画となっている。機構は路線整理や人員削減などのリストラも進め2013年までに再建を完了させる。12年度には売上高1兆3585億円、営業利益は1157億円を目指す。
金融機関に対しては貸出金などの債権の無担保部分の83%を一律カットする計画。これに伴い社債や燃油デリバティブなどの債権者に対しても最大で83%のカット率が適用される可能性がある
一方、燃油や部品、備品など一般商取引や利用客のマイレージについては、支援機構がすでに保護を表明しており、通常の運航を継続しながら再生を図る。JALの新しい会長兼最高経営責任者(CEO)には京セラの稲盛和夫名誉会長が内定している。西松遥社長は19日付で退任し同日夜に支援機構と共同で記者会見する。
JALは2001年の同時多発テロ以降、国際線需要の急減を受け旧日本エアシステム(JAS)と統合したが、組織統合の遅れや、燃費効率の悪い大型機材を多数保有し続け、競合する全日本空輸と比べ高コスト体質の改善が遅れた。
業績悪化は、不採算な地方空港を作り続けた国土交通省など行政側にも一因があり、前政権までJALの抜本的な再建は先送りされてきた。2001年以降、日本政策投資銀行による緊急融資や、総合商社など取引先企業を引き受け先とする第三者割当増資で自己資本の増強が図られた。
しかし昨秋発足した新政権は、激化する東アジアの航空市場で日本の航空・空港産業を強化するため、JALの抜本的な処理が不可欠と判断。前原誠司国交相直轄のJAL再生タスクフォースが昨年10月末に再生計画を立案したが、巨額の金融支援には公的資金が不可欠との判断から企業再生支援機構で支援が検討されてきた。政府の支援体制をめぐり閣内が揺れ動くなか、支援機構は昨年末に裁判所を活用した公平な再建が不可欠と判断し、日本で初の会社更生法を活用した事前調整型(プレパッケージ型)法的整理を手法として選択した。
JALが更生法申請、支援機構傘下で再建へ 2010年01月19日 ロイター
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPnTK035223120100119
日本航空(JAL)は19日、東京地裁に会社更生法の適用を申請し、受理されたと発表した。企業再生支援機構も同日夕、支援の正式決定を発表し、JALは支援機構をスポンサーとして再建を図ることとなった。負債総額は2兆3221億円となり、事業会社としては戦後最大、負債の多い金融業を含めると戦後4番目の大型経営破たんとなる。東京証券取引所は、日本航空(JAL)株式を2月20日に上場廃止すると発表した。
更生法を申請したのは、日本航空と子会社の日本航空インターナショナル、JALキャピタルの3社。事業会社としては2000年のそごうの1兆8700億円を抜く負債総額となる。帝国データバンクによると、世界の航空会社では、05年の米デルタ航空(負債3兆1200億円)、02年の米ユナイテッド航空(同2兆8000億円)に次ぐ3番目の規模となる。
同日夕、記者会見した前原誠司国土交通相はJALが再生を果たすまでの間、必要な支援を行うとの声明を発表した。またJALが支援機構で再建を目指す最長3年の期間は「日本の航空行政全般を見直す」と強調。日本国内にJALと全日本空輸という大手航空会社が2社存続する体制についても「2社必要なのか注視する必要がある」と指摘し、国内航空業界の抜本的な再編も視野に入れていることを明らかにした。
JALの業績悪化の要因については「不採算路線を強いた国の責任は大きい、最後は国が支援してくれるとの甘えがJAL内にあったのも事実」と指摘。風評被害も懸念される法的整理による支援を政府として決定した背景として「私的整理では抜本的な再生が先送りされる懸念もあった」と説明した。
支援機構はJALの管財人として裁判所に選任され、再建のスポンサーとなった。支援機構は、破たん後のつなぎ資金として支援機構と最大債権者の日本政策投資銀行が6000億円の融資枠を設定し、資金繰りを支える。支援機構の試算によるとJALは2010年3月末で8449億円の債務超過となる見込みで、このため金融機関などに対する3500億円の債権放棄を含めた総額7300億円の債権カットの実施や、支援機構による最低3000億円出資で債務超過を解消する。株主責任を問うために100%減資を実施し、上場廃止する計画となっている。機構は路線整理や人員削減などのリストラも進め2013年までに再建を完了させる。12年度には売上高1兆3585億円、営業利益は1157億円を目指す。
金融機関に対しては貸出金などの債権の無担保部分の83%を一律カットする計画。これに伴い社債や燃油デリバティブなどの債権者に対しても最大で83%のカット率が適用される可能性がある。
一方、燃油や部品、備品など一般商取引や利用客のマイレージについては、支援機構がすでに保護を表明しており、通常の運航を継続しながら再生を図る。JALの新しい会長兼最高経営責任者(CEO)には京セラの稲盛和夫名誉会長が内定している。西松遥社長は19日付で退任し、同日夜に支援機構と共同で記者会見する。
JALは2001年の同時多発テロ以降、国際線需要の急減を受け旧日本エアシステム(JAS)と統合したが、組織統合の遅れや、燃費効率の悪い大型機材を多数保有し続け、競合する全日本空輸と比べ高コスト体質の改善が遅れた。
業績悪化は、不採算な地方空港を作り続けた国土交通省など行政側にも一因があり、前政権までJALの抜本的な再建は先送りされてきた。2001年以降、日本政策投資銀行による緊急融資や、総合商社など取引先企業を引き受け先とする第三者割当増資で自己資本の増強が図られた。
しかし昨秋発足した新政権は、激化する東アジアの航空市場で日本の航空・空港産業を強化するため、JALの抜本的な処理が不可欠と判断。前原誠司国交相直轄のJAL再生タスクフォースが昨年10月末に再生計画を立案したが、巨額の金融支援には公的資金が不可欠との判断から企業再生支援機構で支援が検討されてきた。政府の支援体制をめぐり閣内が揺れ動くなか、支援機構は昨年末に裁判所を活用した公平な再建が不可欠と判断し、日本で初の会社更生法を活用した事前調整型(プレパッケージ型)法的整理を手法として選択した。
戦後の大型倒産(帝国データバンク、グループ会社含む)
年月 社名 負債総額(単位:100万円)
2008年 9月 リーマン・ブラザーズ証券 4695784
2000年10月 協栄生命保険 4529700
2000年10月 千代田生命保険 2936600
1997年 4月 クラウン・リーシング 2183800
1998年 9月 日本リース 2180300
2000年 7月 そごう 1870000
2001年 9月 マイカル 1742800
1996年10月 日栄ファイナンス 1000000
2001年 3月 東京生命保険 980200
2000年 5月 ライフ 966300
私的整理は金融支援少ないが抜本的再生先送りの懸念あった 2010年01月19日 ロイター
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPnTK035223920100119
前原誠司国土交通相は19日、日本航空(JAL)が会社更生法の適用を申請し、企業再生支援機構が支援を正式決定したのを受け、同社が再生を果たすまでの間、必要な支援を行うとの声明を発表した。
またJALが支援機構で再建を目指す最長3年の期間は、「日本の航空行政全般を見直す」と強調。日本国内にJALと全日本空輸という大手航空会社が2社存続する体制についても、「2社必要なのか注視する必要がある」と指摘し、国内航空業界の抜本的な再編も視野に入れていることを明らかにした。
国交相は同日の会見で「これまでJALを利用されていた方は今後も利用を継続してほしい」と再三繰り返し、風評被害による顧客離れが起こらないよう、政府として全面的な支援を行う姿勢を示した。
JALの業績悪化の要因については「不採算路線を強いた国の責任は大きい、最後は国が支援してくれるとの甘えがJAL内にあったのも事実」と指摘した。
風評被害も懸念される法的整理による支援を政府として決定した背景として国交相は「私的整理では抜本的な再生が先送りされる懸念もあった」と説明。
新政権発足直後に国交相直属の再生タスクフォースによる私的整理案が採用されなかった経緯については、年金債務の問題解決に懸念があったうえ、債権放棄について金融機関から反対が大きく、公的な仕組みで再生が必要と考えたため、支援機構の活用をタスクフォースにお願いしたと語った。
年金債務圧縮のために現役社員やOBの大幅な年金減額を要請せざるを得なかった背景について、「本来なら清算すべき会社を立て直すのだから、現役やOBの方々にさまざまな協力をいただくべき」と指摘した。
JAL再建により多数の不採算路線からの撤退が見込まれるが、現時点ではJALが撤退しても他の航空会社が運航するため、飛行機が飛ばない地方空港が現れることはないとしている。ただ、路線撤退が今後拡大する可能性があるとして、「地方空港は国におんぶにだっこでなく、航空会社を呼び込む知恵を出して欲しい」と述べ、地方空港や自治体の自助努力の必要性を説いた。
JAL再生まで十分な資金を確保、運航継続と確実な再生図る 2010年01月19日 ロイター
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPnTK035225720100119
政府は19日、日本航空に対する企業再生支援機構の支援決定を受け、JALが再生を果たすまで、十分な資金を確保するほか、外国政府に対して理解と協力を得るなど運航の継続と確実な再生をはかるため、必要な支援を行うとする政府声明を発表した。
声明は19日の閣議で了解された。声明では、JALが会社更生法を申請し、企業再生支援機構による支援が決定したことについて「国民目線に立った確実な再生を図ることになる」と評価。
JALを「日本の発展基盤である航空ネットワークの重要な部分を担っている」と位置づけ、再生までの間、「十分な資金を確保するほか、外国政府に対して理解と協力を得るなど、運航の継続と確実な再生を図るため、必要な支援を行なっていく」ことを明記した。
また、JALに対し「全社をあげて事業と財務基盤の健全化に協力に取り組み、安全な運航の確保について万全を期す」ことを要請した。
声明発表を受け、菅直人副総理兼財務・経済財政担当相は財務省内で記者団に対し、JALが会社更生法の適用申請という法的整理に至った経緯について「企業再生支援委員長ら支援決定を判断できる方々が、早い段階から法的整理を中心に考えていた。私もそのことは理解していた」とし、透明性の高さとJALの経営や事業の複雑さなどを考慮し、法的整理が選択されたとの見解を示した。
法的整理に伴い、JALは100%減資となり、株主責任が問われることになる。菅財務相は「有限責任の中で(株式の)価値がなくなると同時に金融機関も多額の債権放棄を行う。株式会社という性格上、ルールに則ったかたちだと思う」と語った。
また、日本政策投資銀行などの債権放棄に関しては「政投銀という銀行としての収益の中で対応できる」との認識を示した。
菅財務相は、JAL再建問題に対する関係者のこれまでの対応について「きちんとしたプロセスを踏んできた。政権交代があったからこそ透明性の高い再生に踏み切れる」とし、企業再生支援機構やJALの新しい会長兼最高経営責任者(CEO)に内定している京セラ(6971.T: 株価, ニュース, レポート)の稲盛和夫名誉会長ら関係者の取り組みで「(JALを)立派な会社に再生してほしい」と期待感を表明した。
日航向け債権、銀行団の放棄額は3585億円に 2010年01月20日 日経
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20100119ATGC1900X19012010.html
日本航空が19日、会社更生法の適用を申請したことで、日本政策投資銀行や3メガバンクなど銀行団は総額3585億円の債権放棄を迫られる。日航関連損失で直ちに赤字に転落する状況ではないが、銀行収益が低調な中で追加損失の発生は痛手だ。大手銀が私的整理という“軟着陸”を求めたのに対し、国は法的処理による抜本処理を選択し、銀行の発言力低下も露呈した。
みずほフィナンシャルグループは同日、日航に対する債権が951億円あると発表した。保有する株式が“紙くず”になることもあり、2009年10~12月期決算に数百億円の追加損失を計上する見込みだ。住友信託銀行も281億円の債権があると発表した。
日本航空(JAL)が当初の予定通り? 会社更生法を申請しました。負債総額は2超3000億円を超え、事業会社としては2000年のそごうの1兆8700億円を抜く金融関連を除けば戦後最大の大型倒産となってしまったようです。
一日も早く強い経営体質の会社に生まれ変わって復活してきて欲しいものですね…。