ファイナンシャルプランナーのニュースチェック

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対スティールパートナーズ 攻防戦 ニュース×2

2007-06-14 14:57:09 | Weblog
ブルドックの新株予約権行使、スティールが差し止め請求 2007年6月13日 日経
http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/20070613AT1D1307S13062007.html
 米投資ファンドのスティール・パートナーズは13日、TOB(株式公開買い付け)を実施中のブルドックソースが打ち出した新株予約権の差し止めを求める仮処分を東京地裁に申し立てたと発表した。同日午前に行われたスティールのウォレン・リヒテンシュタイン代表とブルドックの池田章子社長の会談が物別れに終わったことから、法廷闘争に踏み切ったとみられる。
 ブルドックが計画している対抗策は全株主に新株予約権を割り当てるが、スティール分は普通株に転換せず、代わりに現金が支払われる仕組み。新株予約権が行使されれば発行株式が増加し、スティールの株式保有比率は現在の約10%から約3%まで減少する。
 スティールは「一般株主とは著しく差別的に取り扱っており、株主平等原則に反する」と主張。新株予約権の発行差し止めと株主総会での決議差し止めを申請した。

天龍製鋸、スティールのTOBへ反対表明 2007年6月14日
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20070613AT1D1308513062007.html
 産業用のこぎり大手の天龍製鋸は13日、米系投資ファンド、スティール・パートナーズが同社に対して実施しているTOB(株式公開買い付け)に反対することを正式に表明した。鈴木寛善社長は記者会見で、スティールの開示情報などが不十分なため「TOBが企業価値と株主共同の利益に反する」と説明。事前警告型の買収防衛策導入も表明した。
 買収防衛策は28日の株主総会での承認が前提。買い付けで保有比率が発行済み株式の20%以上になる場合、買収者に対して情報開示などを求める。企業価値を損なうと判断すれば新株予約権を無償で既存株主に割り当てて対抗できる。
 同社は安定株主が多く、TOBに応じる株主は少ないと判断。スティールの保有比率は「20%以上にはならない」(鈴木社長)とみている。TOBはすでに始まっているため、今回導入する買収防衛策の対象にはならないが、今後、スティールが買い増して20%以上になる場合は防衛策を発動できる。


 どうもこのリヒテンシュタイン代表という人物。『人間 金さえ積めばどうにでもなる』と考えている、とんだお坊ちゃまのようで、ここまで忠実にピエロを演じてくれると、怒るのを通り越して、もはや笑う(嘲笑する?)ことしかできません。
 もっとも巻き込まれている当人達にとってはたまったモノではありませんし、買収防衛策を整えるのは当然のこと。ただ、北越製紙の時のように、仮に買収防衛策が否定されても地元の金融機関や大株主も買収反対に回りそうですし、事実上身動きがとれない仕手筋状態になる可能性が高いのでは…。

 天龍製鋸もブルドックソースもとんだ災難ですが、巻き込まれた方としては、今後業界大手が本気で敵対的TOBを仕掛けてきた時の事前シミュレーションをやっているとでも思わなければ到底気持ちが収まらないでしょうね…。

ブルドックとスティール、初会談は物別れ 

2007-06-14 14:42:36 | Weblog
ブルドックとスティール、初会談は物別れ 2007年6月13日 日経夕刊
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20070613AT2F1300K13062007.html
 ブルドックソースの池田章子社長と、同社に対してTOB(株式公開買い付け)を実施している米投資ファンドのスティール・パートナーズのウォレン・リヒテンシュタイン代表は13日午前、東京都内で約1時間会談した。TOB開始後、両社がトップ会談を開くのは初めて。会談は双方の意見や質問をぶつけ合っただけで議論はかみ合わず、物別れに終わった。
 池田社長はリヒテンシュタイン代表に対し、ブルドック株の取得目的や買収後の事業計画などをただした。ブルドックはこれまでスティールに株式取得目的などを尋ねる質問状を2度にわたって送付したが、いずれも十分な回答を得られず、今回改めて回答を求めた格好だ。


 スティールの代表は一体日本に何しに来たんだ? と思っていましたが、どうやらブルドックソースの買収交渉のために自ら乗り出してきたようですね。
 もっとも、ブルドックソースの経営陣から見れば、ソースつくりの経営ノウハウももっていない、ただの金持ちのぼんぼんに何ができる? という思いでしょうし、まして従業員から見れば、強引なリストラをしたり、企業を勝手に切り売りしかねないという懸念を持ち反対運動を起すのも無理のないこと。合理的な提案もできない状態では、ますますブルドックソースを擁護する意見が強くなり、裁判でもスティール敗訴の確立が高くなるだけだと思います。

呉服販売:「愛染蔵」を詐欺容疑で本格捜査へ 大阪府警

2007-06-14 14:33:39 | Weblog
呉服販売:「愛染蔵」を詐欺容疑で本格捜査へ 大阪府警 2007年6月12日 毎日
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/jiken/news/20070612k0000m040156000c.html
 支払い能力を超えたクレジット契約で次々に着物を売りつける販売方法で、顧客から詐欺容疑などで告訴された呉服販売大手「愛染蔵(あぜくら)」(本店・大阪市中央区、破産手続き中)に対し、大阪府警捜査2課は11日、同社の破産管財人から販売業務に関する資料の引き渡しを受けて、本格捜査に乗り出した。「人間国宝の作品で将来値上がりする」などと虚偽のセールストークで販売したとして告訴されており、府警は今後、任意提出された段ボール約800箱に及ぶ大量の資料を精査し、実態解明する方針だ。
 昨年8月、大阪や奈良の主婦ら5人が00~05年に、約390万~約90万円分の着物をだまされて買わされたとして、同社経営陣や従業員を府警に詐欺容疑などで告訴した。告訴状によると、著名な工芸作家の作品だと説明され、「人間国宝の作品なので財産になる」「本当は600万円ぐらいだが170万円にする。将来値上がりする」などと強く勧められた。実際には、この作家は人間国宝ではないうえ、着物も作家自身の作品ではなく、作家が設立した着物や帯などを製作販売する工房で製作。告訴人らは「購入価格に見合う価値はない」と主張している。
 府警は、人間国宝の作品と偽った贋物(がんぶつ)販売が、社の方針として組織的に行われたとみて、同社の販売マニュアルや指示経路などを詳しく調べる。
 同社を巡っては、「見るだけでいい」と誘われた展示会で、従業員に取り囲まれて着物を買うよう何時間も説得されたり、支払い能力を超えたクレジット契約を結ばされたという訴えが続出している。
 昨年3月、同社は関連会社7社を含め計約148億円の負債を抱えて大阪地裁に自己破産を申請。直後、社長(当時63歳)が京都府内のホテルで自殺した。破産管財人が不動産売却などを進めているが、債権者への十分な配当は困難とみられる。


 愛染蔵(あぜくら)と言えば、嵯峨野の竹林を若い女性が歩きながら、『京都嵯峨野に吹く風は…』という歌が流れる イメージ先行のCMをばんばん流していましたが、その一方でかなり強引な着物の販売もやっていたようで、会社は既に倒産、社長も自殺して、その真相追究は難しくなったと思われたのですが、どうやら大阪府警は詐欺容疑で本格捜査に乗り出すようですね。
 まあ、今頃この会社の捜索をやったところで、被害者への配当が少しでも増えるとは思えないのですが、着物業界が不況のため、他にも複数の着物販売会社で、かなり強引な勧誘で着物を買わせたり、時には客ばかりでなく、その着物販売会社のパートに応募してきた人間にまで無理やりクレジットカードを作らせてローンを組ませて高額の着物を買わせたりしていた事例もあるようですし、おそらくは今後、強引な販売をする着物販売会社に対しての牽制と、今後捜査を進める上でのノウハウを積むことが本当の目的ではないかと思います。

子ども携帯、電源切っても再起動…航空会社が対策に躍起 

2007-06-14 14:30:08 | Weblog
子ども携帯、電源切っても再起動…航空会社が対策に躍起 2007年6月9日 読売夕刊
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070609i104.htm?from=main1
 子供用携帯電話や携帯ゲーム機など、飛行機内に最新の電子機器を持ち込む子供たちに、航空各社が頭を悩ませている。
 中でも防犯機能内蔵の子供用携帯電話は、電源をオフにしても自動的に再起動するため、機器が発する電波の影響で飛行機の運航システムが誤作動する恐れがあるためだ。航空各社では子供の利用客が増える夏休みシーズンを前に、機内での電子機器類の使用制限について理解を広めたいとしている。
 航空各社が対策に追われているのが、NTTドコモが昨年3月に発売した「キッズケータイ」。この機種は、電源を切っても一定時間ごとに自動的に電源が入り、内蔵の全地球測位システム(GPS)で携帯の現在位置を親の携帯電話にメールなどで通知する防犯機能を備えている。今年4月までに計約39万台が売れたヒット商品で、ライバルのKDDIも追随し、同種機能を持つ子供用携帯電話を発売している。
 こうした防犯機能は、あらかじめ登録してある暗証番号を入力すれば解除できるが、暗証番号を入力せずに電源オフにするケースが多く、機内で再起動しているケースが多いという。このため、全日空は昨年7月から、搭乗口に電源オフのやり方をポスターで掲示するなど、機内で再起動しないよう防犯機能を解除するよう呼びかけてきた。
 しかし、利用客が防犯機能解除の暗証番号を忘れてしまい、搭乗口で電源をオフにできないトラブルが後を絶たないため、全日空と日本航空は携帯電話各社と協議。暗証番号がなくても強制的に電源オフにできるよう、電話機本体から電池を取り外すための工具を機内に搭載するようにした。
 全日空によると、これまで子供用携帯電話で目立ったトラブルは起きていないというが、電源の切り方などが分からない場合は「カウンターの職員や客室乗務員に申し出てほしい」としている。
 一方、「ニンテンドーDS」(任天堂)、「プレイステーション・ポータブル」(ソニー)などの携帯ゲーム機では、2人以上で「通信対戦」ができる無線通信機能を備えているが、同機能は国土交通省が定めた、機内での電子機器類の制限ルールの想定外。国交省は、近く省令に基づくルールを改正、無線通信機能オフを制限項目に盛り込むことを決めている。


 ちなみに、この携帯電話を巡る事件では、機内で再三注意したにも関わらず携帯電話を切らなかった暴力団組員がとうとう逮捕状をとられる(http://www.asahi.com/national/update/0613/TKY200706130160.html?ref=goo)という事件まであったそうですが、子供用携帯の場合は携帯電話の電源が自動的に入ってしまい、暗証番号がわからないと、セキュリティ上、専用工具を使わないと電池を取り外せない構造になっているようですね。
 私、この子供用携帯電話の電源が自動的に入ってしまう話を聞く度にいつも思うのですが、どうせ航空機の中で携帯電話を使うことができないのならば、電池パックを取り外してから乗り込んでもらうなり、あるいは、予め電波を遮断する専用ボックスに預け入れてもらい 一緒に輸送、到着後当人に引き渡すことはできないのかな…などとついつい考えてしまいます。
 まあ、ゲーム機については、子供の場合は間が持たないというのもあるのかもしれませんが、こういうのも現代ならではの悩みなんでしょうね。

関連ニュース
航空機内で携帯の電源切らず 全国初、容疑の組員逮捕へ
http://www.asahi.com/national/update/0613/TKY200706130160.html?ref=goo

裁判員、日当上限は1万円…最高裁が制度の細則決定 

2007-06-14 14:23:14 | Weblog
裁判員、日当上限は1万円…最高裁が制度の細則決定 2007年6月14日
読売夕刊 http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070613it03.htm
朝日夕刊 http://www.asahi.com/national/update/0613/TKY200706130129.html
 2009年に始まる裁判員制度を前に、最高裁は13日、裁判官会議を開き、裁判員裁判の実施場所や裁判員の選任手続き、日当など、制度の細則を定めた「裁判員規則」を制定した。7月上旬に公布され、来秋までに施行される。
 裁判員裁判が行われるのは、全国50か所の地裁本庁に、八王子(東京)や堺(大阪)、小倉(福岡)など10支部を加えた計60か所。裁判員が裁判所に出向く負担などを考慮し、支部にも拡大した。今後、専用法廷の整備や、裁判官の配置などの準備が進められる。
 裁判員の選任手続きは、毎年10月ごろに始められる。翌年1年間で裁判員に選ばれる可能性がある候補者(全国で約36万人)を、選挙人名簿から抽選で選ぶ。実際の事件で、候補者に呼び出し状を送るのは初公判の6週間前。呼び出し状には、審理にかかる日数が記載され、同封の質問票に書いた理由が認められれば、出頭が免除されることもある。
 裁判員6人を選ぶ手続きが行われるのは初公判当日の午前中。選任手続きに来た候補者は全員、裁判長から直接、口頭で個別に質問を受ける。辞退したい理由や、事件との関係の有無、重大事件であれば、死刑制度に対する考え方なども聞かれる見通しだ。
 裁判員に支払われる日当は上限で1日1万円。選任手続きで裁判所に出頭したものの裁判員に選ばれなかった候補者にも、8000円を上限に日当が支払われる。実際に支払われる額は、拘束時間に応じ裁判長が決定する。また、交通費のほか、宿泊が必要な場合は一泊8700~7800円が支給される。
 裁判員裁判は、死刑または無期の懲役・禁固にあたる罪などの重大事件が対象で、年間約3600件。裁判員や補充裁判員に選ばれるのは、年間約2万9000人と見込まれている。


 私はこの裁判員制度について、まさに昨日 某士業の必須研修会に参加して、中村雅俊さんや西村俊彦さん、加藤夏希さん達が熱演を振るう啓発用DVD(約1時間)を見てきたばかりなのですが、この制度『仕事が忙しいだけでは選任を拒否できない』、『裁かれる被害者から逆恨みされるのでは…(当然ですが、法律でこのような嫌がらせ行為には重い罰則が科せられます)』『会社をクビになったら…(法律で解雇等の不利益取扱は禁止されるとのこと。多分労働基準法等の法律に明記することになることが予想されます)』 といった負のイメージばかりが伝わっていて、実際にはどのように審議が進むのかなどが、一般の人にほとんど伝わっていないことが気がかりに思います。
 ちなみに、紙面にもありますが、実際の事件で、候補者に呼び出し状を送るのは初公判の6週間前(審議が5日くらいかかりそうな重大事件についてはさらに前の8週間前になるそうです)。さすがにこれだけあれば、お仕事の調整も大概の方はなんとか調整できるだけの時間的余裕はありそうです(まあ、それでも個人事業主や多忙な社長業の人には抵抗があるかも…)し、選挙人名簿からそれぞれの地方裁判所が候補者を選びますので、原則住所のある地方裁判所での審議となり(堺市のような特別大きな都市のある地域では地方裁判所の支部で審議を進めるケースも一部あるようです)例えば大阪に住む人が仙台まで呼び出されるようなケースはまずありません。宿泊費というのも例えば京都府ならば舞鶴や宮津のように、朝方から審議に参加するには通勤に時間がかかり(京都の地方裁判所は京都御所の南にあります)審議時間に物理的に間に合わないケースを想定しているようです。

 この裁判員制度に関心のある方は、一度この啓発用ビデオをご覧になられてみてはどうでしょうか。都道府県によって若干対応の差はあるとは思いますが、各県の高等検察庁には大概広報窓口という対一般向けの窓口があり、先ほどの中村雅俊が裁判官役をやっている広報用ビデオについても、貸し出したり、希望すれば、学校や企業・団体・市民講座・自治体・町内会に講師を派遣してパワーポイントを用いた裁判員制度についての講演・広報用ビデオの上映を行ってもらうこともできるようになっているようです。

申請せず時効、年金もらえず・5年で計1155億円

2007-06-14 14:13:13 | Weblog
申請せず時効、年金もらえず・5年で計1155億円 2007年6月14日
日経 http://www.nikkei.co.jp/news/main/20070613AT3S1301W13062007.html
朝日 http://www.asahi.com/life/update/0614/TKY200706130419.html
 厚生労働省は13日、公的年金の支給に関連し、本人の申請がなかったために5年の時効が適用され、支給を受けられなかったケースは1999年から5年間で、総額1155億円に上ったことを明らかにした。件数ベースでは同期間で9万3000件。
 対象者が分からない年金記録5000万件とは別枠で、正しく記録されているにもかかわらず、本人が支給を申請しなかったケースだ。現在、参議院で審議中の年金時効特例法案は、年金保険料の納付記録が訂正された場合に5年の時効を適用しないとしている。柳沢伯夫厚労相は、申請手続きが遅れて年金をもらい損ねた人は対象にならず、時効が適用されるとの認識を示した。
 同日の衆院厚生労働委員会で、民主党の内山晃議員の質問に対する厚労省側の答弁で明らかになった。時効がある現行制度の下でもらえなかった年金額の平均は、2003年では1人あたり133万円だった。


 お国から見れば、特例で救済するのは申請者当人が自身の記録がどこにあることを知らずに、そもそも請求できなかったから特例で救済するのであって、当人のミス?による単純な請求遅れは『権利の上に眠るものはこれを許さず』として5年以上前の分の請求は認めないと解釈しているようですが、これは実際に運用されるとなると、現場では大いにもめるでしょうね。
 これまでは一律5年以上前の分は、原則支給しないという統一した見解を通していたので、請求する側も諦めていたと思いますが、本当にこのような区別ができるのでしょうか。私にはそもそも一般の国民には両者の区別さえつかないのでは…という危惧を感じずにはいられません。

社保庁、年金相談急仕立て 増員は素人派遣頼み 

2007-06-14 14:06:37 | Weblog
社保庁、年金相談急仕立て 増員は素人派遣頼み 2007年06月14日 朝日
http://www.asahi.com/life/update/0613/TKY200706130391.html
 やっと電話がつながったと思ったら、年金記録の相談に応じるのは素人の派遣社員――。社会保険庁は、記録確認のフリーダイヤルに殺到する電話に対応しようと、数時間の研修で「促成栽培」した派遣社員をオペレーター要員として送り出している。しかしコンピューターの端末不足もあって記録確認はできず、電話口でひたすら謝るだけで、当の派遣社員も困惑気味だ。利用者の不満は収まりそうにない。
 社保庁は13日、フリーダイヤルと従来ある電話年金相談に同日朝までの24時間にかかってきた電話相談の着信が39万8912件で、実際に応対できたのは1万6480件だったと発表した。前日の着信47万件からは減ったものの、電話しても大半がつながらない状態が続いている。
 同庁は状況を改善するためフリーダイヤルの対応について、社会保険業務センター(東京都杉並区)に加え、複数の大手コールセンター業者に委託。オペレーターをこの日から、300人増やして480人態勢にする計画だった。
 だが、急な要請に応じたオペレーターは予定の半分程度。しかも、着信が横浜市にある業者のコールセンターに回された場合、年金記録にアクセスできるコンピューター端末が手元にないため、肝心の記録確認はできない。電話に出てもひたすら「申し訳ありませんが、何日後かにおかけ直しください」とお願いするのが主な仕事だ。
 大半が派遣社員で、年金相談は初めて。同庁は01年から電話相談の外部委託を始めた。通常は20日間ほど研修を行ってから現場に送り込むが、今回は急ごしらえのため、研修は13日朝から約5時間の「にわか仕込み」だ。
 夜間の相談は、社会保険業務センターで社保庁職員が直接対応しているが、日中は保険料の徴収や記録の管理をしている担当外の人たち。平均で1時間2万件の着信があるのに、深夜に対応できるのは40~50人だけ。13日夜から70人の派遣社員が入ることになったが、こちらもまったくの素人という。
 同センターで働く派遣社員の男性(31)は「すべてが見切り発車で、現場は混乱している」。これまでは通常の年金相談をしてきたが、「月曜日に突然、何の説明も研修もなく、記録確認のフリーダイヤルを担当しろと言われた」。
 1件の電話対応に30~40分かかるため、1日に処理できるのは1人20件が限界。「質も量も不十分な状態で、まともに相談にのれるはずがない」と話す。記録確認では10件中数件に入力ミスが見つかるともいう。「社保庁がやってきたことはいい加減なことばかりだ」
 相談業務以外でも「派遣頼み」が実態だ。北日本の社会保険事務局で年金情報のパソコン入力をしていた派遣社員の女性(37)は「他人の年金を扱う責任の重い業務だから当然丁寧な研修があると思っていた」が、初日に20ページほどのマニュアルを手渡され、「分からなければ手を挙げて」と言われただけ。「大切な仕事なのに正規職員の数が少なすぎる」と話す。
 「官公庁から委託されるお仕事なので、安心して始められますよ。時給1050~1100円。18~63歳の男女、学歴・経験不問」
 5月下旬、大手コールセンターのトランスコスモス(本社・東京)のこんな求人広告がインターネット上に掲載された。7月から電話相談業務を社保庁から委託されるのに合わせ、150人のオペレーターを募集した。
 同庁は「専門知識の必要な相談業務には社会保険労務士の資格を持った派遣社員にあたってもらう」と説明するが、大半の相談業務が素人同然のオペレーターに委ねられる状況は変わりそうにない。


 年金相談の電話が殺到している件で、社保庁が人員を増強するとは聞いていましたが、その補充部隊はなんと、派遣会社から時給1050円-1100円で経験不問の人間をわずか5時間の研修で送り出していたことが判明しました。
 しかも与えられたマニュアルもわずか20ページ程度のもの。マニュアルのページ数から判断すると、老齢年金の基本中の基本+加入期間の主要な特例(3つ)を解説してあればいいところですし、これでは窓口担当者は障害年金は勿論のこと遺族年金のことも、まず答えられないでしょうね。(下手をすると相談している方のほうが年金本の1冊も読んで制度に詳しかったりするかもしれません。)

 私はてっきり現場にいた退職OBに頭を下げまくって、一定期間だけ現役復帰してもらうのかと思っていたのですが、銀行業務検定の年金3級(本格的に相談に乗るには更に上級の2級レベルが必要です)レベルの専門資格も持たない人間を現場に放り込んで、社保庁は一体何を考えているんでしょうか。
 社保事務所でアルバイトしていた元女性職員の話では、これまでも窓口業務は専ら専門知識を教育されていない非常勤職員だけで対応して、正規職員からの教育・研修は導入研修以外はほとんどなかったという、恐ろしい噂を聞いたこともあるのですが、正直、体裁を取り繕うために、ここまで酷い状態になっているとは…。

 一方、送り込まれる派遣社員から見れば、自分自身が年金制度もよくわからないのに、現場に放り込まれ、そして端末がないために、実際にやる事と言えば現場で謝ることばかり。これでは当の派遣社員のモラルが下がってしまいますし、はっきり言って、人件費の無駄遣い以外の何物でもありません。ちなみに社会保険労務士と一言にいっても年金に詳しい方とそうでない方(相談するならFP資格か年金アドバイザー等の資格を持っている、年金をウリにしている社労士の方が無難でしょうね)がいることを、この場を借りてお伝えしたいと思います。

年金電話相談、24時間で40万件…38万件はつながらず 

2007-06-14 13:51:38 | Weblog
年金電話相談、24時間で40万件…38万件はつながらず 2007年6月14日 読売
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070613i114.htm
 年金記録漏れに関する問い合わせに応じる電話に相談が殺到している問題で、社会保険庁は13日、12日朝からの24時間で、相談電話に約40万件の着信があったと発表した。
 しかし、このうち実際に相談に応じることができたのは約1万6000件に過ぎず、つながりにくい状態が続いている。
 同庁によると、12日午前8時30分~13日午前8時30分までに、記録相談専用のフリーダイヤル(0120・657830)と「ねんきんダイヤル」(0570・05・1165)への着信件数は39万8912件。このうち応答件数は1万6480件で、応答率は約4%となっている。前日に比べると着信件数で約7万件少ないものの、つながりにくさは改善されていない。
 同庁は13日朝から、フリーダイヤルの相談員を300人増員すると発表していたが、人員の確保が間に合わず、予定通りの人数が集まるのは今週末にずれ込む見通し。状況の改善もずれ込む可能性がある。


 昨日も年金相談電話には40万件近い相談の電話がかけられたようですが、実際につながったのは16480件で、応答率はわずか4%。しかもさらに問題なのはその現場を対応する職員の中には即席の教育しか受けていないために、マニュアル以外の質問をされた場合には対応できない方もいることでしょうか。(今の時期に電話をかけてくる人は、年金についていろいろ相談したいというある意味切羽詰った方が多いんですけどね…)
 この教育の質については次の記事で…。