ファイナンシャルプランナーのニュースチェック

日々のニュースをFPの視点からチェックしてコメントします

新型定期預金の商品説明徹底、金融庁が監督強化へ

2007-02-18 18:35:02 | Weblog
新型定期預金の商品説明徹底、金融庁が監督強化へ 2007年2月18日 読売
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20070217i313.htm?from=main3
 金融庁は、デリバティブ(金融派生商品)を組み込んだ新型定期預金の商品説明を金融機関に徹底させるため、総合的な監督指針を改正する。
 改正案に対する意見を踏まえ、3月末をめどに実施する。
 改正するのは、デリバティブ預金とも言われる新型定期預金についての苦情が増えているためだ。新生銀行や一部の地方銀行などが取り扱い、販売を伸ばしているこの預金は、銀行が満期を決めるのが特徴で、為替や金利の動向で利回りを変え、年利1%超の高めの金利をうたっている。しかし、預金者が途中解約すると高い手数料がかかるため、解約手数料の支払いで元本割れするケースがある。
 改正指針では、商品勧誘時に〈1〉解約手数料を含む精算金の試算額〈2〉銀行側の権利行使によって元本割れなど預金者が不利になる可能性があること――を原則として書面で顧客に説明することを求める。顧客に誤解させる恐れのある表示をしたり、虚偽説明をすれば行政処分の対象とする。


 こちらも営業の説明不足による顧客トラブルの話です。
 この問題は、これまでの定期預金が途中解約しても元本は保証され、それまでの利息も一定の割引率を適用した上で払っていたため、『イザという時は解約すればいいや』という消費者心理が深く根付いているために発生しているのだとは思いますが、デリバティブを組み込んだ定期預金は、満期を銀行の側が決めることを条件に高金利を引き出せる商品のため、予定外の解約を出すことは運用する側も損失を出すことになり、その損失を負担してもらうために高い解約手数料が設定されています。(商品的には従来の定期預金よりも元本確保型投信に近いものです)

 とはいえ、高齢の方にはいまだに 郵便局>銀行>証券会社 というイメージで見ている方も少なくなく、郵便局やお付き合いの長い銀行が損失の出る商品をセールスにくるわけがないという思い込みをしている人も少なくないのが現実。(逆に営業から見れば、貯蓄型商品だけではノルマを達成できないのでリスク商品を売らざるを得ないんですね…)
 加えて売る側からみれば、具体的な基準がなければ運用の現場でどうしても行き過ぎが出てしまうのは致し方ないことかと思います。
 今回は商品勧誘時に、解約手数料を含む精算金の試算額と銀行側の権利行使によって元本割れなど預金者が不利になる可能性があることを書面で説明することを義務つけるようですが、顧客トラブルを極力防止する意味でも一部の心無い営業が暴走しない中身のある指針を作って欲しいと思います。

変額年金保険、解約で元本割れ注意 

2007-02-18 18:23:26 | Weblog
変額年金保険、解約で元本割れ注意 2007年02月17日 朝日
http://www.asahi.com/life/update/0217/004.html
 大手銀行による変額年金保険の販売が伸びている。運用成績が良ければ年金額が増えるという期待に加え、顧客が死亡した時にもお金が支払われる保険商品であることが人気の理由だ。ただ、主流の「元本保証型」であっても、中途解約すれば大幅に元本割れする恐れがある。説明不足によるトラブルも絶えず、金融庁は販売手法に問題がないか、銀行への検査で重点的に調べ出した。
 銀行は02年10月に保険会社の代理店として、変額年金保険の販売を開始した。商品を作った保険会社が直接に販売する割合は少なく、「銀行などを通じての販売が9割以上」(保険業界関係者)という。三菱東京UFJ、みずほ、三井住友のメガバンク3行の販売累計額は、昨年9月末時点で約3兆7800億円に上り、前年同期より6割以上も増えた。
 「解約金を取られるなら契約しなかった」。昨年7月、首都圏の消費生活センターで78歳の女性が訴えた。1月に自宅で顔見知りの銀行員に勧められ、運用期間10年で元本保証型の変額年金保険に1千万円を投じた。だが後日届いた保険証書で「1年以内に解約すると70万円の費用がかかる」と知った。
 保険会社の説明によれば、変額年金保険を早く解約すればするほど解約金は高くなる。保険会社の利益や経費を確保することに加え、販売を仲介した銀行に支払う手数料コストを一気に回収しなければならないからだ。
 ある外資系保険会社の主力商品の場合、保険料1千万円で契約して、1カ月後に解約すると、その間の運用損益を考慮しなければ、解約金を差し引いて戻ってくる金額は約927万5千円に過ぎないという。ただ、運用成績が良ければ、中途解約しても元本割れしないケースもあり得る。
 国民生活センターによると、銀行が販売する年金保険についての、全国の消費生活センターへの相談件数は05年度で約200件。株価堅調で運用がうまくいっているはずの06年度も2月6日時点で125件に達した。
 金融庁は「今後、株式市場が反落したら、銀行の説明不足で売られた商品への苦情が、さらに表面化しかねない」とみて、警戒を強めている。


 金融業界に関わる者やFPにとっては、変額年金保険は早期に解約すると大幅な元本割れになることや、購入するのならば途中解約しない資金を投入することは半分常識のようなものなのですが、売り手はどうもリスクの説明が不十分なようです。
 さすがに1ヶ月で解約する人はいないと思いますが、商品の性質としては早期解約手数料が非常に高い(元本確保型)投資信託に保険の機能がほんの少しついているようなものですし、銀行マンもそのあたりのリスクをもう少し丁寧に説明して欲しいものです。

恐喝し同和書籍購入させる、会社役員逮捕…被害18億

2007-02-18 18:16:11 | Weblog
恐喝し書籍購入させる、会社役員逮捕…被害18億 2007年2月16日 読売夕刊
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070216i206.htm?from=main2
 広島市中区の出版会社「トラストジャパン」が企業を脅して関係の書籍などを購入させていたとして、広島県警公安課などは16日、同社代表取締役の李一雄被告(63)(法人税法違反罪などで起訴)ら2人を恐喝容疑で逮捕した。
 また、同容疑で同市内などの役員や従業員ら9人の逮捕状を取って事情聴取しており、容疑が固まり次第、逮捕する。
 調べでは、李被告らは共謀し、2005年12月ごろ、「買わないと街宣車を回す」などと岡山市内などの8社を脅して、関係や北方領土問題についての書籍(1冊約5万円)計約40万円を買い取らせた疑い。
 県警は、李被告らが同様の手口で全国の企業を脅し、同月までの約3年間で約18億円を稼いでいたとみている。
 李被告らは、書籍販売の法人税など約3億円を脱税したとして、広島地検に法人税法違反容疑で1月26日に逮捕され、15日に起訴された。


 今時こんな時代錯誤な恐喝をする輩がいるという事実にある意味吃驚です。最近の方は街宣車などうるさいと思うだけで、一々関心など持ちませんし、同和問題や北方領土問題の図書を買わせる手口も昔から使い古されてきた手口なのに、どうしてこのような手口にひっかかってしまうのか…。金を払うということは、わが社には弱みがあるということを自ら認めているようなものですし、何もわざわざ敵に弱みを見せなくても良いと思うのですが…。
 犯人側は本来のオフィスとは別にオフィスを借りるなどして、直接警察の捜査が及ばない程度の小細工はしていたようですが、今時こんな手口で18億円も荒稼ぎするなんて、企業の側の総会屋対策への意識が未だに変革していないことを立証しているように思います。

男性なのに、戸籍には20年間「長女」 山形市が謝罪

2007-02-18 18:07:29 | Weblog
男性なのに、戸籍には20年間「長女」 山形市が謝罪 2007年02月15日 朝日
http://www.asahi.com/national/update/0215/TKY200702140366.html
 本籍地が山形市で、東京都内に住む男性(20)が、戸籍に「長女」と記載されていたことが14日、分かった。男性には「長女」の姉(23)がいる。父親(56)の抗議を受けた山形市は「単純ミスだった」と謝罪した。
 父親によると、大阪府に住む長女が12日、旅券取得のために取り寄せた戸籍謄本に、弟も「長女」と記載されているのを見て気づいた。
 父親の問い合わせで山形市が調べたところ、出生届を受けて戸籍を作る際に間違えたとしか考えられないという。記載にあたっては出生届と照合して確認するが、不十分だったらしい。市は「申し訳ない」と謝った。
 長男は、戸籍と同時に作る住民票では、続き柄は「子」で性別が「男」となっていた。また、97年に取得した旅券も「男」。旅券を取るには戸籍と住民票の提出が求められる。申請を受け付けた山形県は「通常は住民票と戸籍の性別が違う申請を受理することはないのだが」と首をひねる。
 今回のように市側の明らかな誤りであっても、戸籍法上、訂正線が引かれるだけで「長女」の記載は残る。このため、父親は市と訂正方法を話し合うという。


 戸籍の場合、改ざんを防ぐ目的で明らかに誤りとわかっていても訂正線が引かれるだけで記載そのものは残ってしまうようですが、さすがに性別は見ればわかるでしょうし、謝罪して済むような話ではないと思うのですが…。
 このミスは次女と三女を間違えたというのではなく、個人の人権さえふみにじりかねない重大な問題。戸籍そのものを修正できなければ、長男は人生の折り目の度にこの苦痛を味合うことになりますし、何らかの法改正は検討して欲しいですね。

JTが「禁煙反対」の組織票、ネットアンケに社員動員

2007-02-18 18:04:09 | Weblog
JTが「禁煙反対」の組織票、ネットアンケに社員動員 2007年2月15日 読売
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070215i401.htm?from=main4
 神奈川県が、公共の場所を全面禁煙にする全国初となる条例の制定について賛否を問うインターネット・アンケートで、日本たばこ産業(JT、東京都港区)が社員を動員し反対の“投票”をさせていたことが14日、わかった。
 先月26日の締め切り直前に、反対が賛成を逆転。県はネットを使わずアンケートをやり直す。
 JTは「社員に回答の協力を依頼した」と動員を認め、「条例が成立すれば、ほかの自治体に波及する恐れがあった」としている。
 アンケートは昨年12月27日~1月26日、県のホームページ上で実施。受動喫煙防止に関する設問の中で、「条例で公共の場所の喫煙を規制すること」について、「賛成」「反対」を聞いた。1月20日ごろまでは賛成が反対を大幅に上回っていたが、締め切り2日前になって逆転した。回答は4047人から寄せられた。
 JT本社は1月、神奈川県を担当する横浜支店(横浜市西区)などにアンケートへの協力を複数回にわたり依頼、支店から社員全員に伝えたという。社員が、それぞれ担当するたばこ販売店にも回答を依頼していたとの情報もあり、JTは「調査する」としている。
 アンケートは誰でも参加でき、ネット上でアドレスを登録すれば1度回答できる方式だった。松沢成文知事は「システムの改良が必要だ」と話している。


 こういうのって、命令を出すほうも出すほうですが、従う方も従うほうですね。これが単なるインターネット上にある人気投票所なら不正投票があっても、『プロキシー使って大量投票しているバカがいるな』くらいの反応で終わると思いますが、こちらは公共の場所を全面禁煙にする全国初となる条例の制定について賛否を問うインターネット・アンケート。当然禁煙派の関心は高いでしょうし、そこで不自然な票の動きがあればおかしいと思うのは当然。
 ネット調査をするならば、必ず自由意見を書かせるようにしたり、本人確認ができるようにするなど何らかの対処は必要なのですが、この方法では複数のメールアドレスを保有していれば、その分の票数を1人で投票することができます(名前は家族の名義を使えば良いでしょう)し、反対するとわかっているたばこ販売店に回答を依頼する行為もフェアではないと思います。

JTもこんなつまらないことで会社の信用を貶めてしまうなんて、非常に勿体無いですね。

基礎年金番号漏れ、記録に不備5000万件・社保庁調査

2007-02-18 18:00:01 | Weblog
基礎年金番号漏れ、記録に不備5000万件・社保庁調査 2007年2月17日
日経 http://www.nikkei.co.jp/news/main/20070217AT3S1601M16022007.html
 厚生年金や国民年金などの公的年金を一元的に管理するための「基礎年金番号」が何らかの理由で付されていない年金加入記録が、昨年6月時点で5000万件もあることが、社会保険庁の内部調査で明らかになった。加入記録に同番号がないと、保険料を払っていても加算されず、年金の受取額が減る恐れもある。
 調査は民主党の要求で実施した。年金加入記録の不正閲覧などで批判を浴びた社保庁だが、外部の指摘で初めて今回の問題を明らかにした同庁の姿勢が改めて問われる。
 基礎年金番号は1人に一つ割り当てられており、転職などを理由に複数の年金加入記録がある場合も同じ番号を付けることで社保庁が一元管理している。ただ1997年の制度導入以前は厚生年金や国民年金などでバラバラに管理していた。このため、コンピューターへの入力ミスや企業の届け出書類の不備などにより基礎年金番号がないままの加入記録が大量に残っている。


 まあ、これに関しては一概に与党というよりは、むしろ厚生労働省や社会保険庁の運用の問題ではないかと…。
 基礎年金番号を導入する前は、転職するたびに会社が年金手帳を作って本人に渡すやり方が正しいと信じ込んでいた総務担当者も少なくありませんでしたし、そういったこともあり手帳を何冊も持っている人も多いようです。ただ、働き手がアクションを起さない限り加入記録の通算を勝手に社会保険庁が行うというわけにもいきません。
 結局のところは50歳以上の人に提供される年金見込みービスとは別に、どの世代でも簡単に確認ができる加入期間調査サービスでも導入しなければこの問題は早急には解決しないように思います。民主党の議員も、人を責めるだけなら誰でもできますし、では具体的に○○したらどうかというアイディアをどうせなら出して欲しいと思うのですが…。


関連ニュース
年金加入記録で社保庁に問い合わせ41万人 民主が発表
http://www.asahi.com/life/update/0216/013.html

明治製菓、チョコ菓子にガの幼虫・10万個を自主回収 

2007-02-18 17:49:19 | Weblog
明治製菓、チョコ菓子にガの幼虫・10万個を自主回収 2007年2月17日 日経夕刊
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20070217AT1G1701E17022007.html
 明治製菓は17日、チョコレート菓子「大粒たけのこの里ビターチョコレート&ホワイトチョコレート」の一部商品にガの幼虫が混入していたとして、同商品10万個を自主回収すると発表した。
 同社によると、回収するのは賞味期限が今年9月と10月の商品。昨年10月5日から11月8日にかけ、横浜市内の工場で製造された。今月13、14両日、購入者からの問い合わせで判明し、同時期に製造した商品をすべて回収することに決めた。
 製造工程で使うトレーの上にガが卵を産んでいたことが原因という。ガはノシメマダラメイガで、万一食べても健康に影響はないとしている。


 不二家の次は明治製菓でガの幼虫が混入ですか…。最近思うことですが、ISOを導入したから大丈夫とかそういった問題ではなく、食品製造業者として常に製造機器を清潔に保つという当たり前の気持ちが製造を行う従業員の中に欠け始めているような気がします。
 お菓子業界も値上げができないどころか特売の対象になり、値引き要求があり大変なのはわかりますし、人件費の削減のために流動性の高い非正規労働者を大量に投入しなければならないのも理解できますが、だからといってモラルまで削減して良いというものではありませんし、今後2度とこのようなトラブルを起さないためにも、従業員教育をしっかり浸透させて欲しいですね。

スキーバスが橋脚に衝突、添乗員死亡26人重軽傷

2007-02-18 17:43:01 | Weblog
スキーバスが橋脚に衝突、添乗員死亡26人重軽傷 2007年2月18日
読売 http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070218it04.htm
産経 http://www.sankei.co.jp/shakai/jiko/070218/jko070218000.htm
 18日午前5時25分ごろ、大阪府吹田市津雲台7の府道大阪中央環状線で、「あずみ野観光バス」(長野県松川村)のスキーツアーバス=小池勇輝運転手(21)=が、一般道との分離帯にぶつかって約30メートル暴走、道路中央を走る大阪モノレールの橋脚に激突した。
 前部が大破し、ツアー客25人と乗員2人の計27人のうち、長野県大町市のアルバイト添乗員小池雅史さん(16)が死亡し、小池運転手と女性客1人が重傷、他の客24人が軽傷を負い、4病院に運ばれた。
 吹田署などの調べでは、バスは、17日午後7時ごろから午後10時ごろに長野県白馬村内などのホテル7か所を回って客を乗せ、JR京都、大阪駅など計4か所で降ろす予定で、当時は大阪駅に向かっていた。
 ツアーは、「サン太陽トラベル」(大阪市中央区)主催。あずみ野観光バスの2台を含むバス5台で、白馬―大阪間を運行していたという。


 私も何度か高速バスに乗ったことがあるので、事故現場のおおよその位置が想像できるのですが、吹田ジャンクションを出て新御堂筋に出る直前に事故を起こしたようですね。
 距離的には最終目的地の大阪駅まで20分もかからない位置ですし、インターを出て急いで到着させなければならない理由もないはずですが、運転手はなぜこのような初歩的な運転ミスを犯したのか…。
 乗客の方も京都駅で一旦停車した段階で何人かは起きていたと思いますが、まさか到着する寸前で事故を起こされるなんて想像もしていなかったでしょうし、この時間帯ではシートベルトをしている人も少なかったのでは…。不幸にしてお亡くなりになられた方、ケガをされた方には本当にお気の毒に思います。

アサヒは支援する気があるの それとも無いの? サッポロビールTOB騒ぎ

2007-02-18 17:37:09 | Weblog
サッポロ:アサヒが「支援検討」…スティール買収に対抗 2007年2月18日 
毎日 http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20070218k0000m020100000c.html
読売 http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20070218i201.htm?from=main2
日経 http://www.nikkei.co.jp/news/main/20070218AT1D1701N17022007.html
 アサヒビールは17日、米系投資ファンドのスティール・パートナーズから買収提案を受けているサッポロホールディングスに対し、資本提携などを実施して、スティールの買収工作に対抗する準備があるとの意向を明らかにした。サッポロは複数の金融機関から、アサヒのほか、キリンビールとの提携の提案も受けているが、アサヒとの提携に進む可能性が出てきた。
 アサヒの荻田伍社長は同日、毎日新聞の取材に対し「現時点でサッポロ側との接触はない」としたうえで、「支援の要請があれば、もちろん検討したい」と発言。経営統合や資本提携によって、スティールの買収を阻止する友好的買収者(白馬の騎士=ホワイトナイト)になる可能性に初めて言及した。
 また、ビール大手3社と比べて競争力が劣るといわれる現在のサッポロについても、「アサヒビールも苦しい時代を過ごしてきたが、サッポロは利益も出ているし、新しい価値ある提案をしていけば、まだまだやれる」と評価した。
 サッポロは現在、昨年2月に導入した買収防衛策のルールに従い、スティールに対し、詳細な買収目的を示すよう求めている。一方で、金融機関からの提案を受け、アサヒとの資本提携▽キリンとの資本提携▽経営陣による自社買収(MBO)--を検討しているとみられている。
 ただ、関係者によると、サッポロはアサヒとの提携に難色を示しており、キリンとの提携やMBOで非上場企業として再生を図る道も残っている。

◇限られた選択肢
 米系投資ファンド、スティール・パートナーズの買収提案を受けているサッポロホールディングスに対し、アサヒビールが支援の意向を示したことで、サッポロの判断が一段と注目されることになった。これまで、アサヒとの提携に難色を示してきたサッポロは、限られた選択肢の中でぎりぎりの決断を迫られている。
 サッポロとアサヒは1906年、エビスビールを製造販売していた「日本麦酒」とともに「大日本麦酒」を設立。分割後、サッポロは順調にシェアを拡大して成長したが、アサヒは振るわず、80年代に入ると「いつ倒産するか分からない状態」(荻田伍アサヒ社長)にまでシェアが低下した。
 現在の両社の立場は完全に逆転しており、アサヒのビール類(ビール、発泡酒、第3のビール)の出荷量はサッポロの3倍以上。こうした経緯をふまえて、アサヒの関係者は「サッポロはかつて弱小メーカーだったアサヒに支援を求めることに強い抵抗感があるのでは」とみる。
 とはいえ、サッポロに残された選択肢は限られている。アサヒ同様、サッポロが支援先として検討しているキリンは「投資の軸は飲料や食品部門であり、サッポロと提携する考えは全くない」(幹部)と消極姿勢を示している。
 サッポロは、自社買収(MBO)の実施も検討している。株式市場から退場することで「究極の買収防衛策」とも言われ、近年は、すかいらーくやポッカコーポレーションなどの食品企業が実施している。MBOは企業の根幹となる事業構造を抜本的に見直す「リセットからのスタート」といわれるが、サッポロの場合は「中期経営計画にのっとって企業価値の向上を進めていくという方針は揺らがない」(斉藤慎二専務)との姿勢で、買収防衛のためだけに非上場企業となる考えは薄いとみられる。
 サッポロは当初、自力での経営に強いこだわりをみせていた。しかし、16日には「支援の提案があれば具体的に考える」(持田佳行・取締役経営戦略部長)と態度を修正している。スティールの背後には、海外のビールメーカーがいるとの観測もあることから、サッポロが、アサヒとの提携に傾いていく可能性もある。


 先日昼頃に共同通信経由で配信されたニュースには、『アサヒビールの荻田伍社長は17日、サッポロホールディングスに経営統合や資本・業務提携を提案する考えは一切なく、現時点ではサッポロ側と会談する予定もないと記者団に語った。サッポロとの連携を選ばない理由として荻田社長は「商品開発が優先する」と説明、人員や生産設備の面での相乗効果が見込めないと述べた。』(http://www.kitanippon.co.jp/contents/kyodonews/20070217/68712.html)とまるで正反対のことを言っていたのに、こちらでは、『サッポロホールディングスに対し、資本提携などを実施して、スティールの買収工作に対抗する準備がある』とあります。途中で考えが変わったという可能性も否定できませんが、どちらも社長会見ですし、一体どちらが本当なのでしょうね???