ゆめ未来     

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「ざんねんなスパイ」  おかげで今日も平和に暮らしていける

2019年02月18日 | もう一冊読んでみた
ざんねんなスパイ/一條次郎  2019.2.18  

一條次郎氏の 『ざんねんなスパイ』 を読みました。
面白く読みましたが、一般的な評価は難しいかも、と感じました。
ぼくは、ユーモア小説として読みましたので、文句はありません。

登場人物も、生き生きと描かれています。
どんな人物が出てくるかは、以下のインタビューをお読み下さい。

    【著者インタビュー】 一條次郎『ざんねんなスパイ』

小説の雰囲気は、こんな感じです。

 わたしたちはとってもチャールストンでリンディー・ホップな仲だった。

 「密造酒に手を出すよりましさ。とくにあぶないのは<フライングスノーマン>だ。あの酒はだめだ。ひとくち呑んだらとまらない。翌日には雪の上で大の字になって死体で発見される。腕を上下にばたつかせ、天使の羽みたいな跡をつけてな。空を飛ぶ幻覚を見るらしい。冬になるとそれで何人も死んだものさ。ラ・パローマがあんなふうに悪用されるなんておもってもみなかったよ……」

 「きみはリスクを考えて記事を書いているのかい。おかしなことばかり書いていたら、政府だって黙っていないだろうね?」
 「それ脅してるの。メディアが政府の敵なのはあたりまえでしょ。じゃなきゃ存在してる意味ないよね。それとも政府の広報しか認めないとか。そのほうがいかれてるよね?」


著者は、次のように述べていますが、

  自分はまじめなことをまじめに書けないみたいです。

読んでいると、おかしな話のなかに結構、真面目なこと言っているんですよね。

 おさないころは席が隣というほんのささやかな共通点だけで親友になれたものだ。それが大人になると親友を作るのはとたんにむずかしくなる。

 規則はなにがあろうとぜったいに守らねばならない。。

 それにしてもはるか遠い昔のことなのに、ついこないだのようにかんじられた。歳をとると時間の遠近感をいとも簡単にみうしなう。。

 「ほんとうに腕のいい泥棒は完全に無名よ。世間に名の知れた泥棒なんて、わたしからいわせれば三流もいいところね」

 「そういう区別がおかしいんだよね。“わたしたち”と、“あいつら”っていう発想がね。どっちがどっちでだれがだれかなんてだれにわかるの? “あいつら”なんてほんとうはどこにもいないのに。世界じゅうひとりのこらず“わたしたち”なのにさ」

 今日は大事なことを学んだ。自分のつごうにあわせて考えをころころ変えるのも考えものだが、考えをまったく変えようとしないのも考えものだ。だってばかというのは決して考えを改めようとしない人間のことだから。いつかだれかがいっていたのをおもいだした。人はまちがいを認めないものだと。」

 あらゆる組織が牢獄みたいなものなら、孤独もまたひとつの牢獄みたいなものかもしれない。

偶には、変わった小説を読むのも一興。

      『 ざんねんなスパイ/一條次郎/新潮社 』


コメント
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