今週は、この2冊。
太陽は動かない/ミレニアム3
■『太陽は動かない/吉田修一』 2016.2.20
『
太陽は動かない』を読みました。
スパイ小説・アクション小説を吉田修一さんがと思ったのですが。
吉田さんらしさ(ぼくが感じるこの雰囲気は、ぼくの個人的なもので独断と偏見)は、後半の部分でところどころ感じることができました。
娯楽小説として、ぼくは楽しみました。
「お前、女と暮らしたことないのか?」とキムは訊いた。
「ないですね。興味もない」
「お前に良いことを教えてやるよ。あのな、幸せってのはゴールじゃなくて、毎日拾って集めてくもんなんだよ」
「これが鷹野一彦のファイルです。私の元へおくられてきた時、彼はまだ十一歳の少年でした。きっと鷹野はこのファイルをあなたに見られることを嫌がるでしょうが、これで先生の質問に応えることになるのならお見せします」
このファイルとは >>>>>> 『
森は知っている/吉田修一/幻冬舎』
2016.2.06
『
太陽は動かない/吉田修一/幻冬舎 』
ダ・ヴィンチニュース/今月のプラチナ本 2012年7月号『太陽は動かない』/吉田修一
■『ミレニアム3/スティーグ・ラーソン』 2016.2.20
「ミレニアム4 蜘蛛の巣を払う女(上・下)」
ダヴィド・ラーゲルクランツ著が売れていると、朝日新聞の「売れてる本」に紹介がありました。
原作者のラーソン氏が心臓発作で急死したために、別の作家が続編を出版して、これがまた、よく売れているそうなのです。
ぼくは、「ミレニアム2」「ミレニアム3」を読んでいないので、とりあえず「ミレニアム3」から読むことにしました。
とにかく、面白かったです。
読書することの楽しみを満喫しました(「スパイ小説とリーガル・スリラー」)。
国を守るために、国益のためにの旗印のもとに頑なな集団が行動を起こすと庶民は悲しい目に遭う。
「斑は、スウェーデン国防上の最前線であると同時に、最後の砦もある。そこをぜひ理解してもらいたい。われわれの仕事は国家の安全を守ることだ。それ以外に重要なことなどない」
「われわれは存在しない。誰からも感謝されない。そして、誰にも下すことのできない......とりわけ政治家どもには下すことのできない決定を下す義務を負っている」
ぼくも、できればこのように生きたいものだ、淡淡として.......
人生とはこんなものだ。生まれて、生きて、年老いて、死んでいく。彼は自分の人生を生きた。あとはただ衰えていくだけだ。
彼は奇妙なほどの満足感を覚えた。
ぼくも自分の半生を振り返ってみれば、忸怩たる思いがします。
強い態度で臨むことのできる者もいるが、そうでない者は、真価が問われる段階になると、きまって期待を裏切るのだ。
それにしても、主人公のブルムクヴィスト氏の下半身は、紳士ではないし、エリカの性モラルは理解できない、また、フィグエローラさんの下半身も淑女ではないだろう。
これが現代のスエーデンの性風俗なのだろうか。
しかし、本作品には、目を覆うばかりの激しい性描写の場面はありません。
最後に一言、文芸評論家池上冬樹氏の巻末解説より。
要するに『ミレニアム』三部作には、ミステリのジャンルのすべてが注ぎ込まれているのである。本格ミステリー、ハードボイルド、ノワール、警察小説、サイコ・スリラー、スパイ小説、そしてリーガル・スリラーと各ジャンルを味わうことができる。しかもそのレベルは極めて高く、ひとつひとつが意外性と迫力に富んでいるから驚く。
『
ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士(上・下)/スティーグ・ラーソン/ヘレンハルメ美穂・岩澤雅利訳 』