今週は、この4冊。
■ローマ帝国の崩壊/ブライアン・ウォード=パーキンズ 2015.10.31
定年退職をして時間が自由になったので、挑戦したことのひとつが『ローマ史』に関する本を、少し集中して読むことでした。
最近、また、一冊見つけたので、すぐ手にしました。
『ローマ帝国の崩壊/文明が終わるということ』です。
本書は、「衰亡のようなネガティブな時代像よりも、ポジティブなそれを描こうとする「古代末期」研究の立場の研究者たちの「いき過ぎ」を是正するのに重要な役割を果たしたと評価されている一冊」(訳者あとがき)なのだそうです。
本書のスタンスは、「ゲルマン民族の到来はローマ人にとってきわめて不快な出来事であり、かつ、ローマ帝国の崩壊が長期にわたって及ぼした影響は劇的なものであった」です。
難しいことは、よく分からなかったのですが、すごく面白いことも書かれていました。
それは、「落書き」についてです。
以前観た、「ポンペイに関するTV番組」のなかでも、町のいたるところに見られた落書きについて触れられていたのですが、その時は、現代の街の落書きと同様にみなし、ほとんど気も留めなかったのですが、本書により、その意味の重要さに気づかされました。
まず、ポンペイの落書き文化
ポンペイの中心にある売春宿の壁に刻まれた落書き
「ここで香料商ポエブスは最高に気持ちよくやった」
選挙ポスターと同様に、ポンペイの落書き文化は、自分自身を笑いのネタにするほど洗練されていた。
おお壁よ、こんなにも多くの落書き人の愚行に力を貸したことによってお前は崩れ去ってしまわないのだろうか。
古代の大砲の鉛玉の上にも落書き
たくさんの数の投射機用鉛玉(だいたいヘーゼルナッツくらいの大きさ)が、ペルージャから発見されている。
それらの鉛玉は、両軍がそれぞれ鋳型に刻み込んだ短い金石文を帯びていたので、敵を殺したり傷を負わせるだけでなく、言葉による戦争にも用いることができた。
「禿げ頭のルキウス・アントニウスとフルウィアよ、わしらにケツの穴を見せてみろ」
ここで笑ってしまったのは、遙かローマの時代から「禿げ」という言葉が、「ドッパゲ」の如く、差別語、人を馬鹿にする言葉だったんだなあと知ったことです。
人類は、余り進歩していないのか。
大事なのは、識字能力は、社会にどんな重要な意味を持っていたのか、ということを知ったことです。
『 ローマ帝国の崩壊/文明が終わるということ/ブライアン・ウォード=パーキンズ/南雲泰輔訳/白水社 』
■帰還兵はなぜ自殺するのか/デイヴィッド・フィンケル 2015.10.31
二〇一四年四月十六日に放送された「NHKクローズアップ現代」の「イラク派遣 10年の真実」では、イラクからの帰還後に二十八人の自衛官が自殺したことが報じられました。
また、安保法の先の国会でもこのことに質問がありました。
これを機会に、ぼくも『帰還兵はなぜ自殺するのか』を読んでみました。
訳者あとがき...........
国家の威信を守るために直接戦地で戦ったのは、大半が貧困家庭出身の若い志願兵だった。第十六歩兵連隊第二大隊の兵士の平均年齢は二十歳だった。
アフガニスタンとイラクに派遣された兵士はおよそ二百万人。そのうちの五十万人が、PTSD(心的外傷後ストレス障害)とTBI(外傷性脳損傷)に苦しんでいるという事実が明らかになった。
毎年二百五十人以上の帰還兵が自殺を遂げているという事実は(自殺を企てた者はその十倍と言われている)、限りなく重い。なぜ、帰還兵は自殺し続けるのか。
本分より............
わかっていたのだ。それでも毎日戦闘に出かけ、戦争がどのようなものかわかってくる。勝者はいない。敗者もいない。勇壮なものなどない。ひたすら家に帰れるまでがんばり、戦争のあとの人生でも、同じようにがんばりつづけなければならない。
シャウニーは、いつかオーロラに父親のことを話すつもりでいる。父親が戦争に行ったことを、帰ってきたことを、生きようとがんばったことを、死んだことを。しかし、その前にまず自分がそのことを理解しなければならないだろう。
自殺者はなおも増えつづけ、戦死者数を上回り、一日にひとりの割合で死んでいくことになる。
『 <stron>帰還兵はなぜ自殺するのか/デイヴィッド・フィンケル/古屋美登里訳/亜紀書房 』
■汚れちまった道/内田康夫 2015.10.31
内田康夫氏の作品を初めて読みました。
内田氏の作品とか、浅見光彦シリーズの一冊として意識したわけではなく、中原中也が絡んだ作品ということで、手にしました。
中也の詩のすばらしさを再認識しました。
寝っ転がって気楽に読め、時間つぶしには最適でした。
『 汚れちまった道/内田康夫/祥伝社 』
■やまわろ/釛子ふたみ 2015.10.31
山童(やまわろ)
日本の妖怪。山間部に棲む童子姿の妖怪で、河童が山に入ったものともされる。
「やまわらわ」ともいう。
また、ウィキペディアで調べると次のようにありました。
民俗学者・柳田國男は「川童の渡り」という文章などで、このような河童と山童の季節による変化を、田の神(里・川)と山の神の信仰が季節ごとに変化をしたこと、また、そのとき多くの地域で鳥のような声が聴かれることから、渡り鳥などに関連した日本の季節の変化を示しているものではないかと論じている。
さて、釛子ふたみさんの『やまわろ』です。
美しい装丁の本です。
しかし、不安な感じも漂っています。
森のなかにひとりの美しい少女、背後には虚ろに人影も。
この作品の奥付をみても作者の簡単な略歴しか記されてませんが、ブログ『虹のじゅもん』を拝見すると若い女性の方でしょう。
年齢差によるものか、『やまわろ』は、ぼくには良く理解できない作品でした。
「みんな、幸せでありますように。」
『 やまわろ/釛子ふたみ/大日本図書 』
■ローマ帝国の崩壊/ブライアン・ウォード=パーキンズ 2015.10.31
定年退職をして時間が自由になったので、挑戦したことのひとつが『ローマ史』に関する本を、少し集中して読むことでした。
最近、また、一冊見つけたので、すぐ手にしました。
『ローマ帝国の崩壊/文明が終わるということ』です。
本書は、「衰亡のようなネガティブな時代像よりも、ポジティブなそれを描こうとする「古代末期」研究の立場の研究者たちの「いき過ぎ」を是正するのに重要な役割を果たしたと評価されている一冊」(訳者あとがき)なのだそうです。
本書のスタンスは、「ゲルマン民族の到来はローマ人にとってきわめて不快な出来事であり、かつ、ローマ帝国の崩壊が長期にわたって及ぼした影響は劇的なものであった」です。
難しいことは、よく分からなかったのですが、すごく面白いことも書かれていました。
それは、「落書き」についてです。
以前観た、「ポンペイに関するTV番組」のなかでも、町のいたるところに見られた落書きについて触れられていたのですが、その時は、現代の街の落書きと同様にみなし、ほとんど気も留めなかったのですが、本書により、その意味の重要さに気づかされました。
まず、ポンペイの落書き文化
ポンペイの中心にある売春宿の壁に刻まれた落書き
「ここで香料商ポエブスは最高に気持ちよくやった」
選挙ポスターと同様に、ポンペイの落書き文化は、自分自身を笑いのネタにするほど洗練されていた。
おお壁よ、こんなにも多くの落書き人の愚行に力を貸したことによってお前は崩れ去ってしまわないのだろうか。
古代の大砲の鉛玉の上にも落書き
たくさんの数の投射機用鉛玉(だいたいヘーゼルナッツくらいの大きさ)が、ペルージャから発見されている。
それらの鉛玉は、両軍がそれぞれ鋳型に刻み込んだ短い金石文を帯びていたので、敵を殺したり傷を負わせるだけでなく、言葉による戦争にも用いることができた。
「禿げ頭のルキウス・アントニウスとフルウィアよ、わしらにケツの穴を見せてみろ」
ここで笑ってしまったのは、遙かローマの時代から「禿げ」という言葉が、「ドッパゲ」の如く、差別語、人を馬鹿にする言葉だったんだなあと知ったことです。
人類は、余り進歩していないのか。
大事なのは、識字能力は、社会にどんな重要な意味を持っていたのか、ということを知ったことです。
『 ローマ帝国の崩壊/文明が終わるということ/ブライアン・ウォード=パーキンズ/南雲泰輔訳/白水社 』
■帰還兵はなぜ自殺するのか/デイヴィッド・フィンケル 2015.10.31
二〇一四年四月十六日に放送された「NHKクローズアップ現代」の「イラク派遣 10年の真実」では、イラクからの帰還後に二十八人の自衛官が自殺したことが報じられました。
また、安保法の先の国会でもこのことに質問がありました。
これを機会に、ぼくも『帰還兵はなぜ自殺するのか』を読んでみました。
訳者あとがき...........
国家の威信を守るために直接戦地で戦ったのは、大半が貧困家庭出身の若い志願兵だった。第十六歩兵連隊第二大隊の兵士の平均年齢は二十歳だった。
アフガニスタンとイラクに派遣された兵士はおよそ二百万人。そのうちの五十万人が、PTSD(心的外傷後ストレス障害)とTBI(外傷性脳損傷)に苦しんでいるという事実が明らかになった。
毎年二百五十人以上の帰還兵が自殺を遂げているという事実は(自殺を企てた者はその十倍と言われている)、限りなく重い。なぜ、帰還兵は自殺し続けるのか。
本分より............
わかっていたのだ。それでも毎日戦闘に出かけ、戦争がどのようなものかわかってくる。勝者はいない。敗者もいない。勇壮なものなどない。ひたすら家に帰れるまでがんばり、戦争のあとの人生でも、同じようにがんばりつづけなければならない。
シャウニーは、いつかオーロラに父親のことを話すつもりでいる。父親が戦争に行ったことを、帰ってきたことを、生きようとがんばったことを、死んだことを。しかし、その前にまず自分がそのことを理解しなければならないだろう。
自殺者はなおも増えつづけ、戦死者数を上回り、一日にひとりの割合で死んでいくことになる。
『 <stron>帰還兵はなぜ自殺するのか/デイヴィッド・フィンケル/古屋美登里訳/亜紀書房 』
■汚れちまった道/内田康夫 2015.10.31
内田康夫氏の作品を初めて読みました。
内田氏の作品とか、浅見光彦シリーズの一冊として意識したわけではなく、中原中也が絡んだ作品ということで、手にしました。
中也の詩のすばらしさを再認識しました。
寝っ転がって気楽に読め、時間つぶしには最適でした。
『 汚れちまった道/内田康夫/祥伝社 』
■やまわろ/釛子ふたみ 2015.10.31
山童(やまわろ)
日本の妖怪。山間部に棲む童子姿の妖怪で、河童が山に入ったものともされる。
「やまわらわ」ともいう。
また、ウィキペディアで調べると次のようにありました。
民俗学者・柳田國男は「川童の渡り」という文章などで、このような河童と山童の季節による変化を、田の神(里・川)と山の神の信仰が季節ごとに変化をしたこと、また、そのとき多くの地域で鳥のような声が聴かれることから、渡り鳥などに関連した日本の季節の変化を示しているものではないかと論じている。
さて、釛子ふたみさんの『やまわろ』です。
美しい装丁の本です。
しかし、不安な感じも漂っています。
森のなかにひとりの美しい少女、背後には虚ろに人影も。
この作品の奥付をみても作者の簡単な略歴しか記されてませんが、ブログ『虹のじゅもん』を拝見すると若い女性の方でしょう。
年齢差によるものか、『やまわろ』は、ぼくには良く理解できない作品でした。
「みんな、幸せでありますように。」
『 やまわろ/釛子ふたみ/大日本図書 』