暑い日と寒い日の寒暖の差が大きく、心臓の病を抱えている母の体調がこのところ良くなかった。
何時も季節の変わり目には体が付いて行かないのだが、心的要因もあった。
以前掛かっていた市立病院に医者が居なくなったので近くの医院を紹介されたが、なぜか今は循環器の専門医の居ない病院に通っている。
父は市立病院に掛かっていながら、その病院に睡眠薬をもらうためだけに月一で通っているが、次々と病気を作り、脅かす。もう90歳近いので検査結果の値がすれすれなのは当たり前だ。
「どうして?」と、二人に尋ねると「万が一の事が遇った時の為に、入れる所を押さえていないと。」と言うが、老人施設にはぼけて徘徊するようになっても柱に縛っていいから入りたくないと言う。
そんな時は救急車で行けば良いではないかと思うが、安心できないらしい。
しかし、その病院の雇われ医師は当り外れが大きい。腕が良かったり、評判の良い医師達は独立開業して繁盛しているが、その一方、以前私が行った時、窓口で「今日は良くないから明日の先生の時に出直したら。」と、院内で言われる医師も居た。
しかし、その変人の医師も隣町で開業するようになったら、途端愛想が良くなったという評判である。
もう20年位前の事だが当時居た医師と病院との間でトラブルが生じた。その医師はその当時国会議員の選挙に出て、全く政治とは関係の無い病院の悪口と暴露話のみを政見放送で話した。
それが、病院名や個人名も出して、破れかぶれの暴言を吐く。それを聞いたり、見たりした地元の者はクスクスと苦笑いし、ご近所の話の種となった。
慌てた先代の院長はNHKに中止するように頼んだが政見放送なのでそれが出来なかった。高い供託金を払ってまでする事だっただろうか?
その後、その医師は他の町へ移ったが婚約者に逃げられ、今度は県会議員に立候補し、婚約不履行は刑事罰にというむちゃくちゃな事を公約としたと友人のご主人が笑って話した。
母はそこでレントゲンも、心電図も取っていなかったが、むくみがあると言う事で利尿剤を半月分もらった。
不安になった母は、その医師に「先生は何が専門ですか?」と尋ねると、平然と「老人科です。」と言われた。そんな科あるか?母は「ハァ?」と言ったらしい。
確かにその病院は管だらけの老人ばかり入院しているのでシャレでそんな事を言ったのだろうが、何が専門は分からないままである。
「あ~、う~。」としか言わない寝たきりの患者の相手という事か。
お隣のおばさんも通っているが、道路の立ち退きで施設は新しくなったものの外来患者はとても少ない。
以前、近所の人がその病院で医者から延命治療をするかどうか尋ねられた。その奥さんは義理の間柄である姑の事だったから、「先生のいいように、お任せします。」とか言えず、「自分の親だったら断れるのに...」とこぼした。その数年間、その病院で他の人の介護をして治療費を稼いだと言う。
なんか、無駄の様な気がするが、それでも生きていてほしい人はそうすれば良いけれども。
その医師が母を不安にさせるようなことを言った為に、益々落ち込み、
「心不全が進んでいるのでもう長くはない。」と一日中愚痴った。おまけに利尿剤はあわず、湿疹が出て痒くて今度は眠れないとこぼす。
「腹水は見たところたまっていないから、大丈夫よ。」と言っても、うるさくぐちぐちとこぼす。
「タカコちゃんのご主人に診てもらったら。」と勧めると、
「其処までの体力が無い。」と言って聞こうとしなかった。1、2日ほっといたら、今度は向こうから連れて行ってとの事。
結果は別に進行してはいなかった。やはり心的なものである。母は我が家のわがままな女王様で自分の意見を他人に押し付ける癖がある。自分と人とは別なのに、同調してもらいたいらしい。私たちはみんな無視、大迷惑だ。
「伯母さん もうむくんでいないから、その原因は分からないけど、利尿剤はこれから暑くなると、只でさえ熱中症で脱水になりやすいし、腎臓を傷める恐れがあるから飲まないほうがいいですよ。」と言われた。
「早く来れば、良かった。」と言い、安心したものの、「自分の心不全は進んでいる。」とまだ言い張っていたが、今日は元気に梅干を漬けている 。