細越麟太郎 MOVIE DIARY

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●『見えない目撃者』の見えないサスペンスの切れ味。

2016年03月03日 | Weblog

2月26日(金)13-00 外苑前<GAGA試写室>

M-029『見えない目撃者』<我是証人>" The Witness " (2015) New Clues Film co. Jaywalk Media Entertainment. 韓国

監督・アン・サンフン 主演・ヤン・ミー <112分> 配給・GAGA・プラス

3年前に女性警官予備性のヤンは、弟と深夜のドライブ中に事故を起こして、弟は死亡して自身も失明してしまい、将来の警官になる夢も失った。

そしてブラインドとしての生活に慣れたある雨の降る夜に、ヤンが乗ったタクシーが人をはねた事故を起こしたらしいが、ドライバーと被害者は消えた。

当局で事情聴取を受けたヤンは事故を確信していたが、調査担当の刑事は疑問を持ち、一応は傷害事件として下調査をすると、新たにその目撃者という青年が登場した。

映画はその事件の様子を描いて行く、という犯罪サスペンスだが、事故の証人が盲目だということで調査は難航して、中年のグウタラ刑事も諦めかける。

ところが、もともと警官志望だったヤンは、自分の過去の体感で人身事故と、ひき逃げ犯人の失踪を、目撃者と名乗る青年と捜査していくが、その背景は危険を伴って行く。

盲目のヤンは自分の聴覚を頼りに、盲導犬の協力で勝手に捜査するので、担当刑事は渋々とそのバックアップをするという、一種の美人ヒロイン・ムービー。

とにかく目の見えない目撃者と、やる気のない中年刑事の捜査なので、どうしても映画のテンポはもたついて、しかも夜のシーンが多くて、画調も暗くて眠くなるのには困った。

監督はもともと韓国でオリジナル版を映画化していたが、その面白さで、この中国版はバージョン・アップしてのリメイクなのだというが、その割には事件は迷走。

主演の盲人ヤン・ミーは、目が見えないので、周囲のサウンドで状況の危機を察知していくという芝居は「暗くなるまで待って」のオードリー・ヘプバーンを思わせるが、イマイチ。

なぜか夜のシーンの多い展開は、ヒロインが盲目なので、その視覚を意識したのだろうが、そのせいか映画もダークな画調で、なかなかテンポに乗れないままで飽きてしまった。

ひき逃げの犯人役を、中国では人気のイケメン・タン・ジェンが異常な狂気の表情を見せつけて、「羊たちの沈黙」のアンソニー・ホプキンスを気取るのがオカしい。

 

■ショートゴロを野手がお手玉して見失ったが、ファーストでタッチアウト。 ★★☆

●4月1日より、TOHOシネマズ新宿などでロードショー