細越麟太郎 MOVIE DIARY

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●『奪命金』は昨今の世界的金融クラッシュで大混乱の悲喜劇。

2013年01月10日 | Weblog

●1月8日(火)13−00 六本木<シネマートB−1試写室>
M−002『奪命金』Life without Principle (2011) media asia films. HK
監督/ジョニー・トウ 主演/ラウ・チンワン <106分> フリーマンズ・オフィス ★★★
香港の金融街の裏通り。またも窃盗もののホンコン・ノワールと思いきや、これはどちらかというと、駅前喜劇。
ノワール派の監督なので、凄惨な裏社会を期待したが、まったく調子が狂ってしまった。
とはいえ、ベテラン監督の手腕なので、人物の群衆心理描写は面白い。
成績の悪い銀行女子社員。事件に振り回される刑事。金策に奔走するブローカー。
いずこも同じ財政不安。金を動かして利ざやで儲けている連中は、どこにもいる。
この映画の登場者たちは、みな好人物なのだが、どこかポイントがズレている。そこが魅力。
おりしもギリシャの金融危機で、世界的に株価が大暴落。
高い金利の投資信託を契約していた客は、高いリスクで必死の形相だ。
その混乱で裏金融で暗躍しているギャングが、資産家を暗殺したために、銀行も警察も大混乱だ。
どこかノワール系のジュールス・ダッシンが作ったコメディ「トプカピ」を思い出してしまった。
 タイトルのように、「主義のない人生」というのか、金まかせの生活のスケッチ偽画として苦笑する。
それを雑居都市ホンコンを舞台に茶化した、大盛りチャーハン。
しかし、ちょいと具が多すぎて、味も大雑把だ。

■ライト前のライナーと思いきや、意外に伸びずにセカンドがキャッチ。
●2月9日より、新宿シネマカリテなどでロードショー