細越麟太郎 MOVIE DIARY

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●『フライト』で人生航路最悪のタービュランスだ。

2012年12月08日 | Weblog

●12月07日(金)13−00 神谷町<パラマウント映画試写室>
M−145『フライト』Flight (2012) paramount pictures / imagemovers / parkes+ macdonald pro
監督/ロバート・ゼメキス 主演/デンゼル・ワシントン <147分> ★★★★☆
マイアミのローカル空港を飛び立った旅客機は乱気流に巻き込まれた。
ベテラン・パイロットのデンゼルは、飲酒癖で妻と長男を失い、その朝もフライト・アテンダントとモーテルで起きた。
二日酔いと疲労はあったが、110人の乗客を乗せた定期便は、どうにか3万フィートの雲の上に出た。
しかしアトランタ上空で、またしても乱気流に遭遇して旅客機は急降下したのだ。
操縦不能。尾翼のボルトが破損して方向舵と水平尾翼も動かない。
最悪のピンチである。
咄嗟の機転で、デンゼルは尾翼の故障を逆回転させ、ジェット燃料を捨てて、機を裏面飛行させてバランスを保ち平地に軟着陸。
この事故で彼も大きな怪我をしたが、乗客4名とクルー2名だけの死者で済んだのは、奇跡的な偉業だった。
しかし遺族と航空管理局は、機長デンゼルのアルコールによる泥酔操縦を訴える訴訟をおこしたのだ。
映画の後半は、ハリウッド映画が大好きな裁判とテレビ中継公聴会だ。
「フォレスト・ガンプ」以来、アニメーションが続いたゼメキス監督としては、実に16年ぶり、久しぶりの人間ドラマ。
これがまた、映画のテーマのように、見事な着地なのには感動し、脱帽した。素晴らしい。
凄まじい墜落の実写も驚くが、やはり後半の人間ドラマの緊迫した展開が、非常に完成度が高いのだ。
問題は、デンゼルが自分の人間性の欠落を、法律的に認めるか、という極限の自覚の問題に言及する部分。
シナリオも凄いが、さすがにデンゼルも俳優として第一人者の風格を見せた。
アカデミー賞のオスカーダービーの、多くのノミネート上位位置に飛び出した秀作だ。

■文句なしにセンターバックスクリーンへのホームラン。
●2013年、3月全国ロードショー