見つけにくい湯は極上生活湯 「喜美の湯」
草津の中央通りのスーパー「はりや」の向かいの路地を入ると右手に「千歳の湯」が見える。
「喜美の湯」は、そこから更に二分ほど路地を歩き、空き地の奥を曲がると急に目の前に現れる。辺りは静かな住宅街で、路地から少し奥まった場所にあるために見つけにくい。
入り口の屋根が大きな曲線を描き風格があるが、建物全体は可愛らしかった。
中に入ると脱衣所までは縦に細長い造りだった。脱衣所と浴室の間の戸は防犯対策のためかガラス窓だった。自分の荷物や脱衣所の出入りを見ながら入浴ができる。
浴槽は、長方形のタイル浴槽で、縁には天然木があしらっている。
源泉は一旦湯溜めに注がれて、その溢れ出しが湯船に投入される仕組みになっていた。無色透明の湯は四十二℃くらいだった。高温の湯が多い草津温泉の中では入りやすい湯だと思う。硫黄臭たっぷりの源泉が湯船からオーバーフローしていて快感だ。
外観、浴室ともに木造の雰囲気がある施設で、高い天井から湯気が屋外へどんどん排気されているのも心地よかった。
湯で一緒になった人は、旅行で来た草津の湯に惚れ込み、ついに十年前に草津に移り住んだ人だった。
彼女は「喜美の湯」のすぐ近くに家を得ていたが、移り住んで一年近くの間「喜美の湯」の存在に全く気がつかないで家から五分以内の『千歳の湯」に通っていたという。ある時「千歳の湯」で地元の人に「喜美の湯のほうがあんたの家から近いのに、わざわざ少し遠いこの湯に来るんだね」と言われ、驚いて「喜美の湯」なるものを探したら、家の近くの路地から少し入った場所にあったという。
移り住んで一年もの間、全くその存在に気がつかなかったというウソのような本当の彼女の話。
家から歩いて行ける範囲に「喜美の湯」「千歳の湯」と無料の源泉掛け流し湯が二つもあるとは、
なんともうらやましいかぎりだ。
入浴後、施設内を見渡すと古い建物だがトイレもどこもきれいに掃除されていた。地域住民が、日々の生活湯として利用しているのだろう。外部からの入浴者は、是非とも感謝して入りたいものだ。
「喜美の湯」は草津の住宅街に完全に溶け込み、ひっそりと目立たなく佇んでいるのに、
一度その湯に入ると、これほどまでに満喫させてくれる。
これぞ!! 日本一自噴量が多い草津温泉の実力か!?
・・・・・・・2009年の訪問より・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
★「喜美の湯」(草津)共同湯・温泉データー★
(住所) 群馬県吾妻郡草津町文京区
(tel)(社)草津温泉観光協会0279-88-0800
(入浴時間) 通年 24時間
(休館日) 無休
(入浴料) 無料
(泉質) 酸性・含硫黄-アルミニウム-硫酸塩・塩化物泉
(源泉の温度) 湯畑源泉が53.9℃、
喜美の湯の「湯船内での体感温度」は42-3℃
(駐車場) 喜美の湯の専用の駐車場は、ありません
★道の駅「草津」に車を置き、徒歩で街中を歩いて行って入る。(私はこれ)
★街中の町営の駐車場(有料)に停める (500円くらい要る)