【35 試写会6】 年ごとの芳ヶ江国際ピアノコンクールは今年で6回目だが、優勝者が後に著名コンクールで優勝することが続き近年評価が高い。特に前回に、紙面だけでは分からないと初回から設けられた書類選考落選者オーディションで、参加した出場者がダークホース的に受賞し、翌年には世界最高峰のS国際ピアノコンクールで優勝したため、今回は大変な注目を集めていた。だが、オーディションの5カ国のうちパリ会場では、「不良」の悪名の審査員3人は凡庸な演奏を聴き続け、飽きて来ていた。だがそこへ、これまでにない今年逝去の伝説的な音楽家ホフマンの推薦状で、「劇薬で、音楽人を試すギフトか災厄だ」と、現れた少年、風間塵は、破壊的な演奏で衝撃と反発を与える。議論の末、オーディションに合格する。
そして日本の芳ヶ江市での2週間に亘るコンクールへ。塵は師匠の故ホフマン先生と「音を外へ連れ出す」と約束をしていて、自分では、その意味がわからず、栄伝亜夜に協力を頼む。亜夜は塵の演奏を聴いていると、普通は音楽は自然から音を取り入れるのに、彼は逆に奏でる音を自然に還していると思った。マサルは子供のころピアノに出会わせてくれたアーちゃん(亜夜)を出場演奏者に見つけ再会する。3人の天才と年長の高島明石のピアニストたちが、音楽の孤独と、競争、友愛に、さまざまに絡み、悩みつつ、コンクールの1次2次から3次予選そして本選へ、優勝へと挑戦し、成長して、新たな音楽と人生の地平を開く。
直木賞と本屋大賞をダブル受賞した恩田陸の小説「蜜蜂と遠雷(上) (幻冬舎文庫)」を実写映画化、若手ピアニストの登竜門とされる国際ピアノコンクールを舞台に、4人のピアニストたちの葛藤と成長を描くという映画。
この映画が、2時間という適切な時間内で収まったことにまず感動!
凡人には計り知れない領域にいる人々の葛藤を描く、って映画はよくあるが、それは観ている方にしてはいかんせん知らない・関係ない世界で、ちょっと間合い遠く見がちながら、人間としての喜怒哀楽で描くという手法によって、とてもリアルで濃密な作品に仕上がった!
コンクールに懸けるピアニストのそれぞれのいろんな想いが、まるでドキュメンタリーなのかと錯覚する、強靭な生々しさで伝わる。
天才三人を演じた、栄伝亜夜役の松岡茉優、マサル・カルロス・レヴィ・アナトール役の森崎ウィン、風間塵役の鈴鹿央士、秀才を演じた高島明石役の松坂桃李、ジェニファ・チャン役の福島リラ、そして彼らを客観的に見る仁科雅美役のブルゾンちえみらの「自然な演技」にみえる演技が素晴らしかった。
田久保寛演じる平田満が重い、が、しかしその他のベテラン俳優の演技がとっても見劣りしたのがとっても悲しい、重鎮過ぎて監督は上手く使えなかったのかな?
自分の見た映画館は音響が劣るので、もっと音響がいい映画館で観るべきだったことも後悔。
自分は、クラシック音楽もピアノも、さほどわからんのやけど、見終わってしばらく立ち上がれなかった。
自分以外のほとんどの人も、しばらく身じろぎもしてなかった…、やばい。
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