●今日の一枚 257●
Ike Quebec
It Might As Well Be Spring
わが東北地方は今日は寒かったのだが、庭の梅は満開で、芝桜も咲き始めた。ふきのとうも大きくなり、ハナミズキやハナカイドウもつぼみがでてきた。確実に春ではある。という訳で、私の頭の中に《春の如く》という言葉が浮かび、CD棚からとりあえず目についた一枚を取り出してみた。
アイク・ケベックの1961年録音作品、『春の如く』である。オルガン・トリオを従えた、ワンホーン作品である。アイク・ケベックは、1940年代に活躍したテナーマンだが、途中、長いブランクがあり、薬におぼれたり、ブルーノートのスカウトをやったりしていたようだ。バド・パウエルやセロニアス・モンクも実はブルーノートのスカウトだった頃の彼が発掘したアーティストらしい。1950年代末に復活して、ブルーノートに録音を残しているが、1963年肺ガンのためなくなった。
いい音色だ。ブルージーでソウルフルだが、同時にふくよかで包み込むようなソフトな音色だ。フレージングもなめらかでよどみがない。フレディー・ローチのオルガンが突然、奇抜な音色でいたるところに登場するのがやや耳ざわりだが、これがよいという人もいるのだろう。それを差し引いても、良いアルバムだと思う。
彼の名はある程度コアなジャズファンには知られているだろうが、一般には決して有名ではあるまい。彼のような聴きやすい、しかも正統派の音楽に一般の人々がたやすく到達できないのは残念である。しかし、ある種の「修行」ののち、理解が深まりのめり込んでいくJAZZという音楽にあっては、それは宿命なのかも知れない。
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