●今日の一枚 76●
Duke Jordan Flight To Denmark
学生時代、Jazzなんか全然わからないのに、ある先輩にジャズ喫茶を連れまわられ(渋谷の音楽館だ)、大音響でハードボイルドなジャズを聴かされて、ああもう限界だ、と思った時、かけられたのがこのレコードだった。助かった、と思った。このレコードがなかったら、私はジャズ嫌いになってしまったかも知れない。
1973年録音の有名盤だ。かつてはチャーリー・パーカーのサイドメンをつとめたデューク・ジョーダンも1960年代はまったくの不遇で、一説にはタクシーの運転手をやっていたこともあったという。設立されて間もない欧州のレーベルSteeple Chaceからリリースされた本作でカムバックを果たし、ファンを安心させた。
② Here's That Rainy Day の出だし、何というリリカルな響きだ。美しいとしか言いようがない。あのとき渋谷の音楽館でかかったのも、きっと、この曲に違いない。ジャケットもセンチメンタルな雰囲気が出ていてなかなかいいじゃないか。
デューク・ジョーダンは今年8月8日コペンハーゲンで死去した。84歳だった。1981年の渋谷音楽館で私をジャズ嫌いになることから救ってくれた、ジョーダン、ありがとう。
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