WATERCOLORS ~非哲学的断章~

ジャズ・ロック・時評・追憶

「悪臭」・「震災バエ」(加筆)

2011年06月11日 | 大津波の現場から

 あの大津波から3ヶ月たった。それにしても、昨日も臭かった。

 私の住む街では、大津波襲来現場を中心に以前記したような悪臭問題が深刻化している。冷凍工場から魚や魚のすり身、つり餌などが流出して腐敗し、悪臭を放っているのだ。被災現場はもちろんのことだが、風の向きによっては現場からかなり離れた場所でも強い悪臭となることもしばしばだ。現場から数百メートルの私の家でも、日によってかなりの悪臭を感じ、気軽に窓などあけられない状況である。家に近い被災現場が瓦礫置き場になったこともそれに拍車をかけているのかもしれない。

 悪臭は大津波の数日後からあったが、当時は気が張っていたこともあり、なんとか我慢できた。しかし、生活も落ち着き始めている現在、この悪臭は我々の神経にボディーブローのようにじわじわとダメージを与えてくる。私なども日によっては、もう限界だなどと絶望的な気分になることもある。もちろん、気を取り直して日常生活にもどるわけだが……。

 最近では、この悪臭現場を中心に「震災バエ」が問題化している。腐敗物から緑色のピカピカした大型のハエが大量発生しているのだ。場所によっては洗濯物を干すことも困難な程のようだ。一週間ほど前の朝、早起きして庭の草花に水をやっていると、私の家の壁(クリーム色だ)にたくさんのハエがたかっているのを発見、ハエたたきを使って10分程で40~50匹のハエを撃退したがむなしく、状況の根本的解決には程遠い有様だった。清潔を旨とするコンビニの中をハエが飛んでいることもしばしばだ。行政も被災現場に薬品をまくなどの対応をしているようで、ここ数日ハエの数は若干減ったが、根本的解決とはなっておらず、また暑い日々が続けばハエは増加するものと思われる。次の写真は今日の我が家の様子である。ああ、気持ち悪い。お食事中の方、すみませんでした。

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 数日前の「回覧板」では、「ペットボトルの集ハエ容器」なるものも紹介された。この装置に、お酒1合、酢1合、砂糖1合でつくった溶液を入れるのだそうで、グレープフルーツジュースを入れるとさらに効果的であるとあった。まだ実践していないので、効果の程はさだかではないが、そのうちやってみようかと考えている。

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  今年の夏は「節電ファシズム」が到来しそうな雰囲気であるが、エアコン使用をせず、悪臭と震災バエのために窓もあけられず、蒸し風呂のような室内で扇風機を回している光景を思い描くと、絶望的な気持ちになる。そもそもエアコンを使ったところで、外の空気を取り込むわけで、悪臭が室内に侵入する問題は避けられない。

 一体、どうしたらいいのだろう。我々東北人は我慢強いらしいので、やはり我慢するしかないのだろう。


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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
こんにちは。御無沙汰してます。 (土佐のオヤジ)
2011-06-15 15:00:12
こんにちは。御無沙汰してます。
それにしても、ハエってのは初めて知りました。
腐敗物があれば、当然の事かも知れないけど、震災の実感が全く無い高知なんて場所に暮らしていると、こういう話が逆に現実味をおびて聞こえ、震災の大きさ、恐ろしさを感じてしまいます。

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 ご無沙汰しております。コメントありがとうござ... (平泉澄)
2011-06-18 23:34:58
 ご無沙汰しております。コメントありがとうございます。
 被災現場では、街が壊滅的打撃を受けたことはもちろんですが、「悪臭」や「震災バエ」のような2次的・3次的問題が意外と悩みの種だったりします。「復興頑張るぞ」と気合をいれても「悪臭」で力が抜けてしまうこともしばしばです。支援に来てくださっているボランティアの人たちもこの「予想外の」悪臭には辟易しているようです。テレビとかではわからないですからね。
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