WATERCOLORS ~非哲学的断章~

ジャズ・ロック・時評・追憶

心は踊る、ハンプトン・ホーズ

2009年01月12日 | 今日の一枚(G-H)

◎今日の一枚 217◎

Hampton Hawes

Vol.2 The Trio

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 午後からしばらくぶりに雪が降った。積もったのはほんの数センチ程度だ。それにしても、私の住む東北地方(太平洋側だが)でも近年は本当に雪が少なくなった。地球温暖化のためなのだろうか。私の幼い頃は、よく大雪が降り、雪だるまやかまくらをつくり、あるいは竹スキーや木馬(きんま=木製のそりのこと)で遊んだものだが……。雪が降ると、父親から命じられ、一緒に雪かきをしたものだ。結構、疲れる作業だが、それが男の、ましてや長男たるものの任務なのだと勝手に考えていた。今日、雪が降ったということで、中学生になった長男にもちかけると、意外なことに、長男は素直に応じ、30分程だが一緒に家の前の道路の雪かきをした。長男はいつになく、真剣に作業した。

 子どもの頃の経験があるからだろうか。雪が降ると、何かしら心が躍る。雪深い地方の方々には大変申し訳ないが、心はワクワク、ドキドキである。そんな今日の一枚として取り出したのは、ウエストコーストのピアニスト、ハンプトン・ホーズである。日本駐留の経験があり、日本のミュージシャンたちとも交流して、大きな影響を与えたピアニストだ。

 1955,56年録音の『ザ・トリオ Vol.2』。『ザ・トリオ』シリーズのVol.1、Vol.3 と比べてなぜか陰の薄いアルバムであるが、内容は決して劣るものではない。飛び跳ねるような左手のベースラインと右手の奏でる明快な旋律。とてもわかりやすく、親しみ易いjazzだ。jazzはこうでなくちゃいけない。心が躍る。雪の降った日の踊る心にぴったりのアルバムだ。ハンプトン・ホーズのピアノはもちろん最高にご機嫌だが、レッド・ミッチェルのベースのドライブ感がいいじゃないか。ベースが全体のサウンドに迫力と強烈な躍動感を与えている。彼のベースがなかったら、きっとこんないい出来ばえにはならなかったかも知れない。

 もう夜中の12:00だ。雪もすでにやんだようだ。長男は明日の実力テストのために、まだ最後の悪あがきをしているようだ。天窓からは月が見える。なかなかに美しい月だ。外の空気はやはり冷たい。明日は路面が滑るかも知れない。

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