WATERCOLORS ~非哲学的断章~

ジャズ・ロック・時評・追憶

こんな山奥にカフェ…?

2015年03月02日 | 今日の一枚(A-B)

●今日の一枚 422●

Art Farmer

Yesterday's Thoughts

 卒業式の代休である。祝賀会で飲み過ぎたせいで二日酔いぎみだが、午後からはバスケットボールの練習に付き合わねばならない。妻と次男を送り出し、大量の水分を補給して再びベッドに入った。少し前に目覚めて、コーヒーを淹れて飲んでいる。コーヒーといえば、先日、すごいカフェを発見した。とんでもない山奥にあるのだ。確かに、最近では名所や景観のいい山奥にカフェがあるのは珍しくはないかもしれない。けれどもここは、ただの普通の山奥の、どこにでもあるような集落の中なのだ。「八瀬」という集落だ。私の住む街には「ぜいごっ太郎」という方言がある。「ぜいご」はおそらくは「在郷」という意味だろう。「田舎者」という意味だ。田舎者をちょっと小バカにしたニュアンスの言葉である。住んでいる人には大変申し訳ないが、「ぜいごっ太郎」ということばがよく似合う集落である。私の住む地域で「ぜいこっ太郎」といえば、ほとんどこの「八瀬」の集落をさすといっても過言ではない程だ。この地域の"チベット"とあだ名をつける人もいる。その「ぜいごっ太郎」の集落に、まったくアンバランスなお洒落なカフェがぽつんとあるのだ。店の名を"YASSE COFFEE"という。他のwebからのコピー画像なので季節は違うが、こんな感じだ。

 お洒落な店だ。その日は日曜日ということもあって、思いのほか込んでいた。結構はやっているようだ。雰囲気もいい。味もいい。確かにちょくちょく来たくなる感じはある。けれども、やはり・・・、遠すぎる。

 今聴いているのは、アート・ファーマーの1975年録音盤、『イエスタデイ・ソウツ』である。アート・ファーマーの爽やかな哀愁のフリューゲルホーン全開の珠玉のバラードアルバムである。①「これからの人生」がいい。この曲は好きだ。これまでにも、アーチー・チェップビル・エヴァンスヘルゲ・リエンの演奏を取り上げたように記憶しているが(もっとあったっけ?)、そのどれとも違う演奏である。フリューゲルホーンはその爽やかの故に、ともすると「軽く」なりがちだが、哀感を帯びたトーンで演奏されることで何というか、対象から距離を置いた「達観」の立場から人生を眺めているような雰囲気になる。

 冴えない頭でコーヒーを片手に聴くには、とてもいいアルバムだ。二日酔いの弱った身体に優しい作品である。やっと、おなかがすいてきたようだ。そろそろ遅い朝食を食べようか。

 

 



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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
桃源郷 (千田基嗣)
2021-02-23 17:38:04
八瀬は、気仙沼の桃源郷ですが、市街地からも車で10分ほど、ほどよい距離です。10時半までのモーニングがお勧めです。
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絵に描いたような田舎です (平泉澄)
2015-03-04 23:31:18
コメントありがとうございます。
いい感じのカフェなのですが、本当に すごい僻地の集落なのです。コーヒーは美味しかったです。今度また行ってみたいと思います。
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よい処ですね~ (altec605b)
2015-03-04 14:39:07
天気の良い日に外のオープンカフェで室内から聞こえる
ジャズに耳を傾けながら飲むコーヒーは最高でしょうね!
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