☆今日の一枚319☆
Sonny Clark
Cool Struttin'
Blue Note 1500番台の超有名盤である。印象的なジャケットは、アートとしての評価も高く、ジャズ喫茶全盛の時代には、ジャズ喫茶で毎日頻繁に流されたという伝説的作品である。現在でも、日本で最も売れるジャズアルバムのひとつらしい。私の持っているCDの帯にも「不滅の人気盤」、「ハードバップの聖典」、という言葉が書き記されている。しかし、日本では超人気盤でありながら、本国アメリカではまったくヒットせず、ソニー・クラークの名前すらほとんど知られていなかったようだ。ブルーノートの創設者アルフレッド・ライオンは、日本からこのアルバムの注文が殺到したことを不思議に思ったという程だ。
ところで、私がジャズ喫茶に通っていた1980年代には、もうその神話的な時代はとうに過ぎ去っており、実際、私はジャズ喫茶で一度もこのアルバムを聴いたことはない。私がその偉大な伝説を知っているのは、あくまで書物や伝聞による知識としてに過ぎない。だからわたしは、基本的にニュートラルな状態でこのアルバムに出合ったのであり、このアルバムに対してフェテッシュ(物神的)な何ものかを感じるわけでもはない。
このアルバムとはもちろん、ソニー・クラーク(p)の1958年録音作品、『クール・ストラッティン』である。アート・ファーマー(tp)、ジャッキー・マクリーン(as)、ポール・チェンバース(b)、フィリー・ジョー・ジョーンズ(ds)といった有名どころがサイドメンとして参加している点からも注目すべき作品である。私も、好きか嫌いかと聞かれれば、ちょっと迷った後で、好きだと答えるだろう。ブルージーでファンキーなサウンドは基本的に好きだ。フレーズもかっこいいと思う。サイドメンたちの演奏も悪くない。では、このアルバムをよく聴くかと問われれば、残念ながらそれほどよく聴くわけではない。ブルージーで、ファンキーで、かっこいいサウンドでありながら、例えば表題曲(①Cool Struttin')を鈍臭く感じてしまうのはなぜだろう。すごく鈍臭く、凡庸に感じてしまう。恐らくは時代の制約なのだろう。「ちょっと迷った後で」といったのはそういう意味だ。私が好きなのは② Blue Minor 、出だしの疾走感がいい。途中でピアノソロのあたりから、失速してしまうのだか・・・・・。とても好きなテイストなのだが、今ひとつのれないことがある、というのが正直なところだ。どうやら、このアルバムは私にとって「普通のいい作品」のひとつということになりそうだ。
家族が寝静まった深夜に、仕事をしながら、あるいはウイスキーを片手に本を読みながら、音量をしぼって聴くのがいい。私にとってはそういうアルバムである。
遅まきながら、祝再開。
ああ書きましたが、きらいなアルバムではありません。
その時代に生きた人たちには、また違った聴こえ方をするのだろうと思います。
音楽は時代とともにあるということでしょうか。
その意味で、その神話的な時代をうらやましいと思うこともあります。
過食防止のためもあるのですが、また少しずつ更新していきたいと考えています。