WATERCOLORS ~非哲学的断章~

ジャズ・ロック・時評・追憶

闇の中から聴こえる音楽

2006年11月03日 | 今日の一枚(C-D)

●今日の一枚 79●

Jacky Terrasson & Cassandra Wilson

Rendezvous

5550004  カサンドラ・ウィルソンの1997年録音盤(Blue Note)。ピアニストは、当時、新進気鋭のピアニストとして売り出し中だったジャッキー・テラソンだ(1993年のモンク・コンペティションに優勝して注目を浴びていた)。どうでもいいことだが、このアルバムは、「スウィング・ジャーナル主催第31回(97年度)ジャズ・ディスク大賞」の金賞受賞作品だそうだ。

 このアルバムが記憶に残っているのは、その内容の素晴らしさはもちろんであるが、渡辺亨氏による解説の中の「闇の中から聞こえてくるカサンドラの歌声に包まれることの快楽。この快楽を一度でも味わったことのある人は、彼女の歌から逃れられない」という一節が、あまりにピッタリだからである。CDを聴き終え、解説などを読む前に私の頭の中に浮かんだのは「闇の中から立ち上がってくる音楽」という言葉であった。同じような言葉のイメージをもつことへの驚き。もしかしたら、雑誌か何かで同じような文章を読んだことがあったのかも知れない。けれども、そんな言葉をイメージするのは私だけではないに違いないと思わせる程、カサンドラの歌声は鮮烈に印象に残るものであった。

 カサンドラ・ウィルソンの歌声は、闇の深遠の中から、静かにゆっくりと立ち上がってくる。


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