●今日の一枚 31●
Sonny Criss Go Man !
数日前、インターネットで注文したCDが今日届いた。そのうちの一枚 Sonny Criss の Go Man ! を早速聴いてみた。1956年の録音であることを感じさせないいい音だ。モノラル録音であることを忘れてしまいそうだ。どうも最近はやりの24bit デジタル・リマスタリングのようだ。
とても艶やかなアルトの音色だ。音はどこまでも明るく、どこまでも伸びやかだ。アドリブもメロディアスで歌心に満ちたものだ。しかし、この饒舌さはなんだろう。音数が多く、休むまもなく次の音がでてくる。手もとにある『ジャズ喫茶マスター、こだわりの名盤』(講談社+α文庫)は、「初期の音数が多めなのも、歌おう歌おうとする彼の思いからすれば仕方のないことだと思う」と好意的だが、この饒舌さは尋常ではない。何かにせかされるように、あるいは静寂を恐れるかのように、彼は吹き続けるのだ。それは、うるさいというより、神経症的である。
ソニー・クリスは、このアルバムから約20年後の1977年、ピストル自殺という衝撃的な人生の結末を迎えるのだが、もちろんこのアルバムとは無関係であろう。しかし、この作品から垣間見ることのできる、何かを求め続けずにはいられないような彼自身の神経症的な資質と後年の悲劇的な結末を関連づけずにはいられないのは、私だけではないかもしれない。
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