WATERCOLORS ~非哲学的断章~

ジャズ・ロック・時評・追憶

穐吉敏子の時の流れ

2007年01月28日 | 今日の一枚(A-B)

●今日の一枚 120●

穐吉敏子   

Toshiko Plays Toshiko - Time Stream

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 昨日、NHKのBSで穐吉敏子の音楽生活60周年記念コンサートを見た。ちょっと感激だった。特に、ルー・タバキンと鼓のインタープレイ、同じくタバキンと和太鼓の競演はなかなか見ごたえがあった。それにしても、はっきりいって、トシコは年をとった。私の住む町が、岩手県の陸前高田市にある日本ジャズ専門のジャズ喫茶『ジョニー』(もう盛岡に移転してしまったが……)に近いこともあり、高校生の頃からしばしばトシコのライブをみる機会に恵まれた。トシコのライブは両手・両足の指の数を超えるほど見てきた。最近、ご無沙汰だったのだが、テレビで見るトシコの老けようは、やや驚きであった。まあ、仕方あるまい。人間は誰でも老いる。まして、トシコは1950年代から活躍している人なのだ。

 昨日の感動覚めやらぬまま、今日の一枚は10年前、トシコが音楽生活50周年を記念してだしたアルバム『トシコ・プレイス・トシコ - 時の流れ』(1996録音)だ。何を隠そう、数あるトシコのアルバムの中でも、私が最も好きなもののひとつである。まず、サウンド全体が元気である。特にホーンセクションの闊達さは心が躍るほどである。次に、トシコのピアノの音色がいい。まろやかで優しい音色だ。かつて女バド・パウエルといわれたトシコだが、バラード演奏においていつになく叙情的なタッチである。胸キュンだ。そして、テーマソング、ロング・イエロー・ロードの演奏がとてもまとまっている。特にベースが素晴らしい、とおもったら、私の大好きなベーシスト、ジョージ・ムラーツだった。ドラムスもルイス・ナッシュ。まるで私のために録音してくれたようなアルバムである。

 トシコの演奏をあと何度生で聴く機会があるだろうか。

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