WATERCOLORS ~非哲学的断章~

ジャズ・ロック・時評・追憶

ロンドン・クラブ・シーンを熱狂させた一枚?

2015年01月31日 | 今日の一枚(G-H)

●今日の一枚 413●

Horace Silver

The Cape Verdean Blues

 「ロンドン・クラブ・シーンを熱狂させた一枚」とCD帯の宣伝文にある。本当だろうか。確かにダンサブルなサウンドではある。けれど、当時は本当にこういうビートで踊っていたのだろうか、と思ってしまう。私には無理だ。1980年代のディスコで少しだけならした私も、これでは踊れないと思ってしまう。ビートが古風すぎる。中には、ド・ドン・パと聴き間違えそうなものもあるほどだ。

 ホレス・シルヴァーの『ザ・ケープ・ヴァーディーン・ブルース』、1965年録音作品である。あのSong For my Father(1964)の次のアルバムということになる。ビートの感覚がちょっと古臭い感じがするといったが、作品が好きか嫌いかと問われれば、迷わず好きだと答える。④Nutvilleのスピード感と爽快さに魅了される。Woody Shae(tp), J.J.Johnson(tb), Joe Henderson(ts),の管楽器陣が何ともいえずいい。アンサンブルはたいへんスムーズであり、ソロパートではそれぞれが奔放で縦横無尽に吹きまくる。Horace Silver(p)その人も彼らに触発され、次第に熱くなっていくところが手に取るようにわかる。

 ホレス・シルヴァーが昨年、2014年の6月に亡くなったことを今日知った。85歳だったようだ。そのことはもちろん残念だ。遅ればせながら、ご冥福を祈りたい。けれど、変ないい方だが、この偉大なる歴史的存在が、昨年まで実在していたことへの驚きの方がもっと大きいかもしれない。機会に恵まれれば、その演奏を生で聴くことが可能だったのかもしれないのだ。