WATERCOLORS ~非哲学的断章~

ジャズ・ロック・時評・追憶

Togethering

2012年10月08日 | 今日の一枚(G-H)

☆今日の一枚 338☆

Kenny Burrell & Grover Washington jr

Togethering

Kenny_burrell_with_grover_washingto

 カセットデッキを書斎に移して以来、古いカセットテープを聴くことが”マイブーム”になってしまったようだ。カセットテープに録音されている作品を聴いた頃は経済的な事情もあり、一つのアルバムを何度も繰り返し聴きこんでいたようで、ほとんどの演奏が頭にこびりついている。

 また長らく忘れていたアルバムを発見した。ケニー・バレル & グローヴァー・ワシントン・ジュニアの『トゥゲザリング』、1985年の作品だ。MaxellのXLⅠというテープに録音されている。レコードからの録音のようだ。いくつかのwebの記事によると、CDの音質はあまりよくないもののようだが、私のテープについては特にそうは感じない。

kenny Burrell(g)

Grover Washington Jr(s)

Ron Caarter(b)

Jack De Johnette(ds)

Ralph Macdonald(per)

 良盤である。純正ジャズ盤だ。参加ミュージシャンも有名どころが並び、実際聴きごたえがある。ジャック・ディジョネットのドラムがカラフルすぎてやや小うるさい気もしないではないが、基本的にはいい演奏だと思う。ケニー・バレルのギターはいつもながらナイスな演奏だ。どちらかというと、ケニー・バレル主導の作品といっていいだろうが、フュージョン畑のグローヴァーの演奏がかなりいい効果を出していると思う。生真面目に純正ジャズ路線をいく骨太のケニー・バレルに対して、グローヴァーのソロも決して負けていない。しかし、特筆すべきはグローヴァーのサックスの音色だ。やさしく、繊細な音色だ。センチメンタルで、ノスタルジックな音がいい。ケニー・バレルのジャズの王道をゆくような演奏と、グローヴァーの美しく寂しげな音のコントラストがとてもいい”味”をだしていると思う。

 ずっと忘れていた作品なのに、今でも一音一音を覚えている。不思議だ。