WATERCOLORS ~非哲学的断章~

ジャズ・ロック・時評・追憶

フルハウス

2010年05月15日 | 今日の一枚(W-X)

●今日の一枚 267●

Wes Montgomery

Full House

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 忙しく疲れた一週間だった。仕事も忙しかったが、身体が疲れている。先週の日曜日に長男とテニスをしたのがきいているようだ。先週の日曜日、中学3年生になったテニスのローカル大会があったのだが、惨敗。たまたま会場に居合わせたテニスに詳しい知人にご教示願ったところ、いくつかの問題点を指摘され、その夕方、急遽、市営テニスコートを借り、「老体」に鞭打って長男とサービスとボレーの練習をしたのだ。まったくもって、親ばかである。

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 今日の一枚は、ウェス・モンゴメリーの1962年録音作品『フルハウス』である。当時のマイルス・デイヴィスのリズムセクションにジョニー・グリフィン(ts)を迎えて演奏されたライブ録音アルバムである。

 ライブ録音であることを忘れてしまうようなしっかりした演奏である。バンド全体がまとまっており、サウンドが安定しているので、安心して聴ける。安心して聴けるが、ノリのよさはやはりライブ演奏のなせる業なのだろう。心が躍る。知らず知らずに足でリズムをとっている有様である。

 私にとって、ウェスの作品の中では、最初に購入したものだった。買ったのはいつ頃だったろう。1980年代であることは間違いないだろう。CDが出始めの頃のものだ。AADと記されており、決して音質がいいとはいえない。けれども、ずっとこのCDを聴き続けている。古いCDでも演奏の素晴らしさは十分に伝わってくる。演奏自体の質の高さはメディアによって翳らない、ということだろうか。近年、音質の良いCDが次々に発売され、再購入の欲望を刺激されるが、そのことを肝に銘じ思いとどまっている。

 「いーぐる」の後藤雅洋氏は、この作品について「メンバーの相性、楽器の組み合わせがいい。ジョニー・グリフィンの黒々としたテナーにウェスのグルーヴィーなギターがからみ、これをウイントン・ケリーのリズミカルなピアノが支えるという構図は、ギター・クインテットの1つの理想形だろう。」と賛辞のことばを記しているが(『新ジャズの名演・名盤』講談社現代新書)、なるほど、まったくその通りだと思う。