ひきた小児科クリニック(群馬県桐生市 疋田小児科医院)

小児科専門医が群馬県桐生市やみどり市で流行している病気や,予防接種,アレルギーなどこどもの健康に関する情報を提供します.

感冒と抗生剤について

2009-02-27 20:49:56 | 日記・メモ (Weblog)
感冒と抗生剤について

 先日の書き込みに関して「感冒」と「抗生剤」について質問を頂きました。聞き慣れない言葉だと思います。

 分かりやすく書くと「感冒」は「かぜ」です。ここで使っている「抗生剤」は「抗生物質」「抗菌薬」「細菌を殺すお薬」です(厳密には違いますがこのように考えていただいて構いません。)医学大事典を見ると「感冒」は「かぜ症候群」、「流行性感冒」は「インフルエンザ」とあります。

 多くの子供に「かぜ」に抗生剤が処方されているのを目にします。「かぜ」に「抗生剤」は必要ないのに、「抗生剤」を処方している。つまり、こども達は、必要のない「抗生剤」を内服させられているということです。

 それに反して私に受診すると「かぜ」では特別に必要なとき以外「抗生剤」を処方しません。すると、お母様から「熱があって咳があるのに抗生剤が処方されていません」とご指摘を受けることがあります。話を聞くと、今まで毎回毎回、抗生剤が処方されているというのです。このような場合は希望されれば私も抗生剤を処方します。しかし、抗生剤が有害で無益であることを説明すると多くの方は理解してくださいます。そして、もちろん抗生剤を使用しないでも治ります。

 感染症や抗生剤に関する書籍や教科書を見ても「かぜ」はウイルスによる疾患で「抗生剤」は無効であり有害であるとあります。「かぜ」は細菌による感染ではなくてウイルスによる感染なので細菌を殺す薬は有害で無効です。細菌感染の予防効果もありません。

 私は昔、感染症に関して厳しいトレーニングを受けたため、抗生剤が必要な病気と、必要でない病気を見分けることができます。しかし、見分けることができないと抗生剤が必要と思ってしまうのでしょう。

 抗生剤は細菌感染に関しては特効薬です。絶対に必要な薬です。日本は抗生剤の使いすぎで抗生剤の効かない細菌(抗生剤耐性菌)が増えて困っています。不要なら使用しない方が良いことは明白です。

 ちなみに、抗生剤は多くの種類があるため全ての名前をここに書くことはできません。有名なものは「セフゾン、クラリス、メイアクト、フロモックス、クラリシッド、ジスロマック、サワシリン、ファロム・・・・」書ききれませんが、このような薬が毎回処方されていれば疑問に思って良いでしょう。でも、処方されたら必ず全て内服してください。必要な病気である可能性もありますし、中途半端な内服は耐性菌を増やします。もし、治療に疑問がある場合は、ひきた小児科クリニックにご相談ください。

ひきた小児科クリニック (群馬県桐生市 疋田小児科医院)
http://www014.upp.so-net.ne.jp/hikita/

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