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第155回芥川賞受賞作です。
タイトルからして、ずっと気になってて読んでみたかったのですが、のびのびになってました。
図書館で借りたのではなくて新品購入しました。
■感想です
とても面白かったです。
ただ、ちょっと短いなと思いました。
コンビニ・コンビニ店員を題材としていて、主人公の設定もとても面白くて、どんどん読み進めました。
これからどうなるんだろうと思って読んでいたんだけど、
わりとすぐに終わりが来てしまって物足りなさが残りました。
正直、もう少し「何か」があってほしかった。
もうちょっと強烈なオチみたいのが、ガツーンとあって良かったのでは、と思いました。
(ここから、ネタバレ注意)
主人公の女性は、子供のころから人とはまったく違う人で、周囲にとけ込むことができずに苦労する。
僕の印象としては、一種の自閉症のような感じの人なのではないかと思った。
いや、専門知識がないので正確な表現かどうかはわかりません。悪しからず。(^_^;)
公園で死んだ鳥を見て、「お父さん焼き鳥が好きだから持って帰って焼いて食べよう」と言ったり、
男子の喧嘩を止めるためには、スコプで殴ればいいと考え、本当に殴って大問題になったり、
そんな子供だった。
家族は、それを「病気」ととらえて、治療しようと必死になる。
そんな主人公が学生時代から始めたコンビニのアルバイトは、彼女が苦手な、人としての基本的なことをイチから教えてくれる場所だった。
挨拶の仕方、笑顔の作り方、声の出し方、お辞儀のしかた、すべてにおいてマニュアルがあった。
主人公にとっては、これまでになく楽チンだった。
店員同士の雑談も、入れ替わり加わる新しい従業員の口ぶりをマネてその人に染まっていくことでクリアしてく。
そんなこんなで18年。
結婚も就職もせず、ずっとコンビニ店員であり続ける主人公を、世の中は奇異の目で見る。
そんな中、主人公の生活にも変化が…。
そんなお話だけど、
終わりはすんなり…つーか、途中で終わった感じがして物足りなかったな。
物語が動いたとたんに、ページ数の都合で終わらせられた感じがしました。
もっといろいろあってほしかった。
普通の人々の、普通じゃない人へ向ける奇異のまなざし。
受ける人間にとっては暴力とも呼べる無遠慮な興味。
そんな現代社会の、つーか日本社会特有の閉鎖的な、ちょっと怖い社会性をあぶりだす展開になっていく気がしていただけに、残念でした。
そんな感想です。
■それ以外で思ったこと
村田沙耶香(ウィキペディア)
村田沙耶香さんのウィキペディアを見ると、書いた小説のほとんどが何らかの賞の候補になったり、実際に受賞したりしている。
個人的な認識を書かせていただくと、作家というものは、賞を獲るものだ。
デビュー作から〇〇新人文学賞を受賞して、世の中に躍り出る。
デビュー時に賞を獲得しなくても、すぐれた作家ならば、作品は話題になり、世間からそれなりの評価を受ける。
そしてだいたい、次から次へと、存在する賞を総ナメにしていくなり、候補作になるなりする。
逆に言うと、賞に引っかからない人は、ずっと引っかからない。
賞を獲ったか獲らなかったか、候補作になったからならなかったかが、
小説家としての評価に直結するのではないか、というのが僕の認識だ。
僕は、読むのが遅いので、なるべくたくさんの良い作品に触れたい。
良いのか悪いのかわからない小説は、なるべくなら読みたくない。
なので、過去に、誰かが称賛したとか映像化されたとか、何らかの賞を受賞したことがある作品しか読まない。
僕がそうなのだから、
同じように考えている人は少なくないと思う。
僕が考えることは少なくとも1000人が考える事だと思うから。
僕もかつて手当たり次第に読んだこともあったけれども、
次に小説を読もうという気が失せるほどの駄作にぶつかってしまって深い痛手を負った。
がんばって最後まで読んだのに、オチもスジもよくわからず、本を壁に投げつけた。
本は、壁にぶつかって分散崩壊した。
じつは読書中に、何度も壁に叩きつけたために、読み終えるころにはぼろぼろになっていたのだ。
ぼろぼろの本と、読み始めたことへの後悔だけが残る悲惨な小説に出会ってしまって、読書の習慣が、半年間とか一年間ストップしてしまった事もある。
もうあんな思いはしたくない。
なので、受賞・映像化・信頼できる有名人による評価 のどれかがある小説しか僕は読まない。
となると、
小説を世に発表して、早い時期に何らかの評価を受けなければ、小説家人生はあきらめた方がいいという事になるのだろうか。
趣味で書くならまだいいが、プロの職業作家として生きていくには厳しそうだ。
その点で、村田沙耶香さんは、運よく、というか実力なんだろうけど、職業作家として生きていくことを許された数少ない人物だ。
個人的にはコンビニエンスストアには、ほとんど行かなくなってしまったな。
僕が行かなくなっても、コンビニは、今も明るく働き続けている。
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長文におつきあいくださいまして、
ありがとうございました! <(_ _)>
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