平和エッセイ

スピリチュアルな視点から平和について考える

精神神経免疫学(2005年4月)

2005年05月01日 | バックナンバー
 筑波大学名誉教授の村上和雄先生は、高血圧の原因物質であるレニンの発見者として知られているが、最近は、笑いが遺伝子のオン/オフに影響を与えることを解明して、大きな話題を呼んだ。

 村上先生の近著『遺伝子オンで生きる』(サンマーク出版)によると、アメリカでは現在、祈りの科学的研究が盛んに行なわれているという。「たとえば、ハーバード大学、コロンビア大学、デューク大学などアメリカでも権威ある有名大学で、祈りの効果が研究されはじめ、すでに研究事例は一二〇〇を超えている。そして《精神神経免疫学》という新しい学問分野が開かれようとしている」とのことである。

 祈りがなぜ体によい効果を与えるのか、その理由について、ハーバード大学医学部のH・ベンソン博士は、「祈りや瞑想行為は、脳の思考活動を遮断する。そうすると、循環器系を管理する脳幹、記憶や学習を管理する海馬、集中力を管理する脳部分が活発化する。その結果、体がリラックスして、さまざまな病気の症状を軽減する」と説明している。禅などの瞑想も同じ効果があるそうだ。

 祈りや瞑想のこのような生理的効果は、これまでの医学や生理学でも十分に説明がつく。しかし、祈りにはそれ以上の不思議な作用があるという。というのは、自分が祈るのではなく、他人に祈ってもらっても、祈りが有効であることが示されたからである。

 デューク大学医学部で、八組の祈りのグループが、遠隔地から患者が回復するように祈りを送った。祈りの効果の査定は合併症率の有無で行われた。そして、他人に祈ってもらった患者の合併症が起こる確率は、祈られなかった患者グループの五〇%という結果が出た。明らかに、祈ってもらったほうが、合併症率が低下したわけである。

 祈りの作用は「プラシーボ」効果ではないか、という反論もあるという。プラシーボというは「偽薬」という意味で、ただのデンプンの固まりでも、お医者さんが「これは素晴らしい効果がある最新の薬ですよ」と言って与えると、患者の信念の力で効いてしまう、という現象である。しかし、患者が、祈られていることを知らない場合でも、祈りの効果が確認されているので、祈りの力はプラシーボ効果では説明できない。

 祈りがなぜよい効果を発揮するのか、そのメカニズムはまだ解明されていない。しかし、効果があるのであれば、祈ったほうが得だということになる。身近に病人がいれば、その方のために祈りを捧げていただきたい。自分でも日頃から祈る習慣をつけていれば、自分の健康状態が改善されることは、「精神神経免疫学」が保証してくれている。

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