平和エッセイ

スピリチュアルな視点から平和について考える

原爆が戦争を終わらせたのか(1)

2007年07月04日 | 原爆が戦争を終わらせたのか
自民党の久間章生氏は、「原爆はしょうがなかった」と発言し、その失言の責任を取って7月3日に防衛相を辞任しました。

事の発端は、氏の麗澤大学での講演です。

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久間章生防衛相は30日、千葉県柏市の麗沢大学で「我が国の防衛について」と題して行った講演で、太平洋戦争終結時に米国が広島、長崎に原爆を投下したことについて「米国はソ連が日本を占領しないよう原爆を落とした。無数の人が悲惨な目にあったが、あれで戦争が終わったという頭の整理で、今しょうがないなと思っている」と述べた。被爆地・長崎の出身でもある現職閣僚が、原爆投下を部分的に肯定したとも受け取れる発言に対し、野党は閣僚の罷免を求めるなど激しく非難しており、波紋が広がっている。
 久間防衛相は当時の戦況について「(米国は)日本が負けると分かっているのに、あえて原爆を広島と長崎に落とした。これなら必ず日本も降参し、ソ連の参戦を食い止めることができる、という考えだった。間違えば北海道まではソ連に取られてしまった」などと分析した。
 原爆投下については「米国を恨む気はないが、勝ち戦と分かっている時に原爆を使う必要があったのか」と疑問を呈し、その一方で「国際情勢や戦後の占領を考えると、選択肢として戦争の場合は(原爆投下も)あり得るのかなと思う」と言及した。
 久間防衛相は同日夜、東京都内で記者団に対し、自身の発言が問題視されていることについて「ソ連の意図を見抜けなかった日本の判断ミスについて言った。そのために、私の(選挙区である)長崎なども悲惨な目にあった。しょうがない点もあるが、相手の意図を見抜かなければならない。それで『米国(のこと)はもう恨んでいない』と(いう趣旨のことを言った)。原爆を是認したわけではない」と釈明した。【田所柳子】
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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070701-00000001-maip-pol

ここには、

・米国はソ連が日本を占領しないよう原爆を落とした。これなら必ず日本も降参し、ソ連の参戦を食い止めることができる、という考えだった。・・・間違えば北海道まではソ連に取られてしまった。
 →原爆投下がなければ、ソ連が北海道を取ってしまっただろう。だから、ソ連の侵入を防いだ原爆投下は肯定できる。
・無数の人が悲惨な目にあったが、あれで戦争が終わったという頭の整理で、今しょうがないなと思っている。
 →原爆が戦争を早く終わらせたので、被爆者にはかわいそうだが、もっと多くの日本人が死ななくてすんだので、それはそれで肯定できる。

という考え方が見られます。

このような理解は正しいのでしょうか? この議論にきちんと反論しないと、いくら原爆を肯定するのはけしからん、と言ってみても、それは単なる感情的反発でしかありません。

久間氏がこんないい加減な歴史認識、おそらく、アメリカ人以上にひどい原爆肯定論を表明したことに、驚きと情けなさを感じます。日本の政治家は、原爆の問題について、正しい歴史認識を持ってもらいたいものです。以下では、私の見解を述べてみます。

原爆投下を肯定するアメリカ側の議論としてよく持ち出される議論がいくつかありますが、それらはすべて根拠薄弱なものです。以下では、主として仲晃著『黙殺』(NHKブックス)によりながら、アメリカ人、そして一部の日本人が信じているらしい「神話」を「脱神話化」してみます。


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