平和エッセイ

スピリチュアルな視点から平和について考える

原爆が戦争を終わらせたのか(2)

2007年07月05日 | 原爆が戦争を終わらせたのか
【第1の神話】日本政府(鈴木貫太郎首相)が、日本に無条件降伏を求めるポツダム宣言を「黙殺」し拒絶したので、アメリカは原爆投下を決定した。

これは完全な嘘です。

ポツダム宣言は、1945年7月26日に、アメリカ合衆国、イギリス、中華民国の3カ国首脳の共同声明として発表されました。その当時、日本と中立条約を結んでいたソ連は、ポツダム会談には参加しましたが、この宣言には加わりませんでした。

ポツダム宣言に対して、日本側は、

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政府は、7月27日にポツダム宣言の存在を論評なしに公表し、7月28日に読売新聞で「笑止、対日降伏條件」、毎日新聞で「笑止!米英蒋共同宣言、自惚れを撃破せん、聖戰飽くまで完遂」「白昼夢 錯覚を露呈」などと報道された。鈴木貫太郎首相は同日、記者会見し「共同聲明はカイロ會談の焼直しと思ふ、政府としては重大な価値あるものとは認めず「黙殺」し、斷固戰争完遂に邁進する」(毎日新聞、昭和20年(1945年)7月29日)と述べ、翌日朝日新聞で「政府は黙殺」などと報道された。この「黙殺」は日本の国家代表通信社である同盟通信社では「ignore it entirely(全面的に無視)」と翻訳され、またロイターとAP通信では「Reject(拒否)」と訳され報道された。
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http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9D%E3%83%84%E3%83%80%E3%83%A0%E5%AE%A3%E8%A8%80

という態度に出ました。日本がこのような「黙殺」という反応をしたのは、それまで日本が求めていた天皇制保持という条件について、ポツダム宣言がまったく言及していなかったからですが、この点についてはあとで述べます。

この「黙殺」、「拒否」によって、日本側に降伏の意志を示さなかったので、原爆使用に踏み切ったのだ、という説明を戦後一時期、アメリカは行なっていました。

ところが、戦後になって、ポツダム宣言の1日前である25日にすでに原爆投下の命令書がスパーツ陸軍戦略航空隊司令官に下されていたことが明らかになりました。この命令書は、スティムソン陸軍長官、マーシャル陸軍参謀総長、アーノルド陸軍元帥の三者によって7月22日に作成されたものです。つまりアメリカは、ポツダム宣言に対する日本政府の反応いかんにかかわらず、それ以前にすでに原爆投下を決定していたのです。

そもそもポツダム宣言はいわゆる「最後通牒」でさえありませんでした。受諾するか否かの返答の期限も示されていなかったからです。トルーマン大統領も、日本の「黙殺」に別段の反応を示しておりません。

日本側の「黙殺」は、原爆投下のあとからこじつけ的に持ち出された理屈なのです。


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