平和エッセイ

スピリチュアルな視点から平和について考える

911から5年

2006年09月11日 | Weblog
911同時多発テロから5年がたちました。表面的に見たところ、この5年で世界の危機はいっこうに改善されていませんし、テロのマグマは依然としてくすぶっています。

アメリカの「テロとの戦い」は解決不可能な袋小路に迷い込んでいます。大量破壊兵器を持っていなかったイラクへの攻撃は、大義名分を失いました。イラクの内戦はアメリカを泥沼に引きずり込んでいます。アメリカの戦死者は2500人を超えました。アフガニスタンでさえ、タリバンの攻勢が伝えられています。

アメリカのやり方は、テロという表面に表われた病気を、病原菌と見なしたテロリストやテロ支援国家を壊滅することによって、根絶しようという発想です。しかし、病原菌に対して強力な薬剤を使えば使うほど、菌は耐性菌と化し、より毒性を増していくのと同じように、テロは潜在化し、いつかは爆発しようとします。現在はテロは一時的に抑え込まれているだけで、根本的に解決されたわけではありません。

アメリカがイスラム過激派のテロの標的とされたのは、アメリカの中東政策に問題があるからです。イスラエル支援のアメリカは、パレスチナ人の悲惨を放置してきました。イスラエル・パレスチナ問題の公正な解決なくして、アメリカはテロの危険からまぬがれることはできないでしょう。

2001年の9月11日は私にとっても忘れられない日です。その日はイスラエル女性の平和運動家ハギト・ラーナンさんの講演会がありました。その夜、講演会から帰宅して、NHKテレビのチャンネルをひねったところ、貿易センタービルの一つから煙が出ていました。そしてしばらくして、2機目の飛行機がビルに突入するのを見ました。

イスラエル・パレスチナ問題の講演を聞いた日に、この事件が起こったということは、私にはとても偶然とは思えませんでした。

ハギトさんの講演会の内容は、イスラエル・パレスチナの平和は両民族がともに平和の心に立ち返ることによって始まる、というものでした。そのために、彼女はイスラエル人とパレスチナ人の相互理解の交流をはかり、パレスチナの子供の負傷者に医療を提供する活動を行なっています。彼女は世界平和の祈りの熱烈な支持者であり、実行者でもあります。

戦争や闘争は決して永続的な平和を築くことはできません。どんなに迂遠に思われようと、平和は一人一人の心の中からしか生まれないのです。そのためには、人類一人ひとりが世界平和の祈りを祈り、いっさいの敵を見ない真の平和の心を確立しなければなりません。敵対する相互の勢力の間で、敵に対する恐怖心や闘争心が薄くなってくれば、お互いに譲り合って、問題を現実的に解決する叡智が生まれてきます。そうすれば、テロリストが生まれる圧力が減ります。それは、病原菌をたたくのではなく、体の生命力と免疫力を高め、病原菌が存在できないような体質に変えていくことに似ています。

祈りは波動であり、エネルギーです。祈りは人類の深層意識に働きかけ、人類の心を知らず知らずのうちに変えていきます。アメリカ人もイスラエル人もイスラム過激派も、いずれかならず、武力や暴力によっては平和は獲得されない、ということに気づく時が来ます。私たちはその時までひたすら世界平和の祈りを祈り続けるものです。

ハギトさんのホームページ

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