9月10日の【自民党の変質】について書いたことを、少し補足します。
今回の自民党の大勝の原因の一つは、自民党の支持基盤である「地方の中小企業(とくに土建業)」が、小泉自民党の「変質」をよくわかっていなかった、ということにあります。
以下は、福岡10区(小倉)で、郵政法案に反対した、もと郵政大臣の自見庄三郎氏が落選した記事です。
http://mytown.asahi.com/fukuoka/news01.asp?kiji=8815
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「郵政大臣経験者として、国民のため国家のためになる真の郵政改革を唱えたが議席をとれず、心からおわびします」。自見氏は声を詰まらせ、支持者に深く頭を下げた。
「小倉生まれの小倉育ち。北九州市民党。裸のショーちゃんを助けて下さい」。地元住民の情に訴えた。台風14号の中、傘もささずに交差点で手を振り続けた。「死に装束。決死の覚悟」という意味を込めた白いスーツはびしょぬれだった。
だが、足もとの崩れは止まらなかった。前回、自見氏を推した市建設業協会は公示直前、「自民あっての建設業界」と、西川氏を推薦。地元商工会議所の幹部は「応援したのは自民の自見だったから。無所属なら『まあ頑張って』としか言いようがない」。
選挙戦中盤、公明の支援を得ようと「比例は公明」と陣営は訴え始めたが、それも裏目に出た。公明に批判的だった自見氏を支えてきた宗教団体は「もう自主投票にさせてもらう」と言うと、事務所の電話ブースから引き揚げた。
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「自民あっての建設業界」「応援したのは自民の自見だったから」という言葉がすべてを語っています。地方土建業界は、相変わらず自民党に公共事業を期待しているわけです。そこには、郵政改革は是か非か、という議論さえありません。
地方にとっては、あいかわらず公共事業が命綱です。地方にとって「改革」とは、公共事業によって景気がよくなることです。公共事業を持ってきてくれるのは自民党です。自民党に抵抗したら、仕事をもらえません。
ですから、自民党という看板さえ背負っていれば、地元出身でない、どこから来たかわからない刺客でも落下傘候補でも支持するのです。その議員が自民党から離れれば、それまで地元にどれほど利益誘導してきた候補でも、あっさりと見捨てるわけです。
見事なまでの実利主義です。
最初は郵政改革反対の造反議員を支持していた地方の自民党県連も、時間がたつにつれ、どんどん自民党本部公認の落下傘候補に乗り換えていきました。まさに寄らば大樹の陰、「自民あっての建設業界」です。
小泉さんは、「自民党公認」という看板がどれほどありがたいかということ、したがって、自分に反対した議員を自民党から除名することが、即、彼らの政治生命の抹殺につながることを、見抜いていました。
郵政造反議員の中でも、新党に入らず、無所属で立候補し、当選したら自民党に戻りたい、という議員が大勢いたのも、「寄らば大樹の陰」を知っているからです。
しかし、「自民あっての建設業界」のための公共事業の積み重ねが、膨大な財政赤字を累積させてきたのです。小泉「改革」が目指しているのは、まさにそうした地元利益誘導型の政治の改革のはずです。
今回の自民大勝は、「改革」に期待をかけた都市無党派層と、「改革」が実は公共事業をやめ、地元利益の切り捨てになるということがまだよくわかっていない古い自民党支持層の重なり合いで生じたものと思われます。
もし小泉さんが本気で「改革」するつもりであるのならば、「自民あっての建設業界」を断固として切り捨てなければなりません。そして、郵政改革に反対した議員の復党は絶対に認めないことです。
有象無象が集まる296名という大所帯をまとめるためには、そのような断固とした姿勢を見せる必要があります。
そしてさらに、郵便局員という労働者から公務員の身分を剥奪する以上、高級官僚たちの特権構造を解体しなければなりません。
それができるかどうかで、小泉「改革」の真価が問われます。それができれば、小泉「改革」は、よりよい日本をつくるために、どうしても通らなければならないプロセスとして肯定されるでしょう。
今回の自民党の大勝の原因の一つは、自民党の支持基盤である「地方の中小企業(とくに土建業)」が、小泉自民党の「変質」をよくわかっていなかった、ということにあります。
以下は、福岡10区(小倉)で、郵政法案に反対した、もと郵政大臣の自見庄三郎氏が落選した記事です。
http://mytown.asahi.com/fukuoka/news01.asp?kiji=8815
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「郵政大臣経験者として、国民のため国家のためになる真の郵政改革を唱えたが議席をとれず、心からおわびします」。自見氏は声を詰まらせ、支持者に深く頭を下げた。
「小倉生まれの小倉育ち。北九州市民党。裸のショーちゃんを助けて下さい」。地元住民の情に訴えた。台風14号の中、傘もささずに交差点で手を振り続けた。「死に装束。決死の覚悟」という意味を込めた白いスーツはびしょぬれだった。
だが、足もとの崩れは止まらなかった。前回、自見氏を推した市建設業協会は公示直前、「自民あっての建設業界」と、西川氏を推薦。地元商工会議所の幹部は「応援したのは自民の自見だったから。無所属なら『まあ頑張って』としか言いようがない」。
選挙戦中盤、公明の支援を得ようと「比例は公明」と陣営は訴え始めたが、それも裏目に出た。公明に批判的だった自見氏を支えてきた宗教団体は「もう自主投票にさせてもらう」と言うと、事務所の電話ブースから引き揚げた。
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「自民あっての建設業界」「応援したのは自民の自見だったから」という言葉がすべてを語っています。地方土建業界は、相変わらず自民党に公共事業を期待しているわけです。そこには、郵政改革は是か非か、という議論さえありません。
地方にとっては、あいかわらず公共事業が命綱です。地方にとって「改革」とは、公共事業によって景気がよくなることです。公共事業を持ってきてくれるのは自民党です。自民党に抵抗したら、仕事をもらえません。
ですから、自民党という看板さえ背負っていれば、地元出身でない、どこから来たかわからない刺客でも落下傘候補でも支持するのです。その議員が自民党から離れれば、それまで地元にどれほど利益誘導してきた候補でも、あっさりと見捨てるわけです。
見事なまでの実利主義です。
最初は郵政改革反対の造反議員を支持していた地方の自民党県連も、時間がたつにつれ、どんどん自民党本部公認の落下傘候補に乗り換えていきました。まさに寄らば大樹の陰、「自民あっての建設業界」です。
小泉さんは、「自民党公認」という看板がどれほどありがたいかということ、したがって、自分に反対した議員を自民党から除名することが、即、彼らの政治生命の抹殺につながることを、見抜いていました。
郵政造反議員の中でも、新党に入らず、無所属で立候補し、当選したら自民党に戻りたい、という議員が大勢いたのも、「寄らば大樹の陰」を知っているからです。
しかし、「自民あっての建設業界」のための公共事業の積み重ねが、膨大な財政赤字を累積させてきたのです。小泉「改革」が目指しているのは、まさにそうした地元利益誘導型の政治の改革のはずです。
今回の自民大勝は、「改革」に期待をかけた都市無党派層と、「改革」が実は公共事業をやめ、地元利益の切り捨てになるということがまだよくわかっていない古い自民党支持層の重なり合いで生じたものと思われます。
もし小泉さんが本気で「改革」するつもりであるのならば、「自民あっての建設業界」を断固として切り捨てなければなりません。そして、郵政改革に反対した議員の復党は絶対に認めないことです。
有象無象が集まる296名という大所帯をまとめるためには、そのような断固とした姿勢を見せる必要があります。
そしてさらに、郵便局員という労働者から公務員の身分を剥奪する以上、高級官僚たちの特権構造を解体しなければなりません。
それができるかどうかで、小泉「改革」の真価が問われます。それができれば、小泉「改革」は、よりよい日本をつくるために、どうしても通らなければならないプロセスとして肯定されるでしょう。