平和エッセイ

スピリチュアルな視点から平和について考える

(18)成長ホルモン

2006年02月06日 | 食の安全
狂牛病(BSE)と狂鹿病(CWD) (18)

牛が乳腺炎などの病気になぜなるかというと、不自然な飼育方法のためです。

ピーター・ローベンハイムの『私の牛がハンバーガーになるまで』(日本教文社)という本には、次のように書かれているそうです。「BSE&食と感染症 つぶやきブログ」(この連載の情報源の一つです)より――

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酪農牛が置かれている今日の生活環境を考え合わせれば、乳房炎は当然なるべくしてなっている病気と言っていいだろう。酪農家養成講座に参加した時、獣医師はこう説明した。”自然界で暮らす牛はめったに乳房炎にはかかりません。牛は本来食餌の場所と排便の場所が異なるため、乾いた地面の草を食べているからです。乳房炎にかかりやすい状況を作っているのは人為的な生活環境、牛舎へのつめ込みや排便の仕方なのです”。・・・”抗生物質を繰り返し投与しても効き目が現れない慢性乳房炎であれば、牛を早急に処分することが肝心です”と言っていた。
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http://blog.goo.ne.jp/infectionkei2/d/20051111

不自然な飼育方法が乳腺炎の一因です。さらに、現在の牛のかなり多くは成長ホルモンを投与されていますが、成長ホルモンによって乳牛が乳腺炎にかかる比率がさらに高くなるそうです。Hotwiredの2003年9月16日の記事から――

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 組換え牛ソマトトロピン(rBST)とも呼ばれるポジラックは、すでに供給過剰になっている市場にさらに牛乳を供給するだけであり、酪農家の収入は減る一方だという生産者の声もある。しかしモンサント社は、ポジラックを使えば牛の乳量を増やせるので、農家はそれによって低迷から抜け出せると主張する。(中略)
 米農務省(USDA)は、米国の酪農家の約17%がrBSTを使用し、投与されている乳牛は全体の32%にあたると発表した(PDFファイル)。その大半が、乳牛を数千頭単位で飼っている大規模農家だという。
 ポジラックは、牛が乳を分泌するときに出す成長ホルモンから分離した遺伝子で作られている。この遺伝子を大腸菌に注入し、容器内で急速に培養する。これを牛に注射すると、牛が毎日出す乳の量が増えるだけでなく、乳を出す期間も長くなる。農家によると、乳を出す期間が延びるのは平均30日ほどだが、もっと長くなる場合もあるという。1155日間も乳を出しつづけた例もある。ポジラックを投与された牛の大半は、投与されなかった牛よりも約25%乳量が増えている。(中略)
 小規模農場がrBSTを使わないのは、時間とコストがかかるという理由のほかに、ホルモンが牛に及ぼす副作用を嫌っているからだ。カナダ保健省が1999年に出した報告書は、rBSTを投与した牛は乳腺炎にかかる率が最大25%増加し、それによって牛の体細胞、すなわち膿が牛乳に混じる確率も高くなることを示している。
 この調査はまた、rBSTにより牛の不妊症が18%、四肢の運動障害が最大50%増加すると報告している。このデータに基づき、カナダ当局はrBSTを認可しなかった。
 欧州連合(EU)15ヵ国、オーストラリア、ニュージーランド、ノルウェーも同じ理由でrBSTを認めていない。認可しているのはブラジル、南アフリカ、パキスタン、米国など19ヵ国だ。
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http://hotwired.goo.ne.jp/news/culture/story/20030918205.html

ポジラックという成長ホルモンを製造・販売しているのはモンサントという会社ですが、この会社は、害虫が食べると死んでしまったり、除草剤にも枯れないという、遺伝子組み換えの大豆やトウモロコシを製造・販売している会社です。モンサント社は、成長ホルモンを使っていないアメリカの酪農家が、自社製の牛乳に「人工ホルモン不使用」と書くことは「不当表示」だとして、それを禁止させようとしています。(上記Hotwiredの記事)

それが不当表示だというのであれば、「有機栽培」とか「遺伝子組み換え大豆不使用」とか「米国産牛肉不使用」いう表示も「不当表示」ということになります。

ポジラックは牛の成長ホルモンを遺伝子工学で製造したものです。成長ホルモンを使うと、牛に様々な障害が起こります。とくに牛が乳腺炎を起こしやすくなり、膿が牛乳に混入する危険性があります。また、牛が急速に成長するので、大量の濃厚飼料を与えなければなりません。そこに肉骨粉が必要になります。肉骨粉を与えていると、BSEの危険が生まれます。BSE牛が乳腺炎になると、そこにプリオンが蓄積され、牛乳にプリオンが含まれる可能性もあります。「成長ホルモン+肉骨粉」という組み合わせは、きわめて危険ということになります。

家畜にはポジラック以外の抗生物質や人工ホルモンが使用されていますが、これも重大な問題なのです。牛肉に残留した薬剤が、発ガンなど人体に悪影響を及ぼす懸念があります。EUやオーストラリアは、アメリカが成長ホルモンを使っているので、アメリカからの牛肉を輸入禁止にしています。「グローバル・スタンダード」が大好きな日本は、世界の趨勢に準じてなぜ同じ措置をしないのでしょうか。



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