平和エッセイ

スピリチュアルな視点から平和について考える

狂牛病(BSE)と狂鹿病(CWD) (9)

2006年01月23日 | 食の安全
(9)「20ヶ月以下」と全頭検査

2005年12月、日本は、特定危険部位の除去を前提に、アメリカから20ヶ月以下の牛の肉を輸入再開することにしました。

日本は全頭検査を行なっていますが、日本で今までプリオンが発見された中で最も若い牛は月齢21ヶ月だそうです。20ヶ月以下の牛の検査をしても、プリオンの蓄積量が少なく、検出は困難だと考えられています。

※ただし、それはこれまでのことであって、検査方法が改善されれば、これからはもっと若い牛からもプリオンが見つかるかもしれません。

アメリカのBSE検査態勢が杜撰なことは、これまでの記述でもおわかりのことと思いますが、それでは、全頭検査という日本のやり方が正しいのかというと、これもかなり奇妙なものなのです。

日本でBSEの発生が見つかったとき、日本では全頭検査という方法が導入されました。年齢に関係なく、すべての牛でプリオンの検査をするのです。

しかし、20ヶ月以下の牛は、たとえBSEにかかっていても、プリオンの検出ができません。したがって、20ヶ月以下の牛に対しては、プリオン検査は無意味なのです。にもかかわらず、日本政府が全頭検査にこだわったのは、日本産牛肉に対する消費者の不安が高まり、売れ行きが落ち込んだからです。

それが起こったのは、現在、自民党の幹事長をしている武部勤氏が農水大臣だったころですが、武部大臣は、日本産牛肉は安全だとして、テレビで日本産牛肉を食べるパフォーマンスをしました。武部氏は北海道の畜産業者を支持基盤としています。今回、武部氏はアメリカに対して強硬発言をしていますが、それは、日本産牛肉を米国産牛肉と差別化し、日本産牛肉の売り上げを落とさないための言動であると思います。

日本産牛肉への不安を取り除くためには、政府は本来、日本におけるBSEの感染ルートを徹底的に解明し、その予防措置を講ずるべきでしたが、それをせずに、全頭検査という方法を導入しました。そして、全頭検査によってBSE牛をすべて発見できるという、偽りの安心感を日本の消費者に与えたのです。

それがなぜ偽りの安心感かというと、何度も言うように、20ヶ月以下の牛では、たとえその牛が潜在的にBSEにかかっていても、プリオンは検出できず、20ヶ月以下の牛には検査は無意味だからです。日本では不必要な検査のために、膨大な費用が無駄に使われています(全頭検査の費用は100億円とのことです)。しかし、誰もそれをやめようと言い出しません。その理由は、

・政府は国民に対して、万全な対策をしているという言い訳ができる。
・食肉業者は日本産牛肉の販売を増やすことができる。
・検査業者は検査で儲けることができる。
・消費者は何となく安心できる。

検査が意味をもつのは、あくまでも20ヶ月以上の牛だけなのです。

全頭検査という過剰検査によって、消費者は無駄な検査費用を負担させられています。これを「愚民政策」と批判する人がいます。
http://square.umin.ac.jp/massie-tmd/bse.html

全頭検査によってBSEが防御できると信じ込めば、日本の消費者が米国産牛肉に対しても同じ処置を求めるのは当然です。しかし、日本よりはるかに多くの牛を飼育し、多くの牛肉を消費しているアメリカでは、全頭検査をすれば超膨大な費用がかかります。その上、BSE牛が続々と発見されて、アメリカ政府と食肉業界の嘘がばれ、パニックが起こります。日本向け牛肉に対してだけ全頭検査をして、アメリカ国内向けには全頭検査しないというのであれば、今度はアメリカの消費者が納得しません。アメリカも全頭検査をせよ、という要求は、米国産牛肉輸入の妨害するための貿易障壁だとアメリカは受け取りました。(そういう要素もなかったわけではないでしょう)

そこでアメリカは、全頭検査という日本の措置は「科学的でない」という反論を加えてきました。実際、20ヶ月以下の牛に対してはプリオンは検出できないのですから、全頭検査はたしかに科学的にはおかしい部分があるのです。アメリカの批判はそれ自体としては正しく、日本政府もそれに反論できませんでした。日本政府の「愚民政策」のために、アメリカにツッコミを許す余地が生まれ、20ヶ月以下の牛を無検査で輸入再開することになったのです。

しかし、アメリカが狙っているのは、20ヶ月以下の牛ではなく、30ヶ月の牛の無検査輸出です。20ヶ月でするよりも、30ヶ月でしたほうが利益が大きいからです。

30ヶ月の牛になると、プリオン検査でBSEが発見できますが、検査をすると費用がかさみます。もし検査の結果、やたらにBSE牛が発見されたら、米国産牛肉への信頼が地に落ちますから、アメリカとしてはそれもやりたくありません。30ヶ月牛を無検査で輸出できれば、利益を最大化できますし、米国産牛肉への不信も避けることができます。

アメリカでは、牛を1頭ごとに管理していませんので、その牛の年齢は見た目で判断することになっています。20ヶ月の牛肉と30ヶ月の牛肉を区別するするのは、客観的基準があるわけではなく、アメリカ側の自主申告しかありません。そうすると当然、日本向けに20ヶ月以上の牛も紛れ込んでくることは避けられません。

日本政府がアメリカに対して行なうべきだったのは、全頭検査の要求ではなく、まさに「早期輸入再開を求める会」が掲げていた、

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I.人がBSEに感染しないために、SRM(特定危険部位)を人にたべさせない=牛肉として流通する前にSRMを除去する
II.牛がBSEにならないために、牛の肉骨粉を牛にたべさせない
III.IIの対策の効果測定のための、病牛や死亡牛のBSE検査
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という処置をアメリカが本当に行なっているかどうかの検証であったはずです。しかし、実際に検証してみれば、アメリカでは、

Iがまともに行なわれていないことは、今回の事件ではっきりしました。
IIも抜け穴だらけであることは、すでに見ました。
IIIもきちんと行なわれていないのです。

日本政府はまともにアメリカの状況を検証せず、アメリカの言い分をそのまま受け入れ、上記3条件が満たされているとして、輸入再開を認めました。これは日本政府の失態です。今回の事件は、アメリカのいい加減さと日本政府の場当たり的な対応を二つながらに暴露しました。

小泉首相が1月20日の第164回国会の施政方針演説で、

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 昨年12月、科学的知見を踏まえ、アメリカ産牛肉の輸入を再開しました。消費者の視点に立って、食の安全と安心を確保してまいります。
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http://www.kantei.go.jp/jp/koizumispeech/2006/01/20sisei.html

と述べた数時間後にアメリカの違犯が判明するというのは、あまりにもできすぎています。

※最近、ヒューザーの小嶋氏の清和会(森・小泉派)との癒着が判明したり、「改革」の目玉、亀井静香氏への「刺客」として擁立したホリエモンが捜査を受けたり、シャロン首相との会談がキャンセルされたり、明らかに小泉政権への逆風が吹き始めています。昨年9月12日のブログにも書きましたが、「陽きわまれば陰となる」で、総選挙で大勝した小泉氏の(悪?)運も終わりつつあるようです。

もう一度繰り返しますが、プリオンが検出されないということと、その牛がBSEでないということとは別のことです。20ヶ月以下のBSE牛は、プリオンが微量なために検出できないだけです。20ヶ月以下の牛だから安全ということにはなりません。

現在、徹底しなければならないのは、全頭検査ではなく、20ヶ月以下の牛も含めて、特定危険部位の完全な除去なのです。今回の事件は、アメリカがそれを行なっていないということを証明したわけで、きわめて深刻な事態です。


狂牛病(BSE)と狂鹿病(CWD) (8)

2006年01月22日 | 食の安全
(8)アメリカの反応

今回の脊柱混入事件では、アメリカはめずらしく早々と謝罪しました。

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 BSE(牛海綿状脳症)対策で除去が義務付けられている牛の脊柱(せきちゅう)(背骨)が米国産牛肉から見つかった問題で、マイク・ジョハンズ米農務長官は20日、緊急記者会見し、混入は米国の検査官が、日本向けの輸出基準をよく知らなかったのが原因と認め、謝罪した。

 米政府は日本の禁輸(輸入停止)の解除に向け、再発防止策を急ぐ方針だが、検査官が基準を知らないお粗末さに対する批判が高まりそうだ。

 ジョハンズ農務長官は、米業者が対日輸出の禁止部位を出荷したことについて「農務省の担当検査官が違反に気付くべきだった」と検査の不備を認めた。

 問題の牛の月齢は4か月半。日本は月齢20か月以下の牛について、脊柱などの特定危険部位を除いた上で輸入を認めていたが、「月齢30か月未満は安全」とする米国の基準では危険部位を取り除く必要はない。業者の従業員と検査官は、日米の基準の違いを十分認識していなかったと見られる。

 同長官は、全米の食肉処理施設に配置された農務省検査官の再研修や、すべての輸出向け牛肉処理施設の追加検査などを行うと発表した。できる限り早期に日本政府に、調査結果や対策の実施状況を報告する方針だ。今回違反が見つかった業者の輸出許可は、すでに取り消したとしている。

 昨年まで強硬に日本に輸入再開を迫っていた米側が全面的にミスを認め、再発防止に乗り出したのは、日本の消費者を刺激せず、再度の輸入停止を短期間にとどめたいためと見られる。

 全米最大の食肉業界団体、米国食肉協会(AMI)のパトリック・ボイル会長は20日の記者会見で「問題の牛肉は米国内では食用が認められている」と強調し、「1施設による1回だけの出荷だけで、日本政府が米国産牛肉を全面的に輸入禁止とするのは支持できない」と述べている。

 米農務省は、長官の会見に先立って出した声明で、輸出向け食肉施設に対する抜き打ち検査などの対応をとるとしている。しかし、米側の再発防止策が十分かどうかの見極めは難しい。日本の禁輸が長期化すれば、日米の摩擦が再燃する可能性もある。(ワシントン=広瀬英治)
(読売新聞) - 1月21日14時22分更新
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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060121-00000104-yom-bus_all

ところが、上の記事にもあるように、「1施設による1回だけの出荷だけで、日本政府が米国産牛肉を全面的に輸入禁止とするのは支持できない」と米国食肉協会(AMI)の会長はいたくご不満です。

しかし、問題は「1施設による1回だけの出荷」ではなく、「〔アメリカの〕食肉処理場の検査体制はずさんである」とアメリカ農務省の現役食肉検査官までが認める、アメリカ食肉業界の構造にあるのです。

検査が厳しいはずの日本向け牛肉にさえこういうミスが起こるということは、アメリカ国内に出回っている牛肉には、特定危険部位が適切に取り除かれていない肉がかなり含まれていることが推測されます。それにしては、アメリカにおけるクロイツフェルト・ヤコブ病患者の数が少ないのですが、それは情報が隠蔽されている可能性が高いのです。これについてはあとで論じます。

今回の日本側の反応について、アメリカの政治家はこう発言しています。

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 【ワシントン20日時事】グラスリー米上院財政委員長は20日、日本が輸入した米国産牛肉に特定危険部位が混入していた問題で、米農務省が再発防止策を打ち出していると指摘、「日本人が今回の事態に過剰反応しないよう促したい」と述べ、日本の消費者に冷静な対応を求めた。
 同委員長は、農務省が新たな検査体制を約束しており、「日本が市場を閉ざさないよう望んでいる」と語った。また、「米国産牛肉は安全だ」と強調し、米国は日本製品の輸入で良識ある態度を取っており、日本側も同様に対応すべきだと主張した。 
(時事通信) - 1月21日7時1分更新
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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060121-00000017-jij-int

自分のミスを棚に上げて、問題を「日本人の過剰反応」にするのは、相変わらず救いがたい思い上がりです。

「米国は日本製品の輸入で良識ある態度を取って」いるとおっしゃっていますが、アメリカは日本におけるBSEの発生を受けて、2001年9月から神戸牛などの日本産牛肉の輸入を禁止しました。その禁輸解除を決めたのは、2005年12月12日、つまり日本が米国産牛肉の輸入再開を決めた直後です。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051212-00000319-kyodo-bus_all

つまりアメリカは、日本における牛の肉骨粉の使用禁止、全頭検査など、とっくの昔から日本が行なっていたBSE対策を評価したわけではなく、日本が米国産牛肉の輸入再開を決めたので、アメリカも日本産牛肉の輸入再開を決めた、というだけのことです。今度の事件で、アメリカは日本産牛肉の輸入を再禁止するのでしょうか。

アメリカへの日本産牛肉の輸出などは微々たる額ですから、再禁止しようがしまいが、日本経済に大した影響はありませんが、牛肉の禁輸によって、いずれ自動車や電子機器などのその他の工業製品の輸入も制限するぞ、という脅しをかけるのが、アメリカの言う「良識ある態度」なのです。

狂牛病(BSE)と狂鹿病(CWD) (7)

2006年01月20日 | 食の安全
(7)特定危険部位

今日1月20日のニュースです。

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 政府は20日、輸入された米国産牛肉に、BSE(牛海綿状脳症)の病原体が蓄積しやすい特定危険部位の脊柱(せきちゅう)が混入していたため、12月に再開したばかりの輸入を、再び全面禁止する方針を決めた。

 安全が確認されるまでの措置。食品の安全性をめぐる議論の末に、一度は決着した米国産牛肉の輸入禁止問題は、振り出しに戻る。米国側のずさんな対応と同時に、米国に対する配慮から輸入再開を急いだ日本政府への批判も強まると見られる。

 問題の牛肉は、20日に成田空港に到着したもので、空港の動物検疫所で調べたところ、米国の業者から届いた41箱(390キロ・グラム)のうち、3箱(55キロ・グラム)に脊柱が混入しているのが見つかった。脊柱は、脳などとともにBSEを引き起こす病原体が蓄積されやすい部位とされ、除去することが日本の輸入条件となっている。

 小泉首相は20日夜、記者団に対し、「中川農相から米国産牛の日本への輸出は全部ストップすると電話で報告があった。米国にしっかりとした対応を求めるというので『それはいいことだ』と言った」と述べ、輸入の再禁止を了承したことを明らかにした。首相は中川農相に「厚生労働相とよく協議して米国にしかるべき対応を求め、適切な措置を日本として求めるように」と指示した。

 中川農相は同日夕に農水省で記者会見して、脊柱が混入した米国産牛肉が発見されたと発表し、「輸入プロセスの重大な違反となり、極めて遺憾だ。きちっと調査をして、米国政府に厳重に申し入れをしたい」と強い不快感を表明した。

 米国産牛肉は、米国内でのBSE発生を受けて2003年12月に日本が輸入を停止。内閣府・食品安全委員会のプリオン専門調査会(座長=吉川泰弘・東大大学院教授)で、輸入再開のリスクを検証し、脳や脊髄(せきずい)などの特定危険部位の除去や、生後20か月以下の牛に限ることを条件に、2年ぶりの再開を決定。12月16日に解禁から初めての米国産牛肉が成田空港に到着した。

 米国内での特定危険部位の除去作業をめぐっては、昨年8月、米国政府が自ら1000件を超える手続き違反を公表していたこともあり、以前からずさんさが指摘されていた。

 食品安全委は、昨年12月8日に農林水産、厚生労働両省に出した答申の中でも、輸入再開の条件が守られなかった場合は「(再開後に)輸入を停止することも必要」と指摘している。
(読売新聞) - 1月20日21時38分更新
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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060120-00000013-yom-bus_all

日本政府の、米国産牛肉輸入再開の決定が誤りだということが、露呈しました。これによって、米国産牛肉の輸入がしばらく延期されることは、たいへんよいことです。

BSEが蔓延している今日、牛肉を食べる場合、プリオンが含まれている可能性がある特定危険部位(SRM)を除去することが大前提です。ところが、アメリカの食肉処理場ではSRMが適切に取り除かれていないということを、今日のニュースは証明しました。

すでに2005年4月に以下のように報道されていたのです。

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 BSE問題に関連して、アメリカ農務省の現役食肉検査官がNNNのインタビューに対し、「食肉処理場の検査体制はずさんである」と具体的に証言をした。現役の検査官がテレビカメラの前で、このような証言をしたのは初めて。
 食肉処理現場のずさんな実態を証言したのは、牛の月齢判別や危険部位の除去などが適正に行われているかを監視する農務省・食品安全検査局の現役の食肉検査官。検査官は「米国内で本来、食肉として処理されてはいけない、月齢30か月以上の牛の危険部位が処理される場面をこの2日間だけでも2度目撃した」と述べた。また、処理場の従業員の多くが、まともな訓練も受けないまま、月齢判別などの現場を任されているため、間違いや見過ごしが日常的に起きていると述べている。さらに、間違いや見過ごしを指摘した場合にも、処理場や農務省の幹部にはとりあってもらえず、現場の検査官の権限がほとんど生かされていないと訴えている。その上で検査官は「処理業者が、農務省に指図をするという構図にはもううんざりだ。結局、業者は検査官をなるべく排除しようとしているんだから」と述べた。
 今回の取材に応じた検査官以外にも、農務省の基準が守られていないと主張する現場の担当者は全米で声を上げ始めている。
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http://blog.goo.ne.jp/infectionkei2/e/89c21679c9a1a74908daa94270800649

こういうことが以前から指摘されていながら、米国産牛肉の輸入再開を決めた政府関係者、食品安全委員会、また輸入再開を求めた「早期輸入再開を求める会」の責任は重大です。彼らは日本国民の健康を何と考えているのでしょうか。国民の生命よりもブッシュ政権の意向や、外食産業の利益のほうが大事なのでしょう。

1月17日のブログにも書きましたが、最近は嘘、ごまかし、不正が暴露されるがどんどん早くなっています。ライブドア事件もそうですね。業の世界の消滅が加速しつつあります。

狂牛病(BSE)と狂鹿病(CWD) (6)

2006年01月19日 | 食の安全
(6)吉野家の牛丼

日本にはいくつかの牛丼チェーンがありますが、その中でも吉野家は米国産牛肉にこだわっています。やや硬いオーストラリア産を使わず、あくまでも米国産牛肉の柔らかい肉質を求めているのです。このような肉はどのように作られているのでしょうか?

「衆議院農林水産委員会での2005/2/24の質疑」で、民主党の山田正彦議員が以下のように指摘しています。

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 いいですか、大臣。私がきのう見に行ってきたら、ショートプレートというのがメキシコから入っていました、かなりの量です。そのショートプレートというのは、通称吉野家カットといって、牛丼になる部分です、これは。そこに何と書かれておったかというと、糖みつ飼育の若姫牛と書かれておった。糖みつ飼育の若姫牛。
 糖みつ飼育というのは、大臣わからないかもしれない。これは、鶏ふんを牛に食べさせる。アメリカで行われているんです。そのときに、鶏ふんを牛がなかなか食べないから、もう臭いし、おいしくないし。どうして食べさせるかというと、糖みつをかけて食べさせているんです。これはアメリカで行われています。
 そして、私は、この牛肉は、ショートプレート、いわゆる牛丼に使う分は、アメリカの牛肉がメキシコに来て、メキシコから入ってきたんじゃないかと疑った。
 メキシコから入ってきたショートプレートというのは、僕は脂肪の厚さから肉の質まで全部この目で見させてもらった。これはどうもメキシコの云々というか、やせた牛の云々じゃあり得ないと思って、穀物を食べさせた、私もかつて牛を飼って肉屋もやりましたから、牛丼屋もやりましたから、わかっているつもりですが、これはおかしいと。そこで、獣医である検疫官に聞いてみた。そうしたら、検疫官が答えたのは、いわゆるアメリカからのショートプレートとメキシコからのショートプレートは、私の見た目には違いはありませんと。
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http://www.asyura2.com/0403/gm10/msg/559.html

※山田正彦氏はご自分でも牧場経営した経験があります。昨年、『アメリカに潰される! 日本の食』(宝島社)という本を出して、その中でBSE問題を詳しくレポートしています。

吉野家の肉は、まさに糖蜜飼育された牛なのです。糖蜜飼育の際には、ニワトリのフンに混じった肉骨粉も食べていますから、そういう牛はBSEに感染している可能性があります。

現在は、プリオンはいわゆる特定危険部位(SRM)のみに含まれていると言われていますから、危険部位を取り除けば、たとえBSEの牛の肉であっても、即、危険ということはないかもしれません。ところが、これまでは危険部位ではないと言われていた末梢神経や副腎からも、微量ながらプリオンが検出されています。
http://news.kyodo.co.jp/kyodonews/2004/bse/news/1102-531.html

今まで大丈夫だ、と言われていた部分が、急に危険だ、と言われることになるかもしれませんから、用心するにこしたことはありません。

過去において吉野家の牛丼を食べてしまった人は、どうすればよいのでしょう? 一生懸命、世界平和の祈りを祈り、印を組み、肉体への感謝、食べ物への感謝、動物への感謝をして下さい。

狂牛病(BSE)と狂鹿病(CWD) (5)

2006年01月18日 | 食の安全
(5)ニワトリのエサと糖蜜飼育

肉骨粉を豚や鶏のエサに使用するかぎり、飼料の製造・流通過程で肉骨粉の混入が避けられないことは明らかですが(代用乳の問題はあとで触れます)、とくに問題なのはニワトリのエサの場合です。というのは、製造ラインだけではなく、エサの使用場面でも汚染が生じる可能性があるからです。

肉骨粉を含んだエサをニワトリに与えても、牛のタンパク質自体は、雑食動物であるニワトリの体内で、ニワトリのタンパク質に変換されるはずですから問題はないでしょう(プリオンはどうなるのでしょう?)。しかし、アメリカでは、「容器からこぼれた鶏の飼料は、鶏の廃物と一緒にかき集められ、牛の飼料として転用されている」(暗いニュースリンク)ので、結局のところ、牛の肉骨粉がニワトリの飼料を経由して、ふたたび牛に投与されることになります。牛が牛の肉骨粉を食べさせられるわけですから、牛がBSEを発症する可能性があります。

ニワトリのエサの中の肉骨粉にプリオンが含まれていた場合、それは(a)ニワトリの体内で安全なタンパク質に変化するのでしょうか? それとも(b)プリオンのままにとどまり、体内に蓄積されるのでしょうか? (c)卵として排泄されるのでしょうか? (d)フンとして排泄されるのでしょうか?

(b)や(c)の場合、プリオンが鶏肉や卵として、人間の口に入る可能性があります。(ただし、プリオンは脳などの特定部位に蓄積されるので、その可能性はきわめて小さいと思われます)

しかし、なぜ、「容器からこぼれた鶏の飼料は、鶏の廃物と一緒にかき集められ、牛の飼料として転用されている」のでしょうか?

「アメリカの蓄牛は鶏の廃物、牛の血液、外食産業の残飯を摂取」させられている、と「暗いニュースリンク」は書いていますが、これについてもっと詳しく説明します。

「鶏の廃物」というのは、具体的にはニワトリのフンです。(3)のコメント欄で「杉」さんも書いていますが、ニワトリのフンに糖蜜をかけて、これを牛に食べさせるのです。その際、肉骨粉を含んだニワトリのエサがこぼれてフンに混入します。アメリカでは、それを全部集めて牛の飼料として利用しているのです。なんでこんな変なものを牛に食べさせるかというと、すべて経済効率の考え方からです。

牛は草ばかり食べていれば肥育が遅くなります。そこで肥育を早めるために牛に動物タンパク質を食べさせます。牛の・解体で、食用にならずに余った部分を肉骨粉として利用すれば、処理費用もはぶけて一石二鳥というわけで、肉骨粉の使用が始まったのです。(肉骨粉を最初に利用したのはイギリスです)

ニワトリのフンもきっと、牛の成長を早めるために投与されているのでしょう。それに安価ですし、フンの処理費用もはぶけます。すべて経済効率の考え方です。

しかし、(d)の場合、プリオンを含んだ鶏糞が牛のエサとなります。鶏糞からBSEが広まる危険性はないのでしょうか?

「牛の血液」についてはあとで述べますが、「外食産業の残飯」には当然、肉が含まれますから、そういうものをエサとして食べた牛はBSEを発症する可能性があります。

狂牛病(BSE)と狂鹿病(CWD) (4)

2006年01月16日 | 食の安全
(4)毎日新聞の記事

以下の2001年12月の毎日新聞の記事をお読み下さい。

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北海道の狂牛病:
感染牛の代用乳、95年から豚の血しょう添加

 狂牛病(牛海綿状脳症)感染が3頭確認された問題で、北海道産の感染牛2頭に与えられていた群馬県高崎市の工場製の代用乳は、95年8月の成分変更で、豚の血しょうたんぱくが添加されるようになったことが4日、分かった。この代用乳と、餌の製造ラインでの肉骨粉混入が、これまでに感染ルートの可能性として浮上しているが、いずれも裏付けはない。代用乳なのか餌なのか、他のルートがありうるのか――。謎は深いままだ。

 豚の血しょうたんぱくは、農水省が今年10月、製造や販売を禁止した。同省は、感染した3頭が生まれた96年春と、95年8月の成分変更とが近接していることに注目している。

 同工場などによると、豚の血しょうたんぱくは病気への免疫力などを高めるため、米国の会社から輸入し新たに加え始めた。これに伴い、代用乳の商品は「ミルフードAスペシャル」から「ミルフードAスーパー」に変更。「ミルフードAスーパー」は半年後の96年3、4月に生まれた両感染牛に生後2カ月まで与えられていたことが、同省の調べで判明している。「ミルフードAスーパー」には牛の油脂も成分として含まれていた。

 同省の独立行政法人・肥飼料検査所(さいたま市)は11月25日、12月2日の両日行った同工場の緊急立ち入り調査で、95、96年当時同工場で製造していた代用乳の成分の配合割合や製造記録などを回収した。

 群馬県宮城村で見つかった国内3頭目の感染牛には「ミルフードAスーパー」は与えられていなかったが、同工場で製造された、豚の血しょうたんぱく入りの別の代用乳を飲んでいたことが県の調べで分かっている。

 一方、3頭目の感染牛に与えられていた餌を作っていた同県大間々町の飼料製造工場で、肉骨粉を原料に使う豚・鶏用の飼料の製造ラインが牛の飼料用と一部重なっていたことも判明。同工場に製造委託している全国農業協同組合連合会(全農)は、製造過程で牛用の餌に肉骨粉が混入した可能性を認めている。

 北海道産の1、2頭目の感染牛に与えられていた配合飼料を製造した釧路市と訓子府(くんねっぷ)町の工場も、肉骨粉の混じる豚・鶏用ラインと共用だった。

 さらに牛用と豚・鶏用の飼料を宮城村の農家に運ぶ輸送車が、共用されていたことも分かった。豚・鶏用の飼料を運送した後は、トウモロコシなどの穀物で洗浄することになっていたが、全農は「肉骨粉が完全に除去されたとは言い切れない」としている。【三木陽介、清水憲司】

[毎日新聞12月4日] ( 2001-12-04-15:01 )
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http://www.asyura.com/sora/gm2/msg/288.html

これを読みますと、

(1)飼料工場では、牛用、豚用、鶏用の製造ラインが共通であり、輸送車も共通であり、製造と運搬の段階で、牛用飼料に肉骨粉の混入が避けられない。

(2)子牛に与えられる代用乳に豚の血が含まれている。

ということがわかります。

これは日本の状態ですが、アメリカでも同じだと思います。


狂牛病(BSE)と狂鹿病(CWD) (3)

2006年01月13日 | 食の安全
(3)製造工場での汚染

飼料工場では様々な材料を混ぜて飼料を作るわけですが、牛のエサ用の製造ライン、ブタのエサ用の製造ライン、トリのエサ用の製造ラインを別々に設置しているとは考えられません。そんなことをすると、設備費が膨大になってしまいます。同じラインを使いながら、その時々に配合する材料を変えているだけでしょう。

そうすると、たとえばニワトリのエサの製造に肉骨粉を使うと、製造ラインには当然、肉骨粉が付着します。それを完全に取り除けばよいのですが、それには膨大な手間がかかります。何せ動物のエサなのですから、そんなに清潔に掃除するとは考えられません。

そういうラインで、ニワトリのエサの次に牛用のエサを作ると、そこには当然、肉骨粉が混入します。この混入は、「突発的」どころか、恒常的に生じていると考えるほうが自然です。つまり、今でも牛の飼料には肉骨粉が微量ながら含まれていると考えられます。

それどころか、アメリカの検査態勢はきわめていい加減ですから、今でも牛の飼料に肉骨粉が闇で使用されている可能性も排除できません。

肉骨粉の原料は、「処理場に運ばれる前に死んだ動物たち、頭部や足、毛根骨や足根骨、毛、羽毛、乳腺」であることを思い出してください。「処理場に運ばれる前に死んだ動物たち」の中には、当然、病気で死んだ牛もいます。その中には、ひょっとするとBSEで死んだ牛もいるかもしれません。「頭部」も利用されますが、脳はプリオンがたまりやすい「特定危険部位」です。

肉骨粉を利用し続けるかぎり、プリオンが食物連鎖の中に入ってくる可能性があります。

肉骨粉を家畜用飼料として利用することを全面禁止にしなければ、牛の飼料には肉骨粉が混入し、それどころか、プリオンまで混入し、常に狂牛病のリスクが存在していることになります。

現にEUでは、肉骨粉が全面使用禁止になりました。ところが、アメリカと日本では、まだ牛以外の飼料への肉骨粉の使用が禁止されていません。

日本でもかつて、狂牛病で死んだ牛が、焼却されず、肉骨粉として利用されていたのです。
http://www.bunrishoin.co.jp/susume8.html

恐ろしいことです。アメリカの状況はかなり危険ですが、日本の状況も決して安心できるものではないのです。


狂牛病(BSE)と狂鹿病(CWD) (2)

2006年01月12日 | 食の安全
(2)肉骨粉の行方

 「早期輸入再開を求める会」が述べているように、狂牛病の原因は、牛の飼料に含まれる肉骨粉であると考えられています。

肉骨粉には、

(a)プリオンを含む肉骨粉
(b)プリオンを含まない肉骨粉

の2種類があると考えられます。

(a)のプリオンを含む肉骨粉を食べた牛は、BSEになります。言うまでもなく、これは絶対に食物連鎖から排除しなければなりません。

それでは、(b)のプリオンを含まない肉骨粉は安全かというと、そうとは言えません。そもそもBSEがどのようにして発生したのか、その起源はまだよくわかっていないようです。何らかの原因で突然生まれたプリオンが、肉骨粉の輸出・利用によって世界各地に広まったのか、それとも、牛が牛の肉骨粉を食べると、プリオンを作りやすくなるのかもしれません。

そもそも狂牛病は、草食動物である牛に牛の肉骨粉を食べさせるという、自然の摂理に反した人間のおぞましい行為によって発生した病気です。おそらく、プリオンを含まなくても、牛が牛を食べることによって、その牛がプリオンを作りやすくなるというのが、真実であると思われます。

ですから、「早期輸入再開を求める会」が主張するように、「牛の肉骨粉を牛にたべさせない」ということを徹底することが大切なのです。

それでは、アメリカは肉骨粉の使用をやめたのでしょうか?

「暗いニュースリンク」(これは日本では報道されない海外のニュースを邦訳して紹介しているサイトです)より――

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1997年まで、食肉処理の使い残しから作られる肉骨粉は、タンパク源として牛の飼料に転用されていたが、英国で狂牛病が発生すると、合衆国でも飼料業界に飼料への転用を禁止するよう求められた。しかし英国と違い、米国では飼料規制には抜け穴がある。

例えば、牛の肉骨粉を鶏の飼料に使うことは禁止されていない。容器からこぼれた鶏の飼料は、鶏の廃物と一緒にかき集められ、牛の飼料として転用されている。

科学者達は、BSEタンパクが飼料精製課程でも残留し、鶏の内臓を通して摂取されると信じている。

そうしたことにより、結局は牛のタンパクが合法的に牛の飼料として摂取されると、かつて農務省の獣医として狂牛病対策を数年にわたり担当してきたリンダ・デウィラーは言う。

「それほど普通に行われていることではなく、量もごくわずかだとは言えるでしょう」デウィラーは言った。しかしそれでも、システム内に牛のタンパクがあるということは、牛が再摂取することもある、と彼女は言う。

牛のタンパクは鶏の飼料としても、ブタや家庭のペットの飼料としても使われており、飼料工場で突発的に汚染が発生するリスクはある。
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http://hiddennews.cocolog-nifty.com/gloomynews/cat246361/index.html

上の引用からもおわかりのように、アメリカでも、肉骨粉を直接、牛の飼料として使うことは禁止されたのですが、ニワトリやブタのエサとして利用することは、現在も禁止されていないのです。

ペットフードのところでも述べたように、肉骨粉には有害な化学物質が含まれていると考えられます。そういうものを家畜の飼料として与えれば、当然、家畜にも化学物質が取り込まれ、最終的には人間の口に入ります。しかし、その問題はここでは扱いません。

BSE問題で重要なのは、「飼料工場で突発的に汚染が発生するリスク」が発生することです。

狂牛病(BSE)と狂鹿病(CWD) (1)

2006年01月11日 | 食の安全
このブログの2005年2月10日に、「クロイツフェルト・ヤコブ病」を書きました。

もう一度確認しますと、「クロイツフェルト・ヤコブ病は、脳がスポンジ状になって痴呆状態に陥る病気です。この病気にはいくつかの種類があるようですが、変異型クロイツフェルト・ヤコブ病というのは、プリオンというタンパク質の一種を摂取することによって生じるということです。プリオンは狂牛病(BSE)になった牛の特定部位(脳や脊髄)に多く含まれます。早い話、狂牛病になった牛の肉の特定部位を食べることによって発症します。」

私は、「このような状況で米国産牛肉の輸入を再開しては、危険すぎます。日本政府は、アメリカの圧力に屈することなく、国民の食の安全を第一に考えてほしいものです」と書いたのですが、同年12月12日に、厚生労働省は米国産牛肉の輸入再開を決定いたしました。
http://www.mhlw.go.jp/topics/2005/12/tp1212-1.html

すでに米国産牛肉が日本で販売されています。

この間、この問題に関してインターネット上の情報を色々調べてみましたが、恐ろしい事態が進行していることがわかりました。結論から先に申し上げますと、米国産牛肉は非常に危険です。

(0)国際安全基準とは?
「米国産牛肉全面的早期輸入再開を求める会」という会があります。
http://kaikin.jp/index.php

この会は、「日本政府が国際安全基準にそぐわない〔非合理的な、厳しすぎる〕要求をアメリカにしている」のはおかしい。それを「国際安全基準」(グローバル・スタンダード)に合わせて、安くて美味しい米国産牛肉を早期に輸入再開すべきだ、というキャンペーンを行なった会です。そのメンバーは、吉野家やスエヒロや焼き肉屋などの外食産業、食品販売業者などです。

この会があげる「国際安全基準」とは、

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I.人がBSEに感染しないために、SRM(特定危険部位)を人にたべさせない=牛肉として流通する前にSRMを除去する
II.牛がBSEにならないために、牛の肉骨粉を牛にたべさせない
III.IIの対策の効果測定のための、病牛や死亡牛のBSE検査
※現状では、完全な検査方法はなく、30ヶ月未満の若い牛は病原体となる異常プリオンが脳に蓄積しないため、検査によるBSE検出は難しいとされています。
★最も重要な安全対策は、SRM(特定危険部位)の除去です。
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http://kaikin.jp/genzyo.php

と述べています。

アメリカの現状は、この「国際基準」に合致しているのでしょうか。そのことを以下で検証してみましょう。

(1)肉骨粉、レンダリングとは?
まず、狂牛病の原因となる肉骨粉(meat and bone meal=MBM)とは何か、ということから見ていきます。そのためには、肉骨粉を作る際の「レンダリング」(Rendering)という作業について知る必要があります。

以下は、ペットフードに関するサイトからの引用です。

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レンダリングとは死んだ動物や病気の動物たちの肉を集めて混ぜ合わせ、高温高圧をかけて油脂と肉骨粉をつくることです。

アン・N・マーチンの本「食べさせてはいけない!ペットフードの恐ろしい話」(白楊社)にレンダリングの実態が詳述されています。

「レンダリング工場では食肉処理場からきた原料〔処理場に運ばれる前に死んだ動物たち、頭部や足、毛根骨や足根骨、毛、羽毛、乳腺が、死骸に高レベルの薬物や殺虫剤が入っている原料がレンダリング工場へ運ばれます。癌組織や腫瘍、寄生虫に感染した器官が、汚染された血液が、充血部位や血痕、骨の破片あるいはそこに付着したもの。
つまり食肉の産業廃棄物は全てレンダリング工場行きとなるのです。〕
そのほかに、レストランやスーパーマーケットが出したゴミ、死んだ家畜、路上轢死動物、安楽死させられた犬や猫などのコンパニオン・アニマルが巨大な容器に投げ込まれます。そして機械がこれらの原料を砕き、その後104℃から132℃の間で20分から一時間加熱処理します。すると脂肪や獣脂が上に浮いてくるので、これらを取り出します。
これがペットフードに含まれている動物性脂肪の元になるのです。
最後に残った原料は加圧して水分を搾り出し、肉骨粉になるのです。」
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http://www.apsodog.com/bon08_2.html

※以下には、アン・N・マーチンの本のもっと詳しい紹介があります。
http://www.inualle.com/main/dogfood.html
これを読みますと、犬やネコの死骸もレンダーされて、油脂や肉骨粉にされ、ペットフードとして「再利用」されていることがわかります。

すなわち、

動物の死骸→【レンダー】→動物性脂肪+肉骨粉

ということになります。

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日本で販売されている有名〔ペット〕フードの多くは、海外のこうしたレンダリング工場でつくられた肉骨粉を原材料としてつくられています。各メーカはこの肉骨粉に自社のオリジナルの材料や添加物をくわえてフードとして完成させるのです。
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http://www.apsodog.com/bon08_2.html

海外の動物性脂肪と肉骨粉を使ったペットフードには、保存剤、殺虫剤、薬剤(動物を安楽死させるときに使う毒薬)などの化学物質も含まれています。そういうペットフードがどれほど恐ろしい食べ物かということ、そして、そういうペットフードばかり食べさせていれば、ペットが病気になるということは、上の二つのサイトで十分に説明されていますから、ここでは触れません。

肉骨粉とBSEの関係に戻ります。問題は、肉骨粉がペットフードだけではなく、家畜の飼料としても使われることです。

韓国産キムチにも寄生虫卵

2005年11月04日 | 食の安全
韓国産キムチにも寄生虫卵が付着していることが判明しました。日本も寄生虫卵の付着した韓国産キムチを輸入していたとのことです。

なぜ韓国産キムチに寄生虫卵が付着していたかというと、韓国は中国産のハクサイを輸入してキムチを製造していたからだそうです。何のことはない、中国は自分の国で「生産」した寄生虫卵を、キムチとして「逆輸入」していたわけです。

日本は、韓国産キムチも、中国産でありながら韓国ブランドのキムチも、中国からのハクサイも輸入しています。

寄生虫卵が付着しているからすぐにお腹の中に寄生虫が発生するとはかぎりませんが、気持ちのよいものではありません。

私は団塊世代ですが、小学校のころ、クラス全員が寄生虫を下す薬を飲まされた記憶があります。飲むと、世界がしばらく黄色く見えたものでした。今から考えると、やはり一種の毒物だったのでしょう。

今の時代、お金があれば何でも輸入できますが、食料を外国に頼るのは考えものだと思います。どんなに高くても、農産物はやはり国内で自給すべきだと思います。

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【ソウル堀山明子】韓国の食品医薬品安全庁は3日、韓国産キムチ502社の製品を検査した結果、3.2%にあたる16社の製品から寄生虫の卵を検出したと発表した。人体には影響がないとされるが、日本への輸出業者1社も含まれており、出荷時の検査を強化する方針だ。
 寄生虫の卵は白菜の栽培時に肥料で使った豚のふんなどに含まれたものが残留したとみられる。同庁は、卵が検出された16社の社名を公表し、内部検査を命じた。消費者に対しては、卵を食べてもすぐ体外に排出されるため人体に影響はないと強調、冷静に対応するよう呼びかけている。
 キムチをめぐっては、同庁が10月下旬、輸入された中国産キムチを検査した結果、9社製品に寄生虫の卵が検出されたと発表。一方、中国メディアも今月1日、韓国産キムチも5社で卵が検出されたと伝え、キムチの海外輸出量1、2位を争う中国と韓国の貿易摩擦に発展していた。
 韓国の潘基文(バンギムン)外交通商相は3日の国会答弁で、「中韓の貿易摩擦が否定的影響を及ぼさないよう努力している」と述べ、中韓の摩擦が輸出キムチのイメージダウンを招かないよう、対策を講じる姿勢を強調した。
(毎日新聞) - 11月4日1時33分更新

キムチ摩擦

2005年11月03日 | 食の安全
中韓の間で「キムチ摩擦」が起きています。

きっかけは、韓国が中国から輸入しているキムチに寄生虫の卵が見つかったことです。それ以前に、中国産キムチに高濃度の鉛が検出され、大きな問題になっていました。

韓国政府が中国産キムチへの検査を厳しくしたところ、今度は中国側も、韓国産キムチに寄生虫卵が見つかった、と発表しました。

韓国側の検査はおそらく正しいものと思われます。韓国は最近、かなりの量のキムチを中国に依存していて、中国産キムチの輸入が減れば、韓国も困るからです。

しかし、韓国産キムチに寄生虫卵が見つかったという中国側の発表は、真実なのか虚偽なのか、現在のところわかりません。これは、中国側の報復処置だと見られています。もし虚偽であれば、中国は、自国の利益のためであれば、平気で嘘をつく国だということになります。

韓国は、中国側の検査データを検証し、もし事実であれば、自国のキムチ製造体制を見直すことが必要ですし、もし虚偽であれば、自国の名誉のために、そのことを国際社会に発表すべきです。

日本政府は、中国には韓国キムチの検査結果を請求し、韓国には中国キムチの検査結果を要求すべきです。そして、日本も両国のキムチを検査し、問題あり、とわかった国からのキムチの輸入は禁止すべきです。キムチだけではなく、その国から輸入する食品全体を厳しく検査する必要があります。

以下の記事にもあるように、中国政府自身が、自国の食の安全には問題があると認めています。「エチゼンクラゲ」にも書きましたように、当面の間、中国産食品には注意したほうがよいでしょう。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051102-00000019-scn-int

【中国】食の安全:微生物汚染で大打撃「問題山積み」

 中国国家品質監督検験検疫総局(AQSIQ、質検総局)が、韓国産キムチ製品など10品目から寄生虫卵が検出されたとして、輸入停止と検査強化を発表。中国衛生部の陳嘯宏・副部長は1日の記者会見で、「食の安全は、養殖・栽培、加工、流通、調理などの過程で、問題が山積みだ」と発言した。1日付で人民日報が伝えた。

 会見に同席した同局・執行監督司の趙同剛・司長は、「微生物による汚染が食の安全にとって大きな脅威となっている」と発言。微生物汚染が食中毒被害に占める比重は、2003年には被害件数全体の26%だったが、04年には43.8%に上昇したことも明らかにした。

 さらに趙・司長は、「生産から調理までの全サイクルで、汚染も深刻だ」と強調した上で、「特に養殖・栽培の過程における農薬乱用・残留が問題」との認識を示した。

 趙・司長は、2000年から食品汚染を監視するネットワークを全国で展開していることも紹介した。これまでに、監視拠点を15の省レベル行政区画に設置しているが、07年をめどに31の省レベル行政区画に拡大する。(編集担当:菅原大輔・如月隼人)

(サーチナ・中国情報局) - 11月2日23時37分更新

腐らない野菜

2005年02月14日 | 食の安全
コンビニやスーパーは激しい価格競争をしています。コストを引き下げるため、食材の多くは安い輸入品ということになります。

郡司氏の同じ記事の中に、次のようなエピソードが書かれています。

つくば山麓で農業を営んでいる友人の方が、スーパーから、売れ残りの輸入野菜を肥料として利用するように依頼されたそうです。そこで、堆肥にするために穴の中に野菜を入れたのですが、通常の発酵の日数になってもなかなか発酵しなかったそうです。

郡司氏は、それはポストハーベストの残留農薬のせいではないか、と推測しています。

ポストハーベストは、輸送中に食材が腐らないようにするために用いられる農薬ですから、ポストハーベストをほどこされた野菜は、捨てられたあとでも腐りづらくなるでしょう。

しばらく前に、中国から輸入した野菜に、高濃度の農薬が検出されたことがありました。

日本の野菜・果物にも大量の農薬が使われています。しかし、ポストハーベストまでは使われていないでしょう。

食べ物は、命のもとであり、金儲けのための商品ではありません。命とお金のどちらが大切か、言うまでもありません。すべてをお金に換算し、安ければいい、もうかればいい、というのでは、価値観が狂っていると言わざるをえません。昨日のコメント欄ですずきさんも書いていましたが、食にかかわる人びとには高い「モラル」が必要とされます。

コンビニ食品

2005年02月13日 | 食の安全
食べ物の話題の続きです。

私の妻が『健康ファミリー』(文理書院)2005年1月号の記事を見せてくれました。それは、フリージャーナリスト郡司和夫氏の「コンビニ食品で豚に出産異常?」という記事です。

それによりますと、北九州地方の養豚家が売れ残りのコンビニ食品をエサとして豚に与えたところ、しばらくして豚がぶくぶくと太りはじめ、25頭の母豚に、死産や奇形などの出産異常が起こったということです。

インターネットで検索したところ、これは2004年3月の西日本新聞の記事がもとになっているようです。

この記事でも示唆されているように、豚の出産異常の原因は、コンビニ食品の(1)栄養のアンバランス、(2)濃い味付け(塩分過多)、(3)食品添加物、の3つが考えられます。豚はこういうコンビニ食品を毎日食べているうちにおかしくなってしまったわけです。

豚に起こったことは、当然人間にも起こりうる可能性があります。こういうコンビニ食品を毎日のように食べている人もいるのではないでしょうか。

3つの原因のうちでいちばん不気味なのは食品添加物です。郡司氏はこう書いています。

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 最近は「合成保存料、着色料、化学調味料無使用」を前面に打ち出したコンビニ食品が目立つようになっている。
 しかし、コンビニ弁当などは、夏場の炎天下に1日置いていても腐らないような"仕様"になっている。PH調整剤をふんだんに使ったり、キャリーオーバーを利用して添加物の使用を隠すなどの工夫をしているのである。
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たとえば、スライスされたゆで卵は、黄身と白身を別々に作り、それを金太郎飴式に成形するのだそうで、その作業には保存剤や乳化剤が必要とのことです。

そもそも食べ物が長時間、腐らないということ自体が不自然です。

さらに、弁当の食材を詰め分けるときに使う塩化ビニル製の手袋には数十%のフタル酸エステルという可塑剤(ビニルを柔らかくする物質)が含まれていて、環境ホルモンの疑いがあるこの物質が食品中に混入することが判明しています。
http://www.id.yamagata-u.ac.jp/EPC/11wadai/wadai01.html#1043

1食ごとでは微量でも、長期間にわたる摂取で人工的添加物が人体に蓄積されていったとき、なんらかの異常を引き起こさないとは言えません。便利・手軽を追い求めるあまり、現代日本の食は恐ろしいものになりつつあるのかもしれません。


ポスト・ハーベスト(1988年10月)

2005年02月11日 | 食の安全
食べ物の話題を続けます。もう20年近く前の平和エッセイ(1988年10月)ですが、今でもそのまま通用するのが残念です――

 日本では、国民が口にする食料の半分近くがすでに輸入品になっている。その上、最近の農産物の自由化の圧力によって、近い将来、輸入食料品の比率がますます増加することが予想される。米ですらもはや聖域ではない、などと言われている。日本の農家はもちろん農産物の輸入自由化に反対であるが、貿易の自由化は世界経済の阻止できない流れである。また、安くておいしい食料品が輸入されることを歓迎する人たちも少なくはない。しかし、これには賛成ばかりはしていられない問題もある。その一つがポスト・ハーベストの問題である。

これは聞きなれない言葉であるが、正確にいうと、ポスト・ハーベスト・アプリケーションの略で、ハーベスト、つまり収穫のあとで作物に施される薬品処理のことである。たとえば、アメリカから日本へオレンジやレモンなどを船で輸送すると約二週間かかるが、普通ではその間に果物は当然すべて腐敗する。それを腐らせないために、収穫された作物に、腐敗防止のための薬品がかけられる。この薬品が日本ではその使用が認められていない農薬で、しかもかなりの高濃度である。それでも、日本到着時には約二割が腐敗するという。

 ところがアメリカでは、自国内向けの作物にはこのポスト・ハーベスト薬品の使用は禁止されている、というからあきれる。自分の国では危険だから使用しないが、金さえもうかるのであれば、他国民の健康などどうなってもかまわない、というのであろうか。日本の政府や報道機関はこのような実情を国民に明確に知らせ、消費者はこのことをよくわきまえた上で、輸入食料品を口にするか否か選択すべきであろう。

 自分さえ得すれば、他人や他国がどうなってもかまわない、という発想は、今日の世界の風潮になっているようである。アメリカではタバコの有害性が認められて、テレビなどでのタバコのコマーシャルがきびしく制限されているのに、アメリカのタバコ会社は日本では大々的な宣伝活動をしている。ドイツやイタリアをはじめとして西ヨーロッパ諸国は、自国で出た有害な産業廃棄物をアフリカに捨てようとしている。日本とて例外ではない。日本を含め先進国は、自国では使用禁止になっている毒性の高い農薬を開発途上国に堂々と売っている。そしてその最たるものが、武器を売り込む死の商人である。

 こうしたことは、人類は本来、神から分かれた一つの生命であり、他者を傷つけることは、即、自分を傷つけることであることを知らぬ無知から生じている。早い話、東南アジアで日本の有毒な農薬を使って栽培された作物を日本が輸入したら、その被害を被るのは日本人なのである。このような問題を見るにつけ、人類は一つという意識を一日も早く覚醒させるために、ますます世界平和の祈りを祈らなければならない、と思うのである。

――このエッセイを書いたときは、「ポスト・ハーベスト」はまだ新語でしたが、現在では一般語になっているのではないでしょうか。そして、カロリーベースでの日本の食料自給率は、すでに50%を割り込み、40%になっているということです。


クロイツフェルト・ヤコブ病

2005年02月10日 | 食の安全
昨日、昨年の「鳥インフルエンザ」の平和エッセイを掲載したのは、最近、国内で初めて変異型クロイツフェルト・ヤコブ病と確認された男性患者が死亡したからです。

クロイツフェルト・ヤコブ病は、脳がスポンジ状になって痴呆状態に陥る病気です。この病気にはいくつかの種類があるようですが、変異型クロイツフェルト・ヤコブ病というのは、プリオンというタンパク質の一種を摂取することによって生じるということです。プリオンは狂牛病(BSE)になった牛の特定部位(脳や脊髄)に多く含まれます。早い話、狂牛病になった牛の肉の特定部位を食べることによって発症します。

死亡した方は、イギリスで狂牛病がはやっていた1989年にイギリスに滞在して、その時たべた牛肉が原因らしいというのが、表向きの発表です。しかし、今週の『週刊文春』によると、この情報は確認されておらず、日本の牛肉(国産肉または輸入肉)を食べて発症した可能性も排除できないということです。

日本でも牛に肉骨粉を与えていた時期があり、狂牛病が発生しています。日本は、肉骨粉を与えていたアメリカからも、大量の牛肉を輸入していました。男性が、日本で食べた牛肉によって発症した可能性もある、というのが『週刊文春』の説です。

しばらく輸入が途絶えていた米国産牛肉を、日本は、アメリカが主張している、肉質や骨格で月齢を推定する方法を認めて、輸入再開する方向で検討するそうです。現在の検査方法では、20ヶ月以下の子牛だとプリオンを検出できないそうですが、アメリカには1頭ごとの子牛の月齢を管理するシステムがないので、見た目で判断すればいいじゃないか、というわけです。当然、20ヶ月以上の牛も紛れ込んでくるでしょう。

「暗いニュースリンク」によると、肉骨粉こそ投与禁止になりましたが、「牛の血液をタンパク源とした調整乳を子牛に与えることは、両国(=アメリカとカナダ)において今でも合法」なのだそうです。

しかし、牛に牛の血液を食べさせること自体が、自然の摂理に反しています。乳を飲む段階からそういうエサ(調整乳)を与えられているのですから、たとえ生後20ヶ月以内であろうと、その牛は何らかの異常性を宿していると考えるべきでしょう。自然の摂理に反した行為は、自然によるしっぺ返しを受けるに違いありません。

「暗いニュースリンク」はさらに、「なぜ今日までにたった3例しか狂牛病感染が確認されていないのか?カナダと米国の両国では、政府当局による検査件数を増加させているが、その検査基準はEUや日本で行われているものに比較して、悲惨なほど不適切なのだ」と述べています。おそらく両国には、潜在的にはもっと多くのBSE感染牛がいるのでしょう。

先にあげた『週刊文春』の記事によると、アメリカでは今、クロイツフェルト・ヤコブ病が多く発生しているとのことです。

このような状況で米国産牛肉の輸入を再開しては、危険すぎます。日本政府は、アメリカの圧力に屈することなく、国民の食の安全を第一に考えてほしいものです。