難聴者の生活

難聴者の日々の生活から、人工内耳など難聴者のコミュニケーション、聴覚障害者の制度改革について語る。

要約筆記事業のガイドライン

2006年02月09日 22時11分20秒 | 福祉サービス
060205_1040~001.jpg障害者自立支援法では、中途失聴・難聴者等のコミュニケーション支援事業の要約筆記奉仕員事業は「要約筆記者事業」となり、市町村で実施されることになる
しかし、1月25日の厚生労働省の会議で示された地域生活の実施要項案のコミュニケーション支援事業のところに「要約筆記者には要約筆記奉仕員を含む」と記されたことから、一部には要約筆記奉仕員事業が継続されるかのようにとらえる向きもある。

これは、今の障害者福祉施策を二重、三重にも後退した理解になってしまうだろう。
第一に、奉仕員つまりボランティアでは中途失聴・難聴者の真の権利保障にならないことである。
司法、立法の場に資格の保障のないボランティアでは公権力に関わる通訳としては受けられない(利用者が不安を抱く)。
まして企業などに働く中途失聴・難聴者が職場で働く権利の保障に要約筆記を要求する場合、守秘義務や高い倫理性を持ち、派遣元と連携して対応することの理解のある要約筆記者でなくては、弱い立場の中途失聴・難聴者を守ることができないだろう。

第二に、奉仕員のままでは要約筆記者の身分保障がされず、報酬も低ければ要約筆記者を目指す人もいなくなり、コミュニケーション支援する人材が不足してしまう。

第三に、中途失聴・難聴者の支援は要約筆記に限らない幅広い情報支援から、カウンセリング、エンパワント補助まで多岐にわたって必要だが、要約筆記者である必要性はない。
要約筆記は誰でも良いというなら、要約筆記者の通訳という仕事の専門性を低めることにらないか。

社会福祉サービスの担い手であるというのは、国民の基本的人権を擁護するために「法律(制度)」で運用されている。
要約筆記者が養成後試験を受けて資格を認定されれば、身分的にも保障されるようになるだろう。


ラビット 記

写真は、早春の湘南の海