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京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【防衛情報】オーストラリア特集-M-1エイブラムス戦車へCH-47チヌーク支援とトマホークミサイル取得

2023-11-20 20:23:02 | 先端軍事テクノロジー
■防衛フォーラム
 今回はオーストラリア軍に関する情報を纏めてみましたが日本との合同訓練を強化するオーストラリア軍は自国への侵攻を想定しないにもかかわらず陸上重戦力を充実させ且つ海軍の強化をすすめています。

 オーストラリア陸軍はM-1エイブラムス戦車へCH-47チヌーク輸送ヘリコプターによる給油訓練を実施しました。オーストラリア陸軍の主力戦車はM-1エイブラムス戦車をレオパルド1主力戦車の後継に調達しています、M-1エイブラムス戦車は高く評価されていますが、オーストラリア軍を悩ませたのはこの戦車の特徴である悪い燃費でした。

 イーグルウォーク演習として第2騎兵連隊のM-1戦車と第5航空連隊のCH-47が参加、通常航空機による空輸で中でもヘリコプターによる空輸は最も輸送費用の高いものであり費用対価を考えた場合最終手段と位置付けられています、しかし不整地踏破能力の高い戦車へオーストラリア軍のHX77燃料輸送トラックの追随は難しい場合もあるのです。

 M-1エイブラムス戦車3両に対してCH-47輸送ヘリコプター1機が給油支援を実施したとのこと。燃費の悪いM-1エイブラムス戦車は1500リットルの燃料を必要としますがCH-47輸送ヘリコプターはこれを十分に空輸可能です、ただ問題は煩雑な給油作業を戦車乗員が行う必要があり、この訓練は乗員への独力給油作業の演練という目的もあるようです。
■防衛フォーラム
 自衛隊も導入を決定し取得を前倒しするトマホークについて。

 オーストラリア海軍はトマホークミサイル200発の導入計画を発表しました。オーストラリア政府は中国海洋進出を正面から受け止め、国軍近代化の一環として戦車や火砲といった伝統的な重装備を縮小し長距離打撃力整備へリソースと集中する創設以来最大規模の改編を進めており、この中でも射程の大きなトマホーク巡航ミサイルは要諦の一つ。

 ホバート級ミサイル駆逐艦に搭載される計画であるトマホークミサイル、射程1500㎞以上を有するトマホークはアメリカとイギリスが運用、過去にオランダ海軍が導入を検討し海上自衛隊も400発の導入計画はありますが、実際に運用しているのはアメリカ海軍とイギリス海軍、また今後はアメリカ陸軍とアメリカ海兵隊も地上発射型を運用する見通し。

 トマホーク巡航ミサイルの取得費用は関連装備を含め13億ドルに達するみとおし。ただ、海軍が保有するホバート級は3隻のみで、満載排水量6350tであり搭載するMk41VLSについても48セル、またホバート級にはミサイル防衛能力が付与される見通しでもあり、搭載できるトマホークミサイルには限りがあり、今後の艦艇整備に関心が集まります。
■防衛フォーラム
 自衛隊はHIMARSを検討していたとも言われますが。

 オーストラリア陸軍が要求していたHIMARS高機動ロケットシステム輸出をアメリカ国務省が許可しました。これはオーストラリア陸軍の長距離打撃能力強化に関する一連の装備改革及び改編の一環であり、その手段として打撃力と防護力及び不整地突破能力の高いMLRSではなく戦術輸送機などとの適合性の高いHIMARSが選定されたかたち。

 HIMARS高機動ロケットシステムの調達計画は9億7500万ドル規模のものとなり、これにはM-142-HIMARS高機動ロケットシステム22両、そして初度弾薬としては散布式弾薬であるM-30A1GMLRS精密誘導ロケット弾薬コンテナ60基、単一弾頭型のM-31A1GMLRS精密誘導ロケット弾薬コンテナ40基、などに加えて射程延伸型も。

 射程延伸型のM-30A2拡張型GMLRS精密誘導ロケット弾薬コンテナ66基、射程150㎞のER-GMLRSロケット弾薬コンテナ24基、また演習用の短距離射程型RRPRロケットコンテナなどが導入される見通し。散布式弾薬はクラスター弾薬の国際的規制の流れを受け爆発しない高初速タングステン球を散布し地上の人員や車両を無力化するものです。
■防衛フォーラム
 AARGM-ERは自衛隊にも必要な装備体系と考えますが検討しているらしいという情報など具体的なものがなかなかすすみません。

 オーストラリア空軍はAARGM-ER対レーダーミサイルを導入する計画です。もともとこの計画は2023年2月27日にオーストラリア空軍が導入計画を発表していたものがオーストラリア議会により了承されたもので、F/A-18F戦闘攻撃機やEA-18G電子攻撃機から運用、導入計画数は60発程度、その調達費用は4億3100万ドルを想定しています。

 AARGM-ERはAGM-88HARM対レーダーミサイルシリーズの最新型で、地対空ミサイルなどのレーダー装置を逆探知し攻撃する防空制圧兵器として最近開発され、最大の特色は個体式ラムジェットエンジンの採用により射程が300㎞と従来の対レーダーミサイルよりも遥かに延伸していて、長射程化著しい地対空ミサイル脅威に対応している点です。

 AGM-88HARMシリーズの最新型であるAARGM-ERは、EA-18G電子攻撃機とF-35A戦闘機での運用が可能でF-16やユーロファイターなどへの搭載も今後可能となる、F-35Bに搭載する場合は兵装庫に搭載できないため機外に搭載する必要があります。なお、アメリカ海軍ではP-8A哨戒機へ搭載し哨戒機への威嚇へ対抗する運用を計画しています。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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