北大路機関

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【日曜特集】富士学校創設63周年富士駐屯地祭【08】激戦展開!富士の戦い!(2017-07-09)

2018-06-24 20:10:00 | 陸上自衛隊 駐屯地祭
■壮烈!富士戦闘団の訓練展示
 状況解説と、元々の観閲行進用の解説記事とともに富士学校祭富士教導団の富士戦闘団訓練展示の様子を紹介しましょう。

 前回は攻撃に転じた富士戦闘団が敵地雷原に接し停止した瞬間に敵対戦車ミサイルの攻撃を受け戦車一両が大破しました、そこで特科部隊の支援下、離脱を図ることに///戦車教導隊の観閲行進です、富士学校が自衛隊の戦車の行く末を決めます。しかし、自衛隊の専守防衛の防衛戦略は創設の1954年以来不変であるのですが、創設以来重視されていたのは戦車火力でした、自衛隊は装甲車軽視と云われますが、これは戦車を重視ゆえ。

 第一線の敵地雷原と思いもしない敵防御線を前に指揮官は突破を一時中断し包囲機動か迂回かの選択を迫られる///戦車の火力や性能を重視した結果、そのために予算を集中した為でして、第二次世界大戦においてアメリカ軍のM-4戦車や、ソ連軍のBT-7戦車に散々な目に遭わされたために他なりません。兎に角、日本を防衛するには敵戦車の攻撃衝力を如何に潰すかが重要でした。

 敵情はどうか、一人の普通科隊員が思い切って立ち上がり見え隠れする敵前衛へ反撃を試みる///しかし、戦争経験の形骸化といわれるように、昨今の自衛隊の戦車軽視は、専守防衛という大前提を忘れたとしか言えない状況です。専守防衛と云えばどこが戦場になるのか、特に海外で戦争させる国にさせないとの一部主張、戦争は我が国土で行え、という事となる。

 負傷者発生、立ち上がった隊員が直後に狙撃され重傷だ、という状況、敵狙撃兵へ89式小銃にMINIMIが最大限の弾幕を張る中で倒れた戦友を第一線救護が///しかし、敵前衛部隊には狙撃部隊が協同していた、潜伏斥候のように隠れて前衛の外縁を狙撃部隊が担う運用だ///日本は国土が外敵に侵略されて初めて防衛力を行使するという世界的に視て、国民が機縁に曝されるまで何もしないことが平和であるという憲法解釈を国民自身が支持している不思議な国家です。つまり、日本の平和的国防戦略とは、沖縄戦やサイパン戦のようなもの。

 しかし、この状況の変動を活かして敵対戦車地雷に前進を阻まれ敵対戦車ミサイルから退避していた戦車が一挙に離脱を図る///専守防衛を突き詰めれば沖縄戦やサイパン戦住民が巻き込まれる国土での戦闘を国民が平和と歓迎しているのですね。これこそ戦争経験の形骸化といわざるをえない。現在の専守防衛を貫くのであれば、開戦は即座に本土決戦を意味します。この点をもっと考えるべき。

 装甲車が新たに投入され負傷した戦友を後送するべく引きずって装甲車へ、装甲車が段列地区の野戦病院へ搬送する、自衛隊には装甲救急車が無く第一線の装甲車を引き抜かねばならない現状を示す///専守防衛、開戦とは即座に本土決戦を意味し個人的にこれでは国民の生存権を担保できないので、海上で撃破した後に侵略した敵の港湾などの施設を徹底的に破砕し、我が国土に戦火が及ばないようにする、手段としての平和主義よりも国民の平和的生存権を重視する。

 救急車代わりの装甲車が掩護を受け離脱する、装甲救急車、例えば天井の高いNBC偵察車を転用した装甲救急車を開発し、一刻も早い量産が求められる///その上で相手が侵略糸の継続の意思を継続するのであれば、作戦遂行能力を全般的に痛撃する施策があっていいと思うのですが、ね。どうも手段が目的化する、という構図は日本社会、義務教育の学校生活から社会での経済活動や地域合意形成まで多いような気がする。

 96式装輪装甲車の離脱、装甲救急車であればこの状況でもジュネーヴ条約が直接照準射撃から国際法が保護しますが、この状況では他の装甲車と区別がつかない///平和憲法に固執するのであれば、せめて戦車と装甲火力と砲兵火力を強化しまして、沖縄戦を踏襲しないように、着上陸の海岸線でこちらの戦車と砲兵火力が叩き潰すような、千島列島占守島で戦車11連隊が実施したような、強力な機甲戦力が専守防衛には不可欠です。

 とにかく敵狙撃手を黙らせなければならない、そのために普通科教導連隊から最高の狙撃手が最良の観測手とともに装甲車で進出する///沖縄戦は平和でしたか?、サイパン戦の最後に国民はどうなりましたか?、専守防衛とはそういうことです。国土を戦場とするまで相手が手出しに着手した瞬間まで看過する、これが平和憲法なのですが。歴史を改めて調べ、少ない生存者の方に話を聞いてもそう思う。

 狙撃手が完璧に偽装された車内からM-24,対人狙撃銃を射撃する、数発の応戦と共にこうして敵狙撃部隊は制圧された///平和憲法では戦力を持たないことが平和につながる、という国是をしめしています、当時の国連憲章ではそもそも二条四項に戦争そのものが禁止されていたので、という根拠があるのですが、強制力を持つ国連憲章も自衛権という国家の自然権を冒す事は出来なかった。

 突破だ!、攻撃の再興へ先ず敵の敷設した地雷原を障害処理するべく地雷原処理ローラーを装着した90式戦車が土煙を巻き上げながら突進する///国際法上、戦争は無くなりましたが国家間の武力紛争と名前を変えて存在します、このために日本も軍隊を廃止しましたが自衛隊と名前を変えて防衛力を維持している訳ですね。しかし、その自衛隊の創設を憲法が盛り込んでいない、ここに齟齬の根底が見えるのです。

 92式地雷原処理ローラが12tの重量で敵地雷原を踏み潰して破壊するべく突進する、攻撃気道は三要素、突破か包囲か迂回か、指揮官は敵前地雷処理を経ての突破を図ったのだ///戦車重視を主張するのは、国土が戦場になるまで防衛力を使用しないという我が国だからこそ、緒戦で相手を圧倒するための戦力が必要であり、しかも戦場は国土に限られています、それならば、戦車が必要です。こうしたならば、戦場は海岸線より内陸へ進みません。

 だが敵は突破を想定し前衛部隊の虎の子、T-74戦車で反撃を加えてくる、我が方90式戦車の空包よりも迫力ある空包射撃で迎え撃ってきた///日本は海洋国家なのだから海上防衛力を重視すべき、という主張もあるにはあるのですが、海上戦力をどれだけ整備しても憲法が専守防衛のみを定めているのであれば、それは法治国家として使えない戦力に他なりません。これは海洋国家であっても憲法の条文覆らない。

 撤収!、90式戦車は即座に転進後退した、どうも今年度の仮設敵は手ごわい///専守防衛なのだから陸上戦力が骨幹戦力となるのは違いない。ところが、小泉内閣時代以降の日本の防衛はどんどん戦車を削減する方針を継続しています、沖縄戦の悲劇、サイパン戦の悲報、これらを忘れない為には、自衛隊の師団や旅団には戦車大隊が必要でしょう。

 攻撃失敗は中々無い、90式戦車が即座に反撃、自動装填装置で4秒間に一発を射撃でき、2両揃えば二秒に一発敵部隊へ必殺の戦車砲弾を叩き込める、一個小隊4両ならば毎秒一発戦車が吠え続ける事が出来る訳だ///戦車教導隊第1中隊の10式戦車です。120mm滑腔砲を高度な火器管制装置と自動装填装置により管制し、遠距離目標を高速で起動しつつ連続射撃し勝ち抜く事が出来ます。初めてこの戦車を見たのは2011年の富士駐屯地祭でしたが、機動力が強く印象に残っています。

 空包射撃、ただ、90式戦車の空包射撃は74式戦車の空包射撃よりも軽く迫力がない///装甲を強化しつつ、車内コンパクト化、重装甲なのですが重量を以前の90式戦車の50tよりも軽量な44tに抑えています、機動力は1200馬力エンジンを無段変速機により他界加速性を有し、アクティヴサスペンションにより水上を滑走するが如く悪路を快速で移動する。

 迫力のない空包でも判定で命中したらば撃破は撃破だ、が、敵地雷原にミサイルと戦車に狙撃兵の防衛線、我が方指揮官は正面突破を断念せざるを得ない///しかし、この戦車は最近欠陥戦車ではないか、と当方は感じています。10式戦車を欠陥戦車を表現する事は、必ず反論、それもかなりの反論を受ける為に避ける人が多いのですが、やはり10式戦車は欠陥戦車と云わざるを得ません、それは政治家が理解していないこと。

 T-74戦車を撃破!、しかし、この仮設敵は地雷原の周辺に対戦車ミサイルと戦車部隊を配置し頑強に抵抗する構えだ///政治家がこの戦車の能力を理解させられていない点にあります、実はこの戦車、年間52両を量産したならば一両あたり7億円まで費用を低減させられるという驚きの量産効果です。元々大量生産の規模が少なかった為、52両の量産でもこれだけ費用縮減できたといえよう。

 施設作業車を進出、戦車同士の戦闘が繰り広げられる最中に偵察隊が迂回機動可能な敵防御線の間隙を発見、戦闘工兵が迂回機動を採ることに///7億円とは3か年分を一括取得した場合の費用としまして概算要求に提示されました、実際に製造元の三菱重工が発表しています、各国戦車が軒並み10億円から輸出価格で15億円を超える中、年産52両の量産はそれ程多くは感じず、コスト管理の努力を感じさせます。

 迂回機動で新しい攻撃機動へ、遠景には大破した我が90式戦車と膠着する状況が続く中、力押しで遮二無二進むのではなく迂回する///52両量産したならば量産効果で一両7億円まで下がるのであれば、毎年364億円投じて量産し、戦車を増やしてゆけばいいのですが、この戦車が量産開始となった直後に、我が国は戦車定数を400両に縮小する決定を下します。これでは短期過ぎ逆に意味がありません。

 特科教導隊が我が施設部隊の障害処理を支援するべく猛烈な弾幕を張る、155mm榴弾砲の発砲焔が物凄い///更にこの戦車の定数は300両まで縮小させる決定が為されるのですが、そもそも世界的に視て安価で高性能の戦車を完成させた直後にこうした決定を下す事が分らない。こうした政策決定を通してしまう事が10式戦車を理解させられなかった、故の欠陥といえましょう。

 施設作業車は自動操縦さえ可能な戦闘工兵車両、なのですが費用が高く数が充分ではない為、北海道以外に配備は進んでいません、それでもこれさえあれば包囲も突破も、勿論防御も可能だ///その上で政府は戦車の不足を補うために、16式機動戦闘車という本来は偵察部隊用に開発されたタイヤ式の装輪機動砲を200両から共同通信報道では300両も生産するとしています、これは無駄過ぎないか。10式戦車と16式機動戦闘車を並行装備するほど余裕はない。

 FH-70榴弾砲の連続射撃、隣には203mm自走榴弾砲を支援する87式砲側弾薬車が並ぶ、155mm榴弾砲と203mm榴弾砲の弾幕が空包で再現される、実戦ならば敵前衛は物凄い状況だ///それならば、10式戦車は軽量で戦略機動性も確保されているのですから、16式機動戦闘車は87式偵察警戒車後継の偵察部隊用などに留め、10式戦車を600両生産する選択肢があったのではないでしょうか、600両あれば42両編成の戦車大隊が15個弱編成できます。

 10式戦車が戦闘加入する、迂回機動を成功させるべく新戦力の投入だ、戦車の数に余裕があれば、攻撃が停滞した場合でも迂回機動を成功させられる、戦車は数が必要だ野だ、という事を端的に示唆する状況といえよう///しかし、16式機動戦闘車の量産が本格化した今日ではこうした表現にはあまり意味がありません、16式機動戦闘車の整備費用にかなりの費用を割いてしまいましたから、ね。生産ラインを整備した上で、一旦始めた、今更少数整備に切り替えては逆に費用が掛かります。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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