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北大路機関

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【京都幕間旅情】東寺(教王護国寺)桓武天皇平安遷都に際し羅生門東西に造営した王城鎮護は京都始まりの官寺

2022-05-04 20:00:53 | 写真
■京都を象徴する五重塔
 四月の写真を五月にと思われるかもしれませんが歴史の話題と共に記事も順番じゅんばんなのです。

 東寺。ここは京都市南区九条町にある、といいますかJR東海道新幹線のホームから間近に見える五重塔があります寺院です。京都駅から近鉄線に沿って散歩してみますと、頭上の近鉄線をビスタカーが奈良から到着する、このお寺もこう奈良の平城京から遷都してきた。

 南大門の向こうに金堂が見える、この写真は桜の季節に撮影したものですが、桜の浮いた気分の高揚感というよりは、ここが平安京遷都の一つの起点であると共に現代に至る京都と日本の在り方の基点だという事を考えると、風景も違って見える。この点は後ほどに。

 教王護国寺ともよばれます寺院は、正式には八幡山金光明四天王教王護國寺祕密傳法院といい、彌勒八幡山總持普賢院とも呼ばれています。八幡山金光明四天王教王護國寺祕密傳法院、如何にも長い名称ですが、東寺の扁額のみ掲げられ、世界にも東寺として通ります。

 東寺真言宗の総本山という寺院、その創建年は延暦15年こと796年、平安遷都の頃に遡ります、開基となったのは桓武天皇、そして平安京は正門にあたる羅城門その東西に造営した寺院が東寺と西寺であり、奈良仏教からの距離を置いた平安京の唯一無二の寺でした。

 西寺と東寺ですので唯一無二というよりは唯二無三というべきなのかもしれませんがね。羅城門は現存しない為に想像力を要しますが、しかし、東寺は平安遷都の頃から当地にありますので、ここを起点に想像を巡らせますと、何か原初の古都京都が見えてくるのよう。

 御門。これも不思議なものなのですが拝観受付とかかれているのは案内される矢印をたどりますと総門ではなく北側に案内されます。もちろん山内にて繋がっているのですが日常の散策には総門を潜ります故に、拝観案内は敢えて小さな門に誘導するという見方です。

 西寺と東寺、京都は平安遷都の頃にはこの二つの寺院しか許されなかったといいますので、神社ではなくこの立地にある寺院という意味ではもっとも洛中にあって長い歴史を経ている寺院なのですが、これは観光拝観というよりは日常の拝観を考えているのでしょうか。

 総門に日常のお参りを考える方を誘導しますが、観光客はもう少し小さな門へと誘導するというのは、日参という考え方なのかもしれませんが、回数を多く、お寺との距離感を親近感へ代えてくれる方々を大事にしているのかもしれない、そんなことを思いました。

 羅城門も現存しない最中ではあるのですが、もともと平安京というのは東寺と西寺を両翼の様に広げて造営されていまして、ここから北へと朱雀大路が伸びていて、その先に王城が、という中国の長安を模し桓武天皇が造営した新都となっていました。西寺はもうない。

 東寺。考えれば不思議なものでして拝観料が必要な区域は確かにあるのですが、しかし本堂はじめ中に入って拝観することはできませんけれども、本堂の目前までは拝観料不要の散策路が整備されていて、要するに毎日本堂を目の前で拝観することはできるという。

 桜花満開の季節には、撮影が目的の際にはこう拝観料をお納めして、そしてここが東寺なのですよ、という情景を撮影に参るのですが、正直なところ確かにお堂の中を拝観するというものも寺院巡りの一つのあり方なのでしょうけれども、散策の際は気張りすぎない。

 朱雀大路の喧騒は現代都市の景観に転換していて、しかしこの東寺の造営も理想郷に拘った平安京、つまり長安の模造品造営から日本型の都市へと転換してゆきましたのが、日本という国家が、貧しいながらも独自の道を歩もうとした、その始まりといえるのでしょう。


北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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