◆予算不足の新造制限で深刻な護衛艦不足
今年3月16日、横浜で護衛艦いせ、が自衛艦旗を授与され就役したその日、練習艦の一隻が護衛艦へ種別変更を受けました。
護衛艦やまぎり、先日横須賀基地に停泊中の様子を撮影したものです。・・・、正確には8月21日に横須賀線から眺めた中で一瞬後ろ姿が見えたのですけれども、まあしっかり撮れたのは今回が初めてということで。今回、護衛艦隊復帰後初めて撮影することができました。護衛艦やまぎり、は冒頭に記した練習艦から護衛艦へ種別変更を受けた一隻で、元々あさぎり型護衛艦の二番艦として1989年に就役し護衛艦隊へ配備されましたが、むらさめ型護衛艦や、たかなみ型護衛艦の配備に伴い2004年に護衛艦から練習艦へ種別変更、弾庫やヘリコプター格納庫内に講堂などを追加し練習艦隊へ配備されました。
あさぎり型護衛艦の練習艦への種別変更は、本艦より開始されましたので、ネームシップとなり、続いて種別変更された練習艦あさぎり、とともに練習艦やまぎり型を構成していました。しかし、あさぎり型以前の12隻が建造された、はつゆき型の除籍が進む一方でその除籍に並行して建造される最新鋭の、あきづき型護衛艦が高い調達価格により数を揃えることができず、防衛計画の大綱に定められた護衛艦定数を下回る可能性が出てきました。このため、護衛艦から練習艦へ種別変更された、やまぎり、を再度護衛艦へ戻すという海上自衛隊始まって以来の異例措置が取られたのです。
所属するのは護衛艦隊第11護衛隊、これは護衛隊群に所属するのではなく護衛艦隊司令部からの直轄運用を行う二ケタ護衛隊、もともと地方隊に沿岸警備用に配備されていた護衛隊を護衛艦隊に編入して創設された護衛隊で、ヘリコプター搭載護衛艦やミサイル護衛艦との共同運用ではなく、護衛艦としての汎用的な運用を想定している部隊で、沿岸警備はもちろん、必要とあれば近海練習航海や外洋練習航海などにも参加することがあり、護衛隊群の支援にも対応する部隊となっています。
練習艦時代に名古屋港へ寄港した際の、やまぎり。元々、あさぎり型は護衛艦隊用の対空対水上対潜各種誘導弾と哨戒ヘリコプターを搭載するガスタービン推進艦として導入され、比較的早い時期に練習艦隊へ編入されたのは練習艦隊へ新しい護衛艦を配備することで練習艦隊における教育環境を康応させ、海上自衛隊として高度な教育を行うことが目的でした。しかし、あきづき型護衛艦の配備が進まず、はつゆき型護衛艦の除籍が進む、という中で苦肉の策として講じられたのが護衛艦復帰です。同時に、あさぎり型護衛艦の延命改修予算が盛り込まれ、中国海軍の活動活性化やロシア海軍の復興とともに護衛艦の数が必要な状況下で厳しい現実が見えてくるようですね。
護衛艦やまぎり、艦番号は護衛艦時代の152を再度冠せられることとなったようですね。満載排水量4900㌧、76㍉砲とアスロック対潜ロケット、ハープーン艦対艦誘導弾、シースパロー艦対空誘導弾、20㍉CIWS,短魚雷発射管を搭載し、ヘリコプター一機に加え緊急時は更にもう一機を搭載可能、ガスタービン四基により54000馬力を発揮し最高速力は30ノット。必要があれば既存装備に延命改修を施し、練習所要も第一線に戻す海上自衛隊の柔軟性を示しているとともに、しかし、状況が状況なのだから周辺情勢に応じて何とか新造予算を確保できないものか、と思ったりもしました。
北大路機関:はるな
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潜水艦については除籍年数の延長によって保有数を増やす方向ですが、護衛艦についても艦齢を長くして保有数を増やす方向で良いのではないでしょうか。また、24DDH建造を控えた厳しい予算を考えれば米国のように運用能力を限定してコストを抑えたLCSのようなハイローミックスの運用も必要ではないかと思います。
護衛艦ですが、昔は60隻以上あったのですよね・・・、沿岸防備ですが、護衛艦やミサイル艇が不足するようであれば、冷戦時代のドイツ海軍ではないですが対艦攻撃機を運用する、という選択肢もあっていいと思います。変な話、合意できるのでしたらF-2を航空自衛隊から移管してもらって、八戸・厚木・鹿屋・那覇で運用、ということがあってもいいのでは、と。その分、一挙にF-2とF-4の後継としてF/A-18かタイフーンを、と。予算ですが、まず東日本大震災を考えれば不十分な点が多くdているのでして、次に防衛出動で日本が大被害を蒙ってやっぱり足りなかったね♪、と政治家が開き直るようなことは避けなければならないでしょう、と。