北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

自衛隊無人機対策能力構築,ドローン対策の決め手は高射機関砲!不可思議新技術などよりもウクライナの実績

2023-02-28 07:01:41 | 先端軍事テクノロジー
■無人機対策能力構築
 最新鋭というものの未知数な技術や妨害電波装置や電磁パルスなどよりも一発の機関砲弾で無力化できる。

 政府は新しい防衛力整備計画において無人航空機対処能力を自衛隊に整備させる方針を固めています、しかし、この防衛力整備計画で片手落ちなのは、既存の、いや自衛隊が過去に防衛力のコンパクト化に際して陳腐化したと判断され、廃棄された装備が、そのまま使えるという事を忘れているように思います、それはエリコンL-90、広範に装備されていた。

 L-90高射機関砲、35mm双連機関砲で陸上自衛隊は1960年代にスイスへ隊員派遣などを通じ、当初は教範がドイツ語ということで陸上自衛隊のドイツ語に長けた幹部がスイスに贈られるも、教範や運用思想などについては従来のアメリカ製装備との違いから苦労したようですが、L-90高射機関砲を導入決定し全国に配備、2009年まで配備されていました。

 ウクライナでは35mm機関砲がロシア軍無人機に対して、破滅的といえるほどの優位を誇っているようです。エリコン35mm機関砲はドイツ軍が供与したゲパルト自走高射機関砲に標準搭載されていますが、その弾薬にAHEAD弾薬という、時限信管で作動し大量のタングステン弾片で目標を漏斗状に包み破壊する、数発の連射で無人機を屠る精度とされる。

 AHEAD弾薬は、陸上自衛隊が当時L-90から運用していました焼夷徹甲弾のような弾底信管によるものではなく目標付近で散布するもので、L-90機関砲はレーダー管制方式であるために時限信管の設定が自動で行える、ゆえに確実性が高いもの。じつは陸上自衛隊もAHEAD弾薬導入を検討したものの、L-90そのものを廃止したため実現しなかった経緯が。

 170門、陸上自衛隊はL-90を全国の高射特科大隊に配備していましたので、まとまった数がありました。この機関砲ですが、難点として固定式であることから機動力が低く、今でいえば重装輪回収車のような車両後部に搭載し自走化するというような選択肢があったかもしれませんが、93式近距離地対空誘導弾へ置き換えることとなり、全廃されています。

 L-90,流石に補給処などで保管されているものは殆どないと思うのですが、税金の無駄といわれるのは覚悟で、もう一度L-90を全国に配備してみてはどうでしょうか、当然日本製鋼所で再度ライセンス生産しなければなりません。それでも例えば地域配備師団に装備するならば、小型無人機に対して大きな威力を発揮するのはウクライナで証明されています。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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